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コンプレックスガール  作者: ぴよ ピヨ子
第十章:桃色の青春のために
188/241

第188話:圧倒的敗者

 じゃんけんで勝つためのコツ、というものがあるらしい。そのコツというのは、シンプルに初手でパーを出すというもの・・・。

 人間の手は構造的にグーとパーが最も負荷が少なく、それ故に無意識化だとグーとパーが選出されやすい。だから選出されにくいチョキは一旦置いておいて、グーに勝てるパーを出せば高確率で勝ち、最悪でもあいこに持っていけるということらしいのである。


「ふぅ~」


 教卓の前で仁王立ちする先生を眺めながら、私は呼吸を整える。


(大丈夫、私は負けない・・・。そもそも私以外にも四十人近くいるんだし、負けるはずがない・・・)


 先生が、ゆっくりと右手を掲げる。その手はグーの形をしており、そのままお決まりのフレーズを口にする。


「最初はグー、じゃんけん・・・」


 私は、勝ちにいく!私は初手で、この戦いから離脱する!!


「それじゃあ、先生に勝った者は座れよぉ~」

「先生、あいこは?」

「あいこは負け扱いだ。勝った者だけ座れ」

「えぇ~~」


 先生の初手は、パー・・・。私の初手も、パー・・・。


「じゃあ、次いくぞぉ~~」


 くっ、次はどうする?次手はどうする?!


「うがぁ~~?!また負けたぁ~~?!」

「はいはい、じゃあ次いくぞぉ~~?」


 何で?!何でまたパーなの?!グーを出してよ先生?!


「ほい」


 それはチョキじゃん?!グーじゃないじゃん?!


「ほらそこ、ズルするなぁ~~」

「げっ・・・」

「次したら、強制的に実行委員な?」

「・・・・・」


 パーじゃ、パーじゃダメだ・・・。ならどうする?私はどうしたらいい?!


「ほい」


 ちょ?!何でグーを出すの?!今こそパーでしょ?!


「ほい」


 うがぁ~~っ?!


「ほい」


 何でぇ~~っ?!


「ほほいのほい」


 あばばばば・・・。


「残りは、二人か」

「「・・・・・」」

「なら、最後はその二人でじゃんけんして、最後に負けた方が実行委員な?」

「「・・・・・」」


 私は、もう一人のじゃんけん弱者と向かい合う。私は震えるその手をゆっくりと掲げ、新地君と向かい合う。


「それじゃあ、さっさとよろしく」


 負けるわけには、いかない・・・。私は、実行委員とかやりたくない!!


「最初はグー、じゃんけん・・・」


 ヤル気の一切感じられない気の抜けた新地君の掛け声とともに、私は頭をフル回転させる。勝つために出すべき手は、コレだ!!


「じゃあ、もう一人の実行委員は一色な」

「・・・・・」

「文化祭の出し物については・・・、面倒だし明日でいっか」

「・・・・・」


 パー、滅茶苦茶弱いじゃん・・・。グスン・・・。

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