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コンプレックスガール  作者: ぴよ ピヨ子
第二章:新しい学校生活
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第22話:新しいクラスメイトたち

「さっきはごめんね?名前も名乗らないで質問ばっかり・・・」


 そう言って両手を合わせながら茶目っ気たっぷりに謝ってくるのは、雪ちゃんの親友であるらしい田辺たなべ さくらさん。


「峰島中学から来たって聞いて、ちょっと驚いちゃって。もしかしたら沙紀ちゃんのこと知ってるかなぁ~って」


 そう言って田辺さん同様に頭を下げてくるのは、伊東いとう 彩音あやねさん。


「二人共、一応私の親友なんだけどさ・・・」

「一応って何よぉ~」

「そうだそうだ!一応って何だぁーーっ!!」


 明るい性格の雪ちゃんらしく、その友達である二人も随分と愉快な性格をしているらしい。


「こんな感じで、ちょっとオツムが足りないっていうか、気遣いが足りないっていうか・・・」

「足りないって言うなぁ~~!!」

「そうだぞぉ~!勉強が苦手なのは本当だけどなぁ~~!!」


 騒がしくも愉快な三人組と私は、人気の少ない校舎の中を気の向くままに歩く。


「とりあえずここが体育館で、更衣室がこっち」

「で、向こう側がグラウンドね?体育とかの時はここで着替えて、グラウンドか体育館に行くわけ」


 はぇ~、前の学校では教室で着替えてたけど、こっちでは更衣室で着替えるんだぁ~。


「そんでもって、こっち側が図書室とか音楽室が集まってる区間」

「職員室は、さっき行ったから分かるか。後はぁ・・・」


 新しく通うこととなる大葉中学校の校舎は、峰島中学校とそこまで大差なかった。同じ市が管轄する学校であり、場所も近く土地の広さも似たような感じだから当然といえば当然なんだろうけれど。


「体育の時は階段の昇り降りが面倒なんだよねぇ・・・」

「ねぇ~?教室から無駄に遠いし・・・」

「理科室とかは滅多に使わないから別にいいんだけどさぁ~」

「休み時間十分しかないのに、あそこまで移動して着替えて、それで整列しろって・・・」


 私への校舎案内は、いつの間にか校舎への愚痴大会へと変わっていた。いやまぁ~、気持ちは分かるけどねぇ~?


「そういえば、夏姫ちゃんは部活どうするの?」

「部活?」

「そう、部活。確か、前の中学では文芸部だったんだよね?」

「うん、まぁ・・・」


 一応、そういうことになってますねぇ~、設定上では・・・。


「雪ちゃんも文芸部なんだよね?」

「そう、なんちゃって文芸部。文芸部とは名ばかりで、その実態は皆幽霊部員の集まりの帰宅部」


 そっかぁ~、帰宅部かぁ~。


「夏ちゃんも入る?帰宅部」

「いや帰宅部ちゃうし!文芸部だし!!」

「でも、実質帰宅部じゃん?」

「そうだけど、そうなんだけど!!」


 そんな感じでワーワーガヤガヤと賑やかに騒ぎながら、私たちは文芸部が活動しているはずの図書室へと向かう。


「・・・・・。誰もいないね?」

「「「・・・・・」」」


 本日は始業式とホームルーム、後はヤル気のある部活動のみ。だから、校舎の中には人影が少なかった。


「ウチの学校、基本皆運動部だからなぁ~」

「そうだね。野球とサッカーと陸上と、後はバレーと卓球とバスケと・・・」


 誰もいない図書室を後にし、私たちは教室へと戻る。


「とりあえず、今日のところはこんな感じかな」

「そうだね。後は、明日以降ちょっとずつ慣れていけばいいし」


 バックを背負い、私たち四人は揃って教室を後にする。


「それじゃあ、私たちはこっちだから!!」

「また明日ね!バイバーイ!!」


 元気いっぱいな二人のクラスメイトたちに見送られて、私と雪ちゃんは家を目指したのだった。

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