第96話:対策会議?
「もしもし、ともちゃん?」
色々とありつつも無事家へと辿り着いた私は、いの一番にともちゃんへと電話を掛けた。
「あのさ、ちょっと大事な話があるんだけど・・・」
そして、今日起こった不幸な出来事を時系列順にともちゃんへと説明していく。
「あちゃ~、さっちゃんにバレちゃったかぁ~」
「・・・・・」
「そっかぁ~。さっちゃん、そっちの中学に知り合いがいたのかぁ~」
「・・・・・」
よくよく思い返してみれば、彩音ちゃんたちと出会ったその最初期に彼女たちが眞鍋さんと知り合いであるという情報は得ていた。だからもう少し慎重に行動すべきではあったんだよなぁ・・・。
「いやまあ、バレちゃったものはしょうがない。とりあえず、私の方からも色々とフォローしとくよ」
「ともちゃん・・・」
「それに、私もなっちゃんのメイド服姿の写真、さっちゃんに送っちゃってたしなぁ~。あれはメイド服のお礼も兼ねてたから仕方なかったんだけどさ」
眞鍋さんから見せられた写真には、中々に際どいポーズのものも多数含まれていた。あの時はともちゃんとそのお母さんに言われるがまま、謎の勢いとともにはっちゃけちゃったからなぁ・・・。
「まあ、そのことは置いといて・・・。大事なのは、これからどうするかってことだよねぇ~」
「・・・・・」
今後どうすべきか、何をどこまで話すべきなのか、私はともちゃんと話し合う。このあと眞鍋さんとの電話も待っているし、はぁ・・・。
「さっちゃんには、いっそのこと全部話しちゃってもいい気がするんだよなぁ~。さっちゃんはああ見えて結構真面目だし、根も素直で優しいしね?」
「・・・・・」
「それに、さっちゃんたちはなっちゃんのことを本気で心配していたしさ。この際だから、その件についても謝っとけば?」
「・・・・・」
私は前の中学から転校する際に、クラスメイトたちと顔を合わせずしてこちらの学校に来てしまった。緊急事態であったとはいえ、それは流石に不義理だったかなぁ~と今では少しだけ反省もしている。
「でもさ、大丈夫?私のことを話すことで、眞鍋さんの負担になったりしない?」
「う~ん、どうだろう・・・」
「もうほぼほぼバレちゃってるからあれなんだけどさ、でも、今ならまだワンチャン気のせいだったで終わらせられるかも」
「・・・・・」
私の抱えるこの秘密は、あまりたくさんの人に広がってほしくない。特に「夏樹」の存在を知る元クラスメイトたちには尚更であり、それが知られることは私にとって非常に大きな心理的ストレスとなる。
それに、それを知った元知り合いたちも反応に困るだろう。現に今日久しぶりに再会した眞鍋さんは戸惑っていたし、私が抱えるこの秘密を彼女に共有することは、彼女の心理的な負担になってしまうのではないだろうか?
「どちらにせよ、さっちゃんと話してからじゃない?」
「う、う~ん・・・」
「あとで私もさっちゃんに電話してみるからさ」
そして、ともちゃんとの通話は終わった。私は真っ暗になってしまったスマホの画面を眺めながら、ただただ茫然とするしかない。
「・・・・・」
どうするのが正解なのか、何が不正解なのか。分からない、全然全く分からない。
「私は、私はどうすれば・・・」
そうして更に時間は経ち、そして・・・。
「・・・・・」
夏姫のスマホからは、眞鍋さんからの着信を知らせるコール音が鳴り響く。私は高鳴る心臓を何とか宥めながら、眞鍋さんとの通話に挑むのだった。