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コンプレックスガール  作者: ぴよ ピヨ子
第五章:驚異の胸囲格差と夏のプール
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第82話:今と昔

 六月中旬のとある日曜日、私は陽介ようすけの部屋にいた。そしてその部屋には陽介と私だけでなく、どこか不機嫌そうな表情のともちゃんもいた。


「今日は、ズボンじゃないんだ?」

「・・・・・」


 本日は、修学旅行帰りの幼馴染たちからお土産を受け取る日。ついでに、三人で一緒に勉強をする日。

 やんごとない事情によって中々会うことができない私たちは、こうやって何がしかの理由を見つけては会うようにしていたのだけれど・・・。


「最近、お尻が大きくなっちゃって・・・。それで、手持ちのズボンだとちょっと・・・」

「「・・・・・」」


 私の言葉に、陽介は非常に気マズそうな表情を浮かべている。


「ちょっと触ってもいい?」

「え?」

「もみもみもみ・・・」

「「・・・・・」」


 私が断る間もなく、ともちゃんはスカートの上から私のお尻を揉みしだく。


「ふむ・・・」

「「・・・・・」」

「ちょっと失礼。もみもみもみ・・・」

「ちょ?!」 「おい?!」


 スカートの上からでは満足できなかったのか、ともちゃんは私のスカートを雑に捲り、剥き出しにされたパンツの上から私のお尻を揉み出した。


「確かに、これは・・・」

「「・・・・・」」


 慌ててともちゃんの手を振り払う私と、顔を真っ赤にして視線を逸らす陽介。そして、そんな私たちに一切構うことなく一人ブツブツと呟くともちゃん。


「仕方がない。今後はスカートを穿くことを許そう」

「「・・・・・」」

「とりあえず、はい、お土産の八つ橋。イチゴ味」


 ああ、どうもありがとう・・・。


「俺からも、はい、八つ橋。抹茶味」

「・・・・・。どうも・・・」


 相も変わらず、最近のともちゃんのテンションはよく解らない。去年のあの日の告白?から、ともちゃんの私に対する接し方は昔のそれと大きく変わってしまった。


「お土産も渡したし、早速だけど勉強始めるか」

「うん」 「お~け~」


 昔は男だとか女だとか、だれそれが好きだとかどうだとか、そんなことは一切気にしなかった。それこそ小学校に上がる前はともちゃんと一緒にお風呂に入ることだってあったし、私もともちゃんもそれに対して特段何も無かったような?

 とはいえ、それはもう遥か昔の話。今の私たちはもう中学三年生であり、子供と大人の境界線上にいる。


「ねえ、なっちゃん。ここ、どうやって解くの?」

「ああ、それは・・・。陽介、これどう解くの?」

「・・・・・」


 陽介にコッソリと聞いた話によると、ともちゃんは中学一年生の時には「夏樹」のことが好きだったらしい。一方でその頃の私はといえば、同じクラスの男子たちからチビだの女顔だのと揶揄われていて、モテる要素なんて皆無だったハズなのだけれど。

 寧ろ、どちらかというと陽介の方が男らしくてカッコ良くて、私が女だったならば陽介の方を好きになりそうなんだけれど・・・。う~む、乙女心とは本当によく解らない。


「陽介、ここ、どうやって解くの?」

「ああ、そこは・・・」


 その日も、私は夕方近くまで陽介の家でお世話になった。お昼ご飯もご馳走になり、いつもの如く帰りは陽介のお母さんの車で送ってもらうことになった。


「じゃあ、またね?」

「あ、うん・・・」

「ちゅ」

「・・・・・」


 陽介と、そのお母さんに見守られながらのともちゃんとのキスも、これで三度目・・・。相も変わらず陽介は無言だし、おばさんはキャッキャと嬉しそうにしているし・・・。


「ねえ、陽介?」

「ん、何だ?」

「陽介は、昔のままだよね?」

「・・・・・。さあ、それはどうかな?」


 帰りの車の中での私の問い掛けに陽介は少しだけ考える素振りをし、そう答えたのだった。

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