第65話:C
週末が明けた月曜日の二限目終わりの休み時間、私たちは更衣室にいた。次の授業は体育であり、それに備えるべく私たちは体操服へと着替えていたのだ。
「お?夏姫ちゃん、ついにブラを買ったんだ?」
近くで着替えていた桜ちゃんが、私が身に着けていた真新しい下着に目聡く気付き声を掛けてくる。
「おぉ~、中々に可愛らしいブラですなぁ~。飾り気は無いながらも薄ピンク色で清楚な感じで、何ていうか、夏姫ちゃんにピッタリな下着だよ」
桜ちゃん同様に近くにいた彩音ちゃんが、最近また一段と進化した豊かな胸を揺らしながら声を掛けてくる。
「最近、着ていた下着がキツくなってたから。だから、修学旅行用の下着を買うついでにこっちの方も新調したんだよ」
本当は、ブラなんて着けずにずっとキャミ型の下着でいたかった。だって、そっちの方が圧倒的に楽だったから。キャミ型の下着と違ってブラは締め付けがキツいし、着けているだけで背中とか胸周りが痒くなるしなぁ・・・。
だけど、それだと後々響いてくるって母さんや伯母さんも言ってたし。それに、同年代の女子たちが皆ブラを着けている中で、一人だけキャミっていうのも逆に目立つしねぇ・・・。
内心溜息を零しながら、私はその視線を二人の胸元へと向ける。そこには私の着けているお子ちゃまっぽいブラとは異なり、ちょっとだけ大人っぽさの入り混じった可愛らしいブラがあった。
そして、そんな彼女たちの向こうには、これまた様々なブラを身に着けた女子たちがいた。飛び抜けて派手な物を着ている子はいなかったけれど、基本皆私よりも胸のサイズは大きいんだよねぇ・・・。
「夏姫ちゃん、ちょっと揉んでみてもいい?」
「え?」
「もみもみ・・・」
「・・・・・」
私がお断りする間もなく、人の胸をブラの上から両手で揉みしだくエロ大魔王桜ちゃん。そんな彼女に私は無言のまま強めのチョップをかまし、その魔の手から逃れる。
「桜、夏ちゃんのはどうだった?」
「うむ、正直よく分からん」
「「「・・・・・」」」
いやまあ、私のブラは布地が厚めのタイプだし、そもそも元が小さいし、そりゃあねぇ~?
「彩音、ちょっと揉んでみてもいい?」
「え?」
「もみもみ・・・」
「・・・・・」
私たちの目の前で、彩音ちゃんのCサイズの胸(本人により申告済み)がむにょむにょと形を変えている。それはブラの上から見ても分かるほどの変化であり、うむ、デカい・・・。
「シネ!!」
「ぐはっ?!」
彩音ちゃんの放った拳は、見事桜ちゃんの右頬を捉えた。うむ、ナイスストレート!!
「桜、彩音のはどうだった?」
「とても、柔らかかったです。そして、デカかったです」
「「「・・・・・」」」
彩音ちゃんはその頬を少しだけ赤く染めながら、猛スピードで上着を着込んでいく。そして、そんな彩音ちゃんをニマニマ顔で見つめる桜ちゃんと雪ちゃん。
「ふむ、流石は我ら四天王の中で最強の胸を持つ女。やりおるわ」
「全く、私なんてようやくAAからAへと進化したばかりだというのに・・・」
二人はAサイズの胸(本人たちにより申告済み)を自分の手で軽く揉みながら、小さな溜息を零している。
「いいから、あんたたちもサッサと着替えなさいよ!ほら、もう時間も無いし!!」
「「は~~い」」
そうしておバカな遣り取りをしている間にも、短い休み時間は過ぎていく。私たちは急ぎ着替えを済ませグラウンドへと向かい、始業の鐘ギリギリのタイミングで待機場へと滑り込むのだった。