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コンプレックスガール  作者: ぴよ ピヨ子
第四章:修学旅行とエトセトラ
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第76話:イベントが盛りだくさん???

 私たちは今、今回の修学旅行でお世話になる旅館にいた。より厳密に言うと、私たち四人に割り当てられた部屋の中にいた。


「今日はもう、寝るだけだねぇ・・・」


 女子たちによるリバース事件の後にも、皆揃っての昼食とか有名な史跡巡りとか、更には皆仲良く素っ裸になっての大浴場でのお風呂とか、イベント自体は色々とあったのだけれど・・・。そんなことは全て吹っ飛んでしまうほどには、バス中でのリバース事件は尾を引いていた。

 

「トランプとか、する?」

「「「・・・・・」」」

「・・・・・」

「「「・・・・・」」」


 あの休憩所での出来事以来女子と男子の間に流れる空気は最悪で、その空気を敏感に感じ取った前原先生は事態打開のために腐心していた。だけれどそれだけですぐにどうなるものでもなく、率直に言って私たちの間に流れる空気は完全に終わっていた。


「「「「・・・・・」」」」


 寝間着代わりの体操服姿の桜ちゃんが、手に持ったトランプを所在無さげにフラフラと揺らしている。それを見た彩音ちゃんが、体操服の上からでもハッキリと分かる大きな胸を揺らしながら溜息を零している。


「はぁ~、ヤメヤメ!私たちまで暗くなってちゃ、何のための修学旅行なんだか分からなくなっちゃうよ!!」


 雪ちゃんはそう言って、桜ちゃんの手からトランプを捥ぎ取る。


「とりあえず、七並べからね!負けた人には罰ゲームもあるからっ!!」

「「「・・・・・」」」


 こういう時、雪ちゃんは本当に頼りになる。私の従妹様は良くも悪くも行動力があるし、こういった暗い空気が大っ嫌いだからね。


「ほいほいほい」

「「「・・・・・」」」

「じゃあ、最初は私からで、時計回りに行こっか?」


 配られた手札を眺めながら、私は気持ちを切り替える。いつまでもクヨクヨしてても仕方ないし、せっかくの修学旅行なんだから皆で楽しまないとね!!


「おい、誰だよハートの九出さないの!!」

「うふふふふ、誰だろうねぇ~?」

「あっ!絶対桜でしょ!!」

「さあ?どうだろうねぇ~?」


 私の手札が、減らない・・・。てか、私の手札弱過ぎる?!


「ぱ、パス・・・」

「え?また?」

「・・・・・」

「「「・・・・・」」」


 そうしてゲームは進み、私はパスを三回消費し早くもドロップアウト・・・。


「罰ゲームは夏ちゃんか。くくく、どんな罰ゲームがいいかなぁ~?」

「・・・・・」


 そして更にゲームは進み、今回の勝者は桜ちゃんとなった。


「それでは罰ゲームを発表します!!」

「・・・・・、ゴクリ・・・」

「夏姫ちゃんへの罰ゲームはぁ~、一位になった私にディープキスをすること!!」

「え゛?」


 私が動くよりも早く、雪ちゃんと彩音ちゃんが私の退路を塞ぐ。彼女たちは私の左右を固め、そして・・・。


「むちゅ~~~~」

「?!?!」


 桜ちゃんの唇が、私の唇に重なる。そのまま桜ちゃんは私の口の中へと生暖かい舌をねじ込んできて・・・。


「はい、ごちそうさま!!」

「・・・・・」

「うむ、さっき食べた海鮮の味がしたぜ!!」

「・・・・・」


 ジト目を向ける私を軽くあしらいながら、満足そうにそう宣う桜ちゃん。


「どうする?次の試合行っとく?それともここで逃げ出すかい?」


 ふふふふふ、上等じゃん・・・。やってやろうじゃないの!!


「はい、また夏姫ちゃんの負け」


 あれ?嘘・・・。何故に?!


「じゃあ、次の罰ゲームはぁ~」

「・・・・・」


 その後、私は恐ろしいまでの引きの弱さによって負け続けた。それは誰かが裏で手引きしてるんじゃと疑いたくなるほどには酷い負けっぷりであり、そんな私を見た三人の顔には呆れとか同情とか、そんな何とも言えない微妙な感情が見て取れた。


「さてさてさて、次はどんな恥ずかしい罰ゲームがいいかなぁ~?」

「くぅ・・・」

「どうする?罰ゲーム、免除してあげてもいいんだよ?」

「・・・・・」


 私はその夜、尊厳とか羞恥心とか、人として大切な物をたくさん失ってしまったのであった。

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