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コンプレックスガール  作者: ぴよ ピヨ子
第七章:高校一年生
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第133話:うぅ~~

 私には最近、悩みがある。それは、陽介とあまり話せていないこと・・・。

 クラスが違うから学校で一緒に行動するのは難しいだろうけれど、朝の時間は三人で一緒に学校まで向かい、帰りだって時間を合わせれば陽介と一緒に帰ることができるハズなのに・・・。それなのに・・・。


「うぅ~~」


 私はベッドの上で唸りながら、ゴロゴロと無意味に体を回転させる。


「何故、何故なんだ・・・。神様はどうしてこんなにも意地悪なんだ・・・」


 陽介が行き帰りで私たちと行動を共にしていない理由、それは私が苦手とする男子、武井君の存在が大きい。


「よりにもよって陽介と武井君が同じクラスなんて・・・。しかも行き帰りの電車も基本同じだから、そのせいで余計に話しかけづらいし・・・」


 私たち同様、武井君もまた峰島中学の卒業生である。詰まるところ彼の住居もこの街に存在し、当たり前ではあるのだけれど、同じ高校に向かうということは同じ電車を利用することになる。

 その上彼は何故か陽介に対して負の感情を抱いているようであり、そのせいで陽介も非常に動きづらいらしく、私と一緒にいるところを見られようものならば私まで絡まれ、そして・・・。


「う、う~む・・・」


 せめて武井君がサッカー部に入ってくれていれば・・・。そうすれば帰宅部の陽介とは帰りの時間がズレて、私たちと一緒に何の気兼ねもなく帰れるというのに・・・。

 だけれども彼は、サッカー部に入っていない。それどころか、その他の運動部も含めて見学さえしていないようなのである。


「武井君、高校では部活しないのかなぁ~?」


 聞いた話によると、武井君はサッカーの練習試合の時に怪我をして、それ以来サッカーをやっていないのだとか。もしかしたらその怪我の影響でサッカーをすることが難しくなって、それで部活に入っていないのかもしれないけれど。

 でも、峰島中学時代に彼が松葉杖を突いているとかそういった話は無かったそうなので、骨折クラスの大きな怪我ではないようなのだ。いずれにしても陽介は意図的に彼とは距離を置いていたし、そのせいもあってイマイチその辺の事情が分からなかったりする。


「あぁ~、本当にもう・・・。木下さんのこととかも直接相談したいのに・・・」


 学校が終わり家へと帰り、お風呂やらご飯の準備やら洗濯やら、そんなことをしているとあっと言う間に十九時過ぎ。そのあとだって宿題やら予習やらもしないといけないし、スマホ越しに相談できるにはできるんだけれど、向こうだって忙しいかもしれないし・・・。


「はぁ~~」


 まあ、週末になれば時間だって作れるだろうし、その時にじっくりと話せばいいだろう。陽介は今のところ帰宅部だし、流石の武井君だって陽介の部屋にまでやって来ることはないだろうしね。

 私自身陽介に甘え過ぎるのもどうかとは思うのだけれど、最近は甲山さんに身バレし、更には木下さんにも身バレ予定なので私のメンタルはもうボロボロなのである。だから一緒にいて一番気が楽というか、気を遣わなくていいというか、そんな彼と遊ぶことで少しでも擦り減った心のヒットポイントを回復させておきたいのだ。


「というわけで、とりあえずお伺いのメッセージを・・・」


 ポチポチポチのポチっとな。


「さて、寝る前に今日の宿題と明日の予習を・・・」


 そうして一時間が経ち、二時間が経ち・・・。


「・・・・・」


 おかしい、返事が返ってこない。


「まさか、他の女と・・・」


 明日使う予定の教科書類をバックの中へと詰め込みながら、私は呟く。このセリフ、ちょっとだけ言ってみたかったんだよね。


「でも、本当に遅いな。いつもなら結構早めに返信があるのに・・・」


 そうして更に三十分が経ち、ようやく陽介からの返信が来た。


「え?」


 今週末に一緒に遊ぼうという私の誘いに対し、陽介からの返答はNO?!


「・・・・・」


 陽介は、帰宅部ではなくなったらしい・・・。いつの間にやら陽介は、サッカー部(仮)になっていたらしい。


「ま、マジか・・・」


 今のところはまだ(仮)であるらしいのだけれど、今週末には当然の如くサッカー部の練習があり、陽介はそれに参加する予定なのだとか。


「何で・・・、何でなんだよぉーーーーっ?!」


 スマホの画面を茫然と眺めながら、私は絶叫する。こうして私は陽介と過ごす貴重な機会をまた一つ失い、糸の切れた人形のようにバタッとベッドへ突っ伏すのだった。

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