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コンプレックスガール  作者: ぴよ ピヨ子
第十章:桃色の青春のために
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第189話:文化祭実行委員会議

「いよいよ、今日だね?」

「うん、そうだね・・・」

「楽しみだねぇ~?」

「・・・・・」


 つい先日、不幸にもじゃんけんに負け、文化祭の実行委員に選ばれてしまった私。そんな私は鈴木君目当てで実行委員に立候補した眞鍋さんと共に、実行委員の会議へと向かっていた。


「やっと、やっと鈴木君に会える」

「・・・・・」

「合法的に、自然な形で、鈴木君に」

「・・・・・」


 キラキラとその瞳を輝かせ、テンション爆上がり中の眞鍋さん。そんな彼女とは対照的に、私のテンションは駄々下がりである。

 そもそもの話、鈴木君は本当に実行委員になったのだろうか?この情報は鈴木君と同じ文芸部に所属する彩音ちゃんからの情報なのだけれど、あくまでもそうする予定だって話であって、鈴木君が実行委員になるかどうかは別に確定した話ではないと思うのだけれど・・・。


「うふふふふ」

「・・・・・」

「うふふふふふふ」

「・・・・・」


 目的の教室目指して廊下を進み、やって来たのは一般的な教室よりも広めの多目的教室。そこには既に多くの生徒たちが集まっており、私たちも空いている席へと急ぐ。


「あっ、鈴木君」


 真鍋さんの視線を追っていくと、そこには鈴木君の姿があった。彼は同じDクラスのクラスメイトなのだろう女子と並んで座っており、それを見た眞鍋さんの眦はつり上がっていく。


「誰よ、あの女・・・」

「たぶん、鈴木君のクラスメイトだと思うよ」

「くぅ~」

「・・・・・」


 嫉妬に狂う眞鍋さんは一先ず置いておくとして、高校ともなるとこのような会議に参加する人の数も相応に多い。複数のクラス合同で使うことが想定されているこの教室はかなり広いはずなのだけれど、そんなここも残されている席はもうあと僅かである。

 見渡す限りの人!人!!人!!!この場には全クラスの代表が二人ずつの三十六人に加え、更には各部活動の代表者や生徒会の人たちも集まっているから、全部で百人近くいるんじゃないかな?


「ん?あれは・・・」


 そしてそんな人が溢れるこの教室には、他にも見知った顔があった。それは、Bクラス所属の新島さん。


「あっ」


 私が向けた視線に、向こうも気付いたみたいだ。彼女は嬉しそうに顔を綻ばせ、私に小さく手を振っている。


(そっか、新島さんも実行委員に・・・)


 彼女は体育祭の時の告白が元となりクラスで浮いてしまっているらしいのだけれど、色々と大丈夫だろうか・・・。ちょっとだけ心配ではあるのだけれど、Bクラスは遠いしなぁ~。


「なっちゃん、どうしたの?」

「ううん、何でもない」


 私が眞鍋さんに話しかけられたのを見て、新島さんはその視線を前へと戻す。そんな彼女の隣に腰掛けているクラスメイトと思しき男子とは特に会話している風もなく、それがまた私の心をザワつかせる。


(ん?ちょっと待てよ?あの横顔、あの髪型・・・)


 よくよく見てみると、その男子は私の幼馴染の一人によく似ていて・・・、ってか、陽介じゃん?!


(え、何で?何で陽介が?)


 私やともちゃんと同様に、陽介もこういった実行委員とか面倒臭がってやりたがらない派なんだけれど・・・。


(もしかして、じゃんけんで負けた?)


 それは、可能性としては全然考えられることで・・・。


(ふ~ん?そっか、ふ~ん?)


 気付かぬうちに緩んでしまっていた口元を眞鍋さんに指摘され、私は慌ててその表情を引き締める。そのままちょっとだけ熱くなってしまった頬を両手で冷ましながら、ニマニマ顔の眞鍋さんから視線を外し顔を前へと向けるのだった。

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