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遅くなってしまいましたが、評価やブックマーク登録をしてくださった方々、本当にありがとうございます! 今後も応援のほど、よろしくお願いいたします。


近日、第七章の予告を行います。



では、本編をお楽しみください。


いよいよ、例の母子とのお茶会の日である。


あれから、ローウェルの土人形による毒見を試してみたが、うまく成功した。今日から毒見の方法として、実際に運用していくことになった。


「みんな、今日はよろしく頼むな。わかってるとは思うが、不愉快なことがあっても、態度に出すなよ?」と、俺は最後にくぎを刺した。



『それはお前も一緒だ、アース。』


『そうだね、アースは自身のことは何を言われても起こらないけど、殿下や私たちのことを引き合いに出されたら、我慢できないときがあるからね。』


『そうですね。相手もそれをわかって、仕掛けてくる可能性もありますしね。』



と、側近たちが口々に、俺に注意するように言ってくる。どうやら、俺に対する不安の方が大きいようだ。主としては少々傷つくな……。



確かに、ジルや側近のことで何か言われたら……。いや、俺は大人なんだ。相手の挑発には、そう簡単には乗らないぞ。




「あ、あぁ。任せておけ。」




……。側近たちが不安げな目で、俺を見てくる。





「……ほら、時間だぞ。もう行くからな」と、俺はごまかすように窓を開いた。

『大窓』













ーー











俺たちが王城の門の前に移動すると、案内役が待っていた。


いつもの案内役の人じゃないな。ヴァイオレット様か、第二王子専用の案内役なのだろうか?





「では、ヴァイオレット様の離宮へとご案内します。どうぞ、こちらへ」という案内人の指示に従って、俺たちは離宮へと歩みを進めた。







ーー








「ここが、今日のお茶会の会場です。では、私はここで。」


「はい、ありがとうございました」と、俺は軽く会釈をした。





ここは……、中庭か。毒々しい薔薇が、たくさん植えられているな。


俺が、一応偵察の土人形を出してもらおうかと、考えていると、二つの人影が姿を現した。




「あら、もういらしていたの?」という、あざけりともとれるような声色で聞こえてきた。


「……申し訳ございません、本日のお茶会が楽しみで、つい気が急いてしまいました」と、俺は貴族スマイルで応戦した。




そこには、真っ赤なドレスに身を包んだヴァイオレット様と金色の衣装に身を包んだ第二王子が、悠々と姿を現した。 



時間ぴったりだぞ。ホスト役なら時間前から、準備して待機しているのが普通ではないか? 自分たちが、「上」であることを見せつけたいのか?



それにしても、目が痛いな。どちらも装飾華美で、目がチカチカする。豪華すぎて、逆に品がないとはまさにこのことだな。ジルやフローラ様を見習ってほしい。





「まぁ、私たちのお茶会を楽しみにしていてくれたなんて、嬉しいわ。ねぇ、サーカス?」



「そうですね、母上。我々よりも早く到着するとは、感心だな」と、サーカス殿下がいつものように、ムカつく態度で言ってきた。



「……恐れ入ります。」



この第二王子の言動は、いつ見ても腹が立つな。




「では、早速お茶会を始めましょうか。極上のお茶とお茶菓子をご用意したわ」というヴァイオレット様の口が真っ赤に弧を描いた。




極上の毒でなければ、いいけどな。










ーー













「改めまして、本日はお招きいただきまして誠にありがとうございます」と、俺は社交辞令を述べた。



「気にする必要はないわ。私たちも、あなた方とお話がしたかったのですから。」



あなた方? 俺だけじゃないのか? そういえば、俺たちのほかにも、席が三席用意されているな。他にも誰か来るのか? と、俺が考えているとすぐに答えがわかった。




「俺たちの用があるのは、アースとその側近のお前等だ。だから、側近たちも席につけ。あーだが、そっちの元孤児はいらん。気分が悪くなるからな」と、足を組みながら言ってきた。






……は? 



俺は無意識に冷気を放とうとした、その時。




「アース様、私は後ろに控えておりますので、大丈夫です」と、俺の肩を掴んで、アスタが笑いかけてきた。




くそっ、まじでこいつぶん殴りたい……。だが、今はアスタの顔を立てて、不本意だが落ち着こう……。



「あぁ、すまない。後方で、待機を頼む。」



「かしこまりました」、そいうとアスタは後ろに下がった。



「三人はお言葉に甘えて、一緒に席に着こう。」



俺の言葉に三人は無言でうなずき、席に着いた。


他の三人も、何かを飲み込んだような顔をしていた。






「では、楽しいお茶会を始めましょうか。早速、お茶とお茶菓子を用意させるわ。」



ヴァイオレット様がそういうと、侍従たちがお茶の用意を始めた。





――用意されたお茶をヴァイオレット様が最初にのみ、続いて第二王子が飲んだ。



「さぁ、アースたちもお飲みになって。おいしいわよ?」



「はい、ではいただきます。ただ、最初に毒見役としてローウェルに確かめさせますが、よろしいでしょうか?」



「えぇ、公爵家としては当然ね。もちろん構わないわ」というと、真っ赤な唇に弧を描いた。




その余裕は、例の毒のようなものが、超遅効性だからか? それとも、本当にただのお茶なのか……? まぁ、いい。何にせよ、こちらには盟神探水がある。



『取出 土人形』



俺はあらかじめ、盟神探水をしみこませておいた土人形を取り出した。



俺が土人形を渡してアイコンタクトをすると、ローウェルは器用に土人形を操作し始めた。スプーンでティーカップからお茶を一掬いし、それを土人形自身にかけさせて、俺たち四人分の毒見をおこなった。それから、お茶菓子の一部掬い、同じように毒見を行った。



「問題ないです」と、ローウェルがうなずいた。


何も入っていない方の余裕だったか……。少しイラつくが、まあ無難に終わるに越したことはないからな。




「ありがとう。それではみんな、いただこうか。」







……うーん、なるほど。最近は緑茶ばかり飲んでいたから、紅茶の味がわからないな。ジルに習ったとおり、「お茶菓子に合う」とでも、言っておこうか。




「大変美味しいお茶ですね、このお茶菓子にもよく合います。」




「まぁ、嬉しいわ。それよりも、土人形で毒見なんて初めて見たわ。うわさ通り、アースだけではなくて、アースの側近も優秀なのね。」




「恐れ入ります」と、俺は話題を広げられないように無難に返した。




「……そうね、何から話そうかしらね……。まずは、この話題からね。先日は、フローラ様の命を救ってくれて本当にありがとうね。私も、本当に心配で、夜も眠れなかったくらいだったのよ」と、ヴァイオレット様は腕を前に組みながら、わざとらしく言った。



全く、流れるように嘘を吐くな、この母子は。



「いえ、とんでもございません。あれはジルベルト殿下の協力があってはこそです。一人では、叶いませんでしたよ」と、俺はあらかじめ決めておいたことを返した。




フローラ様たちを助けた一件は、体外的には俺とジルの光回復魔法で、協力して治療したことになっているのである。




「まぁ、そんなに謙遜なさらなくてもよろしいのですよ? いえ……、でもそういうことにしておきましょうか。ところで、空間属性に加えて、回復魔法もお得意とは……。ますます、サーカスに必要な人材だわ。ねぇ、サーカス?」と、不穏なことを言い出した。



「はい、母上。おい、アース、今からでも俺の側近にならないか?」




はー、やはりそういう話になるのか。聖王国関係奴らは、押せば何とかなるとでも思っているのか?




「いえ、私には心に決めた主がおりますので、そのお誘いにはお応えすることができません。」



俺がそういうと、サーカス殿下は怒りをあらわにして立ち上がった。



「お前、ジーマンの誘いも断ったらしいな? 俺の大切な従弟の誘いも断るなんて、とんだ恥知らずだな!」と、顔を紅潮させて言った。




あー、そうか。ジーマンとこいつは従兄弟同士だったな。本当に似ているよ、君たちは。特に、傲慢な態度と、その悪い口がな。






「申し訳ございません」と、俺はとりあえず平謝りをしておいた。





「まぁ、サーカス、あまり強引に言うものではないわ。では、別の提案をいたしましょうか」と、口元を扇子で隠しながら、ヴァイオレット様が話題の転換をした。



なんだ、いやな予感がするな……。



「……別の提案とは何でしょうか?」と、俺は時間をかけて聞いた。



「……そうね。先ほども言った通り、あなたの側近はとても優秀だと聞いているわ。さっきの毒見といい、文官としての技量、そして土人形操術に長けたローウェル、容姿も技量も優れた騎士のミラルとキース、どの側近も大変すばらしいわ。ねぇ、サーカス?」と、さっきと同じようなくだりを始めた。




「そうですね、母上。ということで、アース。お前の側近を、俺に譲れ。」



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