第51話:図書室での推理
小林 美乃里という一年女子生徒から脅迫を受けた日の翌日の放課後、私と雪ちゃんは図書室にいた。
「今日一日、色々と探ってみたんだけどさ」
「うん・・・」
「ぶっちゃけ、な~んにも分からなかった」
「・・・・・」
そっかぁ~、そっかぁ・・・。
「だけどね?一応気になる情報はあったんだよ。それはね?」
雪ちゃんがこの学校で築き上げた情報網を駆使して集めた情報、それは、一年の小林さんと私たちのクラスの新地君が知り合いらしいという情報・・・。
「それって、何か関係ある?」
「さぁ?」
・・・・・。
「二人は所謂幼馴らしいんだけどさぁ~。保育園も小学校も中学も同じ、一歳違いの生粋の幼馴染」
「・・・・・」
で?それが今回の件と何か関係が?
「それくらいしか、使えそうな情報がなかったんだよ」
「・・・・・」
「彩音にもそれとなく訊いてみたんだけどさ、峰島中学に知り合いがいるかどうかなんて、ぶっちゃけ外からじゃ分からないじゃん?」
「まあ、そうなんだけどさ」
でも、私の秘密を知ってるってことは、峰島中学に知り合いがいるってことのはずで・・・。
「「う~ん・・・」」
考えても考えても、答えは出ない。今の私たちには、圧倒的に情報が足りていない。
「そもそもの話なんだけどさ。その小林って子が言ってる夏ちゃんの秘密って、別のことなんじゃない?」
「別のこと?」
「そう、別のこと」
「・・・・・」
いやまあ、勿論その可能性もあるんだけどさ。
「だとしたら、それは何だって話なんだよねぇ~」
私、別に皆に秘密にしていることってないんだけど・・・。それこそ、今抱えている超弩級の爆弾以外は・・・。
「例えば、胸が小っちゃいとか?」
「いや、そんなの見れば分かるじゃん・・・」
「実は、体重がクソ重いとか?」
「別に重くないし。てか、人の体重なんてどうやって知るんだよ」
あぁあああぁぁぁぁ?!分からん?!全然分からん?!
「「う~ん・・・」」
そうして二人でウンウンと唸っていると、図書室の入口の方から扉が開く音が聞こえてきた。
「おっ?やっと来たかな?お~い!ぶちょ~~お!!」
私たちの目の前へとやって来たのは文芸部部長の鈴木君と、そしてもう一人・・・。
「・・・・・」
どことなく憮然とした表情を浮かべる鈴木君の横には、悄然とした様子の小林さんの姿があったのだった。