目が覚めたら乙女ゲーの世界の王太子の嫁に転生して、溺愛?されてた件について。
こちらは、微ヤンデレ要素を含みます。
苦手な方は、お気を付け下さい。
ここは、何処だろうか…
目が覚めたら見知った世界に来ていた…
隣には見知った顔のイケメンが眠っている。
(まさか、あのゲームの世界に転生したのでは…)
笹野由良は、順応性が高くすぐに自分に起きていることに察しが付いた。
取り敢えず、眠っている謎のイケメンを起こして自分が誰なのかを聞くことにした。
「あの…」
由良が声を掛けるとイケメンは起きた。
「どうしたの?」
「付かぬことをお聞きしますが、私は誰なのでしょうか…」
そう聞くと、謎のイケメンはキョトンとした顔をしながら答えた。
「誰って…君は私の奥さんだが…」
「奥さん!?」
そう、驚いて由良が答えると「そうだとも。」とイケメンは答えた。
(つまり、私はお嫁さんに転生したのか…服装とか見た感じだと王子様?なのかな…)
「ご、ごめんなさい。記憶があやふやで…」
「大丈夫かい?」
そう言われイケメンは顔を覗き込んだ。
「あの、私の名前を教えてもらってもいいですか?」
「今更、何を聞くかと思えば…構わないよ。」
イケメンはそう言い、「あなたの名はエイミー・サルベージュだ。」と答えた。
(エイミーって確か…ヒロインの名前だよね?一応、王子の名前も確認しておくか…)
「あの、王子の名も教えて頂いてもいいですか?」
「私の名は、ルイシュ・サルベージュ。この国の第1王子だ。」
「ありがとうございます!」
(第1王子ということは、次期国王的なやつなのかな…私の事情を話しても信じて貰えるかな…)
「信じてもらえるか分からないのですが、お話してもいいですか?」
「構わないよ。」
「私、この世界の人間じゃないんです!異世界転生みたいな…目が覚めたらこの世界に来てて…私が遊んでた乙女ゲーの登場人物にルイシュ様がそっくりでして…」
「…」
驚いた顔で由良を見るルイシュ。
すると、ルイシュの口から由良が思ってもいない言葉が出た。
「やっと、会えた…」
(え…?やっと会えたってどういうこと?)
「えっと、やっと会えたってどういうことですか?」
「私は、ずっと君に会いたかった。画面の中で君に会えないかと願っていたら、まさか願いが叶うなんて!」
由良は状況が理解出来ないでいた。
何故なら、攻略キャラではなく本人である自分に会いたがっていたからだ。
「ルイシュ様、ええっと…」
「すまない。私は画面の中で君のことをずっっっと見てきた。こちらを見る君はとても楽しそうで直接話したいとそう思っていたから。」
(そんな恥ずかしい顔を見られていたなんて…)
「ああ、でも嬉しいよ。会いたかった人が目の前にいるなんて。」
そう言いながら、ルイシュは恍惚な顔をして由良を見た。
(ま、まさかこんなに溺愛されていたなんて想定外…)
「ご、ごめんなさい!私、用事を思い出して!」
「何処に行くの?私はまだ、君と…いや私の妻なのだから名前で呼ばないとね。由良と離れたくないんだけど」
「ひぃぃぃぃ!」
「そんなに、怯えないで。こんな夜遅くに女の子1人だなんて逆に危ないよ。」
「それは、そうですけど…」
「もしかして…元の世界に帰ろうとしてる?」
「…え?」
突然、そんなことを聞かれて少し間抜けな声を出してしまった。
「帰ろうだなんて、そんなこと!」
「嘘。絶対に、考えてる。元の世界になんて返さないよ。ずっと、ここにいればいい。私と、幸せにここで暮らそう?」
推しからの思ってもみない言葉に由良は驚いた。
(ここまで、溺愛されてしかも若干のヤンデレも入っていたなんて…確かに、元の世界に戻ってもいつもの生活に戻るだけ。それなら…)
由良は少し考えて答えた。
「…分かりました。このまま、この世界に残ります。ルイシュ様とここに暮らします。」
恐る恐る答えながら、ルイシュの顔色を伺うと嬉しそうにしていた。
(良かった…)
「取り敢えず、今日はこのまま一緒に寝ようか。」
「は、はい!」
ルイシュは、由良を後ろから抱きしめながら眠った。
(身動き取れない…でも、推しに抱きしめられながら眠るのも悪くないな。友達や家族のことも心配だから本当は戻る方法を探そうと思ってたけど、推しを困らせたくないからいいや。このことは黙っておこう。私は、一生ここに暮らす。それでいい。)
「ルイシュ様…私は…逃げたりしませんから…」
そんなことを寝言で言いながら、少しした後にルイシュは起きて言った。
「大丈夫だよ、由良。君が何処にも行かないように、ここに閉じ込めておくから。ずっとずっと…」
「ルイシュ様…大好き…」
ムニャムニャとしながら、由良は言った。
「ふふっ、私も愛しているよ。由良」
とルイシュは言い、由良の唇にキスをした。
キスをした後、由良は顔を真っ赤にしていた。
数年後、2人はルイシュそっくりの男の子の赤ん坊と家族3人で幸せに暮らしたのであった。