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コンプレックスガール  作者: ぴよ ピヨ子
第十一章:冬の始まり
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第213話:初デート???:その結果やいかに・・・

 週末明けの月曜日の昼休み、私たちはいつも通り五人で駄弁っていた。その話題の中心は勿論眞鍋さんのデートの話であり、当然そうなるものだと私は信じて疑わなかったのだけれど・・・。


「でねでね?『二人の王子様はドM』って本が私のイチオシでね?」


 えぇ~っと、何だって?


「会長曰く、あの本には受けの真髄が書いてあるんだって」


 う、受けの真髄???


「あれは、BLの中でも入門書的なシリーズだからね」

「そうそう!会長もそう言ってた!!」


 ・・・・・。


「結局、何冊買ったの?」

「えぇ~っと、確か十冊くらい」

「へぇ~?結構買ったじゃん」

「まぁね?会長に色々と教えてもらったし、せっかくの機会だったから」


 良い笑顔で、答える眞鍋さん。同様に良い笑顔で、サムズアップする彩音ちゃん。


「ねえ、ちょっと訊いてもいい?」

「ん?何?」

「他には、どんな本があるの?その・・・、お勧めっていうかさ・・・」


 あの、甲山さん?さっきから何をメモってらっしゃるんです?


「他にはぁ~、『意地悪な先輩と意気地なしの僕」とかぁ~」

「あぁ、それもまたメジャーどころだねぇ~」

「そうそう!!他にもぉ~、『俺様男子たちの湯煙事情』とか」

「おぉ~、それはちょっとマイナーかも?」


 唐揚げを、頬張る。ついでに白米も、頬張る。てか、鈴木君の話どこ行った?!


「あ、あのぉ~?」

「ん、何?」

「えぇ~と、結局デートはどうなったの?」

「え?デート?」


 ポカンと、虚を突かれたような表情を浮かべる眞鍋さん。


「先週、デートに着ていく服とかどうしようって言ってたじゃん?だから、鈴木君とはどうなったのかなぁ~って」


 卵焼きを頬張りながら、眞鍋さんは考えるような素振りをする。


「私さ、思ったんだよね・・・。恋愛とか、別に焦んなくてもいいかなぁ~って」

「・・・・・、え?」

「いやさ、考えてみてよ?上手くいくかも分からないリアルなんかよりも、夢見させてくれるフィクションの方が数百倍楽しいじゃん?」


 そ、それは・・・。


「私さ、昔っから漫画とか本読むのが好きで・・・。ドラマとかも好きで・・・。でもさ、その中で演じられる恋模様なんて、現実ではないわけじゃん?」


 真鍋さんはそう言って、残っていたミニトマトを口の中へと放り込む。


「私はさ、自分だけの王子様を探していて、でもそんなもの現実にはいなくて・・・。だけど諦められなくて、創作物の中のヒロインみたくなりたくて・・・」

「・・・・・」

「でも、ちょっと疲れちゃったっていうか・・・。文化祭の時とかも頑張ったんだけど、それだけじゃ全然どうにもならなくて」

「・・・・・」


 どこか擦れたような、そんな表情を浮かべる眞鍋さん。


「ここだけの話にしてくれる?」

「え?う、うん・・・」

「鈴木君、彼女がいるんだよ。しかも、とびっきりの美人さんがさ」

「「「「え?」」」」


 それは、初耳っていうか・・・。


「書店巡りしてさ、お昼にファミレス寄ったわけ。そこで、会長が鈴木君にモデルの話をしたんだよ。勿論、会長オリジナルのBL本のね」

「「「「・・・・・」」」」

「そしたら鈴木君、彼女がいるから無理だって。万が一にも自分の彼女にそれが見つかったら、色々とよろしくないからって」

「「「「・・・・・」」」」


 証拠として、鈴木君はスマホの待ち受けを見せてきたらしい。そこに映っていたのは、仲睦まじそうに微笑む二人の男女の自撮り画像で・・・。


「彼女とは幼馴染で、高校進学を切っ掛けに付き合い始めたらしいんだ。はは、笑っちゃうでしょ?私はそれを知らなくて、ずっとずっと独り相撲でさ」


 空になった弁当箱を、意味もなく箸で突き回す眞鍋さん。


「本当に笑っちゃうよ。ははは・・・」


 その目は次第に虚ろになり、表情は消えていき・・・。


「はははははは・・・」

「「「「・・・・・」」」」


 どうやら私は、特大の地雷を踏み抜いてしまったらしい・・・。

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