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コンプレックスガール  作者: ぴよ ピヨ子
第六章:アンラッキー警報発令中
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第104話:相乗効果

「いやぁ~、今日はいいもの見れたなぁ~~」


 夕食を終え歯を磨き、そのまま何故か私の部屋へとやって来た雪ちゃんはニヤリとその顔を歪めながら、私のベッドへと腰掛ける。


「私の知らない所で、こんな面白そうなことやってたなんて・・・。何で言ってくれなかったの?もっと早く知ってれば、桜たちと弄って色々とできたのにさぁ~」


 雪ちゃんは自身のスマホを触りながら、私に意味深な視線を飛ばしてくる。


「この写真、他にはないの?」

「ない、けど・・・」

「ふ~ん?」

「・・・・・」


 雪ちゃんから視線を外し、私は自分のスマホへと視線を向ける。


「・・・・・」


 私のスマホには、彩音ちゃんたちからの賞賛のメッセージがこれでもかと大量に届いていた。一度雪ちゃんのスマホへと転送された私の黒歴史は彼女たちのスマホへと再転送され、それを見た彼女たちからは大絶賛の嵐・・・。


「夏ちゃんの幼馴染の女の子、芦谷あしや 知美ともみ、だっけ?」

「うん」

「その子とは仲良くなれそうだなぁ~~」

「・・・・・」


 雪ちゃんとともちゃんの二人は、今まで直接会うことはなかった。私と二人はそれぞれ親しい間柄なのだけれど、駅を三つ隔てた距離にいる二人にはまともに触れ合う機会などそもそも存在しなかったのである。


「夏ちゃんてさ、あんまり向こうの友達のことは話さないじゃん?それは今だけじゃなくて、昔からだけどさ」

「・・・・・」

「だから、いいタイミングかなぁ~って思うわけよ。この前みたいなこともあったしさ?」

「雪ちゃん・・・」


 私が雪ちゃんに幼馴染たちの話をしてこなかったのには、特に深い意味があったわけではない。ただ一つその理由を上げるとするならば、ちょっと気恥ずかしかったというか、それだけなんだけれど。


「今すぐじゃなくてもいいからさ、紹介してよ、芦屋さんのこと」

「う、うん・・・」

「身バレの件とか高校でのこととか、ちょっと色々と私も話したいからさ」


 私のために色々と手を尽くしてくれている従妹の言葉に、私は頷くことしかできない。私はその場でともちゃんへと連絡し、その連絡先を雪ちゃんへと渡す。


「あ、もしもし?私、夏ちゃんの従妹の大代おおしろ 雪花ゆきかって言います」


 そして、連絡先を手に入れた途端にともちゃんへと即電話する雪ちゃん。


「はい、はい、それでお~け~っす。私のことは雪っちでも雪っぺでも好きに呼んでもらって」


 勉強机の椅子に腰掛けながら、私はその様子を静かに見守る。


「うっす。じゃあ今後ともよろしく。バイバ~イ」


 五分ほどの後、雪ちゃんたちは通話を終えた。


「いやぁ~、思っていた以上に気が合いそうっていうか、何か、楽しそうな子だね?」

「そ、そう?」

「うん。何ていうかさ、滅茶苦茶シンパシーを感じるっていうか」

「・・・・・」


 その後、雪ちゃんは機嫌良さそうに部屋を出ていった。あんまり長く居座ると伯母さんから怒られるだろうし、それに、私の従妹は目的を無事達成したみたいだしねぇ・・・。


「はぁ・・・」


 何はともあれ、こうしてともちゃんと雪ちゃんは繋がった。彼女たちはどちらも私の大切な人であり、二人とも私にとても良くしてくれるんだけれど・・・。

 でも、何故だろう?先ほどの通話の後から、私の胸のドキドキが止まらない。二人が知り合うことは決して悪いことではないはずなのに、何故か底知れぬ不安というか、そういったものが首をもたげてくる。


「だ、大丈夫だよね?」


 私は、自身のスマホに保存された桜ちゃんの変顔写真へと視線を向ける。


「・・・・・」


 私のスマホに保存されたそれは、一枚や二枚ではない。すでに数十枚を超えるそれは、決して年頃の女の子がするような顔じゃない。

 続いて私は、彩音ちゃんから送られてきた写真へと視線を向ける。そこには桜ちゃんに負けないくらいの力作たちが揃っており、、もちろんそれらは十代の乙女がするような顔では決してない。


「・・・・・」


 時折彼女たちは、本当に突拍子もない悪ふざけをする。それは変顔であったり下ネタであったり、いずれにしても私が過去に思い描いていた中学生の女子像とはかけ離れたものであった。

 ともちゃんと雪ちゃんが知り合うことで、これに拍車がかからなければいいんだけれど・・・。そんな一抹の不安を抱えながら私はスマホを机の上へと戻し、難解な問題集と向き合うのだった。

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