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コンプレックスガール  作者: ぴよ ピヨ子
終章:過去との決別と未来の私
231/241

第231話:懐かしの場所

 時は少しだけ進み、今は二月の上旬。桜の季節まであと少しと迫った冬のとある週末に、私は懐かしい場所にいた。

 週末だからなのかたくさんの人々が行き交い、その中には学生なのだろう若い人の姿も目立つ。そんな人たちで賑わうこの場所は、私が大葉中学時代に雪ちゃんたちと一緒によく訪れた駅前広場。


「何だか、懐かしいね・・・」

「・・・・・、そうだね・・・」


 その場所で待ち合わせしていた彩音ちゃん共々、私はなんだかしんみりとした気分になってしまった。


さくらちゃんは、どんな感じ?」

「元気だよ、家が近いから今でもちょくちょく会うし。ただ、休みの日とかは高校の友達と遊ぶことが増えたから、あんまり遊べてはいないんだけどね」


 電車の駅で、三駅分。待ち時間等も込み込みで一時間程度のその距離は、思いの外遠くて・・・。


「雪ちゃんも、元気そう?」

「う~ん、どうだろう・・・。夜の時間とかはちょくちょく電話で話してるんだけど、勉強が忙しいらしくてさ」


 以前は、中学生時代には、よく四人でカラオケとか行ってたんだけどなぁ~。結局、高校入学式前のあの日、四人で集まって遊んだあの時以降私たちは集まれていない。


「桜とは、連絡取ってる?」

「うん、たまぁ~にだけど・・・」

「そっか・・・」

「・・・・・」


 中学から高校へと上がり、新しい友達ができて・・・。物理的な距離も手伝って、思っていた以上に昔の友達と会うタイミングがなくて・・・。


「もう少ししたら、大学受験じゃん?」

「・・・・・、そうだね・・・」

「もしも、もしもだよ?もしも違う大学に進んだら、私たち、もう会うことも無くなっちゃうのかな?」

「・・・・・」


 彩音ちゃんの問いかけに、私は答えることができない。今の私には、未来の私のことなんて分かるはずもない。


「それは、寂しいよね」

「うん、そうだね」

「偶にでいいから、皆で会いたいよね」

「うん・・・」


 私たちの目の前を、仲の良さそうな男子グループが駆け抜けていく。彼等は馬鹿笑いしながら、楽しそうに人混みの中へと消えていく。


「「・・・・・」」


 そうして待つこと十数分後、私たちの目の前へと待ち人たちが集まってきた。彼等のうちの一人は駅とは反対側から、他の二人は駅の建物の中から・・・。


「ゴメンゴメン!!待った?」


 慌てた様子で私たちの元へと駆け寄ってきたのは、枕崎まくらざき 香奈恵かなえさん。そう、あのBL普及委員会会長にして元我らがクラス委員長でもある彼女その人である。そして・・・。


「ゴメンゴメン、こっちの方にはあんまし来たことなくてさ。駅中でちょっと迷ってたんだ」


 そう言って軽く頭を下げるのは、内田君。彼は隣で戸惑うもう一人の男子を軽く肘で小突くと、それとなく後ろの方へ下がる。


「あの、えぇ~っと、おはようございます?」


 内田君によって促され、そう声を発した男子。それは、深山君。彼は集まった私たちを見回しては困惑し、何故か後ろへと下がった親友を見てさらに困惑している。


「今日は、集まってくれてありがとう。本当なら、今日の催しは私と伊東いとうさんだけで行うつもりだったんだけど・・・。でも、これだけの人数がいれば文芸部の活動としても申し分ないし、いい報告書が書けそうね!!」


 内田君によってもたらされた、とある情報。それは、未だに私への未練を捨てきれずウジウジと悩んでいるらしい深山君の現状。


「上手くいくといいね?」

「・・・・・」


 それを私から又聞きし、後日内田君を空き教室へと皆で連行し、そうした後にさっちゃんが考え出した一つの作戦・・・。


「それじゃあ行きましょう!我らが聖地へ!!」


 「がっかりだよなっちゃん?!大作戦!!」が今、ここに開始されたのだった。

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