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通い妻となったクラスメイトに堕落させられる  作者: 進道 拓真
第二章

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第四十四話 いつもとは違う姿で


 いきなり背後から呼びかけられた声に驚きながら振り返ってみれば、そこにはいないと思っていた真衣と唯がいた。

 唯の方は何故俺がここにいるのかと信じられない顔をしながら。……そして真衣の方は、ニヨニヨとした笑みを浮かべながら。


「なんだ真衣、来てたのか! いやー偶然だな!」

「……てめぇ、図りやがったな」

「さて、何のことだ?」

「こいつは……」


 もうその態度で全てを察した。

 今回の遊びの誘いは仕組まれたものであったと。


 考えてみれば、最初の時点で違和感を覚えるべきだったのだ。

 唯に対して真衣が誘いを持ち掛けてきた日程と、拓也に誘いをしてきた颯哉が日にちを被らせてくるなど、その段階で何かあると言っているようなものだったのだ。


 …こいつらが全ての元凶であることは変わりないが、何の疑問も抱かずに来てしまった自分の間抜けさにも呆れてしまう。

 少し深く考えてみれば容易に予想はできたはずなのに、まんまと策にはまってしまったことに情けないことやら……。


 そしてそれは、今もなお現状に困惑している唯も同様だった。

 拓也と遭遇していることに理解が追い付かない彼女は見るからにあたふたしており、少し気の毒になるくらいだ。


「…はぁ。どうせお前の差し金なんだろ、真衣?」

「せいかーい! ごめんねー唯ちゃん。こうなるのも計画のうちだったんだ!」

「え、ええぇ!? 二人で遊ぶんじゃなかったの!?」

「実はそうなの! だってさ……唯ちゃんの水着姿を私が独占しちゃうと拓也に嫉妬されちゃいそうだったし、見せてあげたほうがいいかなーって!」

「何言ってんだよ……」


 確かに、唯の水着姿は素晴らしい。

 彼女が来ている水着は全体的に薄い水色で構成された色合いや、所々にフリルやレースの意匠が凝らされたデザインのものであり、その胸元で水着の紐がリボン状に結ばれている。

 家にいる時にはあまり肌を見せることが無く、布面積が広い服を好んで着ていることが多いので、そのギャップで正直見ているだけでも限界がきそうだった。


 それに加えて、恥ずかしそうに身を縮こまらせているからか、着やせするタイプなのかは分からないが、ほんのりと膨らみを持つ彼女の胸が強調されていて………って、何考えてんだ俺は!

 頭を振り払って邪念を打ち払い、邪な思考を脳の隅へと追いやる。


「まあまあ。こうして合流もできたことだし、せっかくなんだから四人で遊ぼうよ! ねー颯哉!」

「こういうのは人数がいた方が楽しいからな。もちろんいいぞ!」

「白々しいやつらめ……。巻き込んじまったみたいで悪いな、唯」

「そ、それは良いんだけど………その……拓也くん……」

「ん? なんだ?」


 もじもじとしながら、何かを期待するような視線を向けてくる唯。

 その様子に頭に疑問符を浮かべる拓也だったが、先にそれを見ていた真衣がピンときたようで、颯哉に向かってなぜかアピールを始めた。


「ねぇ颯哉! この水着、可愛くない? この前新しく買ったんだけど、似合ってるかな?」


 そう言って真衣は、自分の水着を颯哉へと見せびらかせるようにする。

 真衣が着ているのは全身が黒で構成されているホルターネックタイプのもの。

 首の後ろで水着が固定されるように結ばれているが、比較的布面積が広いことが逆に彼女のスタイルの良さを主張しているようにも見えるから不思議だ。


 そしてそんな彼女の晴れ姿を見せられた颯哉というと、一片の迷いもなく即答する。


「最高に可愛いな! さすが俺の真衣だ!」

「あはは! ありがとねー。やっぱり自分だけじゃ似合ってるか分からないし、不安だったんだよねー」


 そんなことを口走りながら、何かを訴えるかのように拓也へと視線を送ってくる。

 いきなり何をしでかすのかと思っていれば、意味もなくいちゃつき始めたカップルの姿を見て心なしかげんなりとしてしまうが、意図は察した。


 つまり、唯の水着姿をお前が褒めてやれということだろう。

 今も期待感を募らせながら上目遣いでこっちを見てくる唯の姿は可愛らしいが、やはり第三者からの意見というのも欲しいものなのだろう。


(褒める……ね。あんまり上手いこと言えるわけでもないんだが……)


 拓也はお世辞にも口が上手い方ではない。

 頭の中で思ったことはバッサリと口にしてしまうし、それが美点に留まらないことは本人がよく理解している。

 こういう場合にはどう声をかけてやったらいいのかなんてわからないし、どう答えるのが正解なんかなんて見当もつかない。


 だが、正解がわからないというのならわからないなりに、素直な気持ちを伝えるのが彼女への礼儀というものだろうと考え、意を決する。


「あー、その……唯」

「は、はい!」


 背筋をピンと伸ばし、拓也の次の言葉を待つ唯。

 そんな彼女の期待に応えてやれるかなんて不明だ。だから、正面からぶつけてやるしかない。


「その水着……すごい似合ってると思う。なんていうか…すごい、綺麗だな」

「………」


 …これが、今の俺の素直な気持ちだ。

 唯を一目見た時、まるで彼女の周囲の空間だけ異なる空気が流れているのではないのかと思わせるほどに清涼感を漂わせた唯の魅力は、拓也の思考を一瞬停止させるほどに魅力的だったのだ。

 恥ずかしいのでそこまで口にすることはないが、これ以上の表現は今はできない。


 そして拓也の褒め言葉を聞いた唯はというと、硬直でもしてしまったのかと思わせるほどに動く気配が全くない。

 しかし、数秒も経たないうちにハッと意識を覚醒させ、頬に手を当てて彼の称賛を反芻している。


「えへ、えへへ……。そっか、似合ってるんだ……」


 嬉しそうにはにかみながら、彼の言葉を刻み付けるように繰り返す唯は歓喜の感情をこれでもかと醸し出しており、その影響で周りの男性客の視線を独り占めする始末。

 だが、視線を引き寄せられてしまうのにも理解できてしまう。


 こんなにも幸せだというオーラを放ちながら満開の笑顔を放つ美少女がいたら、それは目を引き付けることは避けられないだろう。

 かくいう拓也も、この状態の唯から目が離せなくなってしまっている。

 それだけの魅惑的な何かを彼女から感じ取ったというのもあるが……何よりも、自分の言葉でこれだけ喜んでくれたというのが、拓也にとっても嬉しいことだった。


「よっ、お疲れさん。随分喜んでもらえたみたいだな!」

「…あれで喜んでもらえたのなら何よりだけどな。もっと上手い言い方もあったんじゃないかって思ってるよ」

「あの言い方だから喜んでもらえたんだろ? それは傍目からでもはっきり分かったし、自信持っていいと思うぞ」

「自信、ねぇ……」


 真衣の手によって遠くに連れていかれて、「良かったねー!」と声をかけられている唯の表情を見れば、悪い意味で受け取られたわけではないことくらいは分かる。

 そう簡単に自信なんてつくものではないと思っているが、あれだけ喜んでくれる様を見せてくれるのならば、もう少し素直になってみてもいいのかもしれない。


「まぁ口下手なお前にしちゃ頑張った方だ。そこは誇っていいと思うぜ?」

「……そうかい。そう言ってもらえたなら勇気を振り絞った甲斐もあったよ」

「おう! いずれにせよ、今はプールに泳ぎに来てるんだから、さっさと入ろうぜ! じゃないと何のために来たのかわからなくなりそうだ」

「それもそうだな。…おーい! 二人とも、戻ってきてくれ!」

「あっ、はーい!」

「おっけー! 今行くよー!」


 離れた場所でじゃれついていた唯と真衣を呼び寄せ、こちらに歩み寄ってくる二人を眺めている。

 颯哉の言う通り、ここには休日を満喫するために来たのだから、存分に楽しまなくては損になってしまうだろう。


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