体育館の光と埃の舞
ひだまりのねこさん主催の『集まれエッセイ企画』参加作品です。
朝七時。カーテンを開く。オレンジ色の光がシュッと部屋に差し込んだ。と同時に、飛蚊症が現れる。透明な糸くずのようなものが視界をチラチラと。
何だか埃っぽく感じて、くしゃみを一つ。その原因は、カーテンや部屋にある埃の舞によるもの。でもなんだかとっても、『朝』という感じがして心地が良い。
これには憶えがある。
小学生の頃の体育館。
分厚いカーテンを開けると、薄暗いホールに埃が舞う。そこがパウダースノーみたいで綺麗だった。当時はそれが埃だと知っていても、光の筋に近寄って遊んだものだ。
例えば、天国ゴッコとか。妖精ゴッコとか。光と埃の組み合わせは、幼い頃の私にとっては、なんだかとっても神秘的だったのである。
体育館の限られたひだまりを、奪い合いになったこともあった。中にはカーテンに包まっていた男の子も居た。その子は自分のことを「ドラキュラだ!」と言っていた。今思うと微笑ましい。『ドラキュラ君』によってカーテンが動くことで、さらに埃がたつ。一層キラキラ輝く陽光の筋。
体育館で遊んでいた私たちの笑顔を思い出してみると、太陽の様に眩しかった。あの思い出はあの時にしか作れなかっただろう。一生の思い出だ。
そういった理由で、私は体育館の空間が好きだった。
今の私の部屋は、殆ど換気をしていない。慣れているからか、普段はくしゃみも咳も出ないのだが、カーテンを開けて埃の舞を見ると、喉や鼻がこしょばくなって出てしまう。
くしゃみや咳と一緒に、昔のことを思い出して、少しだけ懐かしくなった。
カーテンの『ドラキュラ君』は、元気にしているだろうか。してたら良いな。そんなことを思う朝だ。
読んでくれてありがとうございます!
エッセイジャンルが盛り上がりますように!
(下に企画概要のリンクがあります。興味がある人は飛んでみてください!)