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コンプレックスガール  作者: ぴよ ピヨ子
第十一章:冬の始まり
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第205話:広がる腐海

 武井先輩と二人っきりの超気マズい会談を終えたその翌日の日曜日、私はともちゃんの部屋にいた。そこには私とともちゃんの他に眞鍋まなべさんたちの姿もあり、部屋の中は実に賑やかである。


「今度の週末、デートの約束をしたの!!」

「へ、へぇ~~?」

鈴木すずき君と枕崎まくらざきさんと、私の三人で!!」

「ん?うぅ~ん?」


 昨晩、事の次第をともちゃんへと連絡し、その結果皆で今後どう動くべきか話し合おうとなり・・・。そして何故か今、私たちは眞鍋さんの惚気?話を聞かされていた。


「さ、三人で?」

「そう!三人で!!」

「何故?どうして?」

「さあ!知らない!!」


 真鍋さんのテンションは、いつもの二百パーセント増しといったところだろうか。そのせいで話の内容がやや支離滅裂気味であり、彼女が何を言っているのかイマイチ理解できない。


「え、えぇ~っと・・・。そもそも、そのデートとやらは誰の提案なの?」

「えぇ~っと、確か、枕崎さんかな?」

「「「???」」」

「昨日鈴木君から連絡があってさ、今度の土曜日か日曜日に文芸部の活動として地元の書店を回るから、よかったら一緒にどうかって誘われて」


 ふ、ふぅ~ん?


「文芸部の活動なら、彩音あやねちゃんはいないの?」

「いないらしい」

「てか、どういった活動なの?」

「さあ、そこはまだ詳しく聞いてない」


 ・・・・・。


「ちょっと、彩音ちゃんに電話してくる」

「お、おけ・・・」


 あ、もしもし?彩音ちゃん?私だけど・・・。そう、その件で・・・。

 そうして数分後、私は部屋へと戻り・・・。


「いやおかしいでしょ!!三人でデートって・・・、意味分かんないんですけど?!」


 部屋の中ではともちゃんと眞鍋さん、そして甲山こうやまさんが喧々諤々の議論を繰り広げていた。


「デートだもん!これは絶対にデートだもん!!」


 そう言って、顔を真っ赤にする眞鍋さん。


「さっちゃん、目を覚ましてよ!最近のアンタ、ちょっと頭の中ピンク過ぎだよ!!」


 そう言って、眞鍋さん同様顔を真っ赤にする甲山さん。


「何で?!何でそんな酷いこと言うの?!」

「酷いことじゃないよ!これは、ただの厳然とした事実だよ!!」


 今から約一週間前に頑張って鈴木君との距離を詰めにいって、そして、少なくとも顔見知り程度の関係にはなれたはずの二人。


「あの、ともちゃん?」

「ん?どったの?」

「ちょっとこっち来て」

「・・・・・」


 今尚言い合う眞鍋さんと甲山さんを尻目に、私はともちゃんへとコソコソ耳打ちする。


「電話で彩音ちゃんに聞いたんだけどさ」

「うんうん」


 えっと、その・・・。


「今度の土日に、BL普及委員会の活動があるらしくて、ね?それで、鈴木君はその、薄い本の登場人物にされかけてるらしくて・・・」

「・・・・・」

「書店を回るのは本当らしいんだけど、その目的が、参考用のBL本を探すことらしくてさ」

「・・・・・」


 自身の事をBL本の主人公として描こうとしている人物と一緒に、その参考書となるであろうBL本探しをさせられる鈴木君・・・。そんな彼は今、どんな気持ちで次の週末を待っているのだろう。


「絶対に、絶対にデートだから!!」

「いやだから、デートは二人でするもんでしょ!三人はおかしいってば!!」


 枕崎さんと二人っきりになるのが嫌で、だからといって男友達を誘うのはそれはそれは微妙な状況で、だから、誘えるのはBL普及委員会に入会していないであろう眞鍋さんくらいしかいなくて・・・。


「「・・・・・」」


 鈴木君、どうか、強く生きてほしい。心の底から、私はそう思うのだった。

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