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コンプレックスガール  作者: ぴよ ピヨ子
第五章:驚異の胸囲格差と夏のプール
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第100話:迷走・・・

 あれから、二日が経った。ともちゃんの独断専行によって三人の女子たちに秘密にしていた過去を知られ、その後皆揃っての全裸テレビゲーム大会によって何故かより一層彼女たちとの絆を深めた私は今、夏風邪で寝込んでいた。


「夏ちゃん、大丈夫?」

「う~ん・・・」

「何か食べたい物とかある?」

「うう~ん・・・」


 灼熱の日差しが降り注ぐ夏場とはいえ、空調でガンガンに冷え切った部屋での全裸テレビゲーム大会は体に響いたらしい。聞いた話によると他の四人も少なからず体調を崩しているみたいだし、全裸姿のままで数時間も過ごしてしまったのは流石にマズかったとしか言いようがない。


「何かあったら、スマホでメッセージ送ってね?」

「うん、ありがとう・・・」


 心配そうな表情の雪ちゃんを見送り、私は再びその瞼を閉じる。


「ゴホゴホゴホッ・・・」


 ずっとひた隠しにしてきた私の秘密は、実に呆気なくバレてしまった。しかもそれを直接的にバラしたのは、私が最も信頼を置いている一人の幼馴染。


「眞鍋さんはともかくとして、まさか桜ちゃんと彩音ちゃんにまでバラすとはなぁ・・・」


 意図せぬ形での再会によって、私の抱える秘密は眞鍋さんの知るところとなった。あれは私自身も油断していたし、実質事故みたいなものなので仕方なかったといえばそれまでなんだけれど・・・。

 私がそのことについて眞鍋さんとの話を終えたその後に、ともちゃんと眞鍋さんは話したらしい。ともちゃんは眞鍋さんに全てを語り、その際に眞鍋さんから一つの提案があって、それによってあのようなことが行われたらしいのだけれど・・・。


「終わりよければすべてよし、なのかなぁ・・・」


 結果として私は胸につかえていた毒素を多少なりとも緩和できたし、眞鍋さんだけでなく桜ちゃんや彩音ちゃんとの心の距離も近付けることができたと思う。


「でもなぁ・・・」


 とはいえ、それによって少なからず彼女たちに迷惑を掛けたのも事実であり、一応元男子であった私の前で裸体を晒すという苦行までさせてしまったわけだし・・・。


「う~む、ゴホゴホッ・・・」


 まあ、今は深く考えても仕方がない。熱っぽい頭ではどうせ碌な考えが浮かばないだろうし、彼女たちには日を改めてお礼というか謝罪というか、何か考えることとしよう。


「すやぁ~」


 そうしていつの間にか眠ってしまって、私は夢を見た。その夢の中で私は男の格好をしており、というかその夢の中の私は夏姫ではなく夏樹であった。


「夏樹君、私と一緒にデートしよ?」


 夢の中の眞鍋さんがそう言って、腕を絡めてくる。


「私、夏樹君のために一生懸命お願いして、これを作ってもらったんだ」


 片腕を絡めたまま夏樹の顔を覗き込み、眞鍋さんはもう片方の手に持っていた紙袋を渡してくる。


「これは、バニースーツ?」

「そう!バニースーツ!!」


 それは、紛うことなきバニースーツであった。


「夏樹君に、きっとよく似合うと思って」


 男であるはずの夏樹に向かって、満面の笑みでそう語る眞鍋さん。


「だから、皆の前で着てほしいな?」


 気が付くと場面は暗転し、夏樹の視線の先には全裸姿の四人の少女たちがいた。


「私たちの裸を見たんだから、責任取ってよね?」

「そうそう。このバニースーツを着て、しっかりと責任取ってもらわないと」


 全裸姿の女子たちに言われるがままに、夏樹は服を脱いでいく。そして明らかに男性用ではないそれを、無理矢理着込んでいく。


「さっすが夏樹君!夏樹君は何を着てもよく似合うねぇ~!!」


 全裸姿の桜ちゃんが、そう言ってピョンピョン跳ねながら嬉しそうにしている。


「ホントホント!夏樹君には女の子の格好が良く似合うねぇ~!!」


 同じく全裸姿の彩音ちゃんが、そう言って満面の笑顔を浮かべている。


「夏樹君は、紛うことなく女の子だよ!!」

「そうそう!立派なアレは付いているけれど、夏樹君は間違いなく女の子だよ!!」


 全裸姿の四人の女子たちは口々に似合う似合う叫びながら、夏樹の股間を凝視していた。


「・・・・・」


 ちなみになんだけれど、今は亡き私のアレは決して大きくなどなく、陽介のと比べても全然小さかったハズ・・・。


「夏樹君!次はこれを着てみて!!」

「いやいや、次はこれだって!!」


 そうして私の夢は混迷を極めていき、体の揺れとともに私は覚醒した。


「夏ちゃん、夕食だって」

「う、う~ん?」

「大丈夫?部屋まで持ってこようか?」


 私は小さく首を横に振り、雪ちゃんに支えられながら部屋を後にする。


「・・・・・」


 久しぶりに見た夢は、実にカオスだった。あれは私の迷走する深層心理から来るものなのか、それとも別の何かによるものなのか・・・。伯母さんが作ってくれたお粥を啜りながら、私は一人思考に耽るのだった。

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