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22


「たまに喧嘩するのが、健全ですか……。本当に、主は……」と、ローウェルは天を見上げた。



「何か不満か?」



「いいえ、まったく不満はないですよ。むしろ、清々しい気分ですよ、主。」



「うん? それならよかったな?」



なぜ、晴れやかな気分になっているのかはわからないが、ローウェルが元気になってくれてよかった。諫めてくれる側近は、大切にしないとな。




「それで、主、何をつくっているんですか?」と、興味深そうにローウェルが尋ねてきた。



「入溶剤だよ。風呂に入れる薬というか、気分を落ち着かせて、体にもいい効果のあるものだな。」



「それは……、また斬新な発想ですね。風呂に薬を入れるなんて……。でも、風呂好きなキースにピッタリな物ですね!」



「俺もそう思ってな、それに、前から作りたいと思っていたんだよ。」




人は欲深い生き物だ。でかい風呂では満足したらずに、次は入浴剤まで求める生き物なのだ。次は、何をつくりたくなるのだろうか? 



俺がそんなことを考えていると、どうやらローウェルの薬効抽出が終わったようだ。


あとは、ゆずの果汁を皮や身から絞って、完成だな。







――よし、バスボムの完成だ。あとは、ゆずも風呂に浮かべようかな。



「ローウェル、ありがとうな。」



「いえいえ、貴重な経験でした。早くキースに、試してもらいたいですね。」





そうだな、風呂の時間が楽しみだ。キース、喜んでくれるといいな……。










ーー












少し時間がたち、夕食の時間が近づいてきた。


キースも起きたみたいで、俺はキースに夕食を食べられるかどうかを聞いてみた。


「あぁ、食べられはするが……。まだ、動きたくないな。」


「そうか、なら手軽に食べられるものを持ってくるよ。」



よし、じゃあ、少年が好きなハンバーガーをつくろうか。今朝の朝食の残りのパンをあるしな。



俺は、いつものように厨房へと入っていった。














ーー










「キース、お待たせ」と、俺は自信作を携えて、部屋へと入った。



「あぁ、悪いな。用意してもらって。」


「これくらい全然大丈夫だよ。あ、俺もここで食べるからな。あいつらは、食堂にいってるよ。」



「そうか。それは……なんだ?」と、雰囲気明るめにキースが聞いてきた。



「これは、ハンバーガーだな。前に、肉をミンチにして捏ねて作る、ハンバーグは出したよな? 簡単に言うと、そのハンバーグと野菜をパンにはさんだものだな。とりあえず、食べてみてくれ」と、俺は早速一個、キースに差し出した。



味にも、結構自信があるぞ。



「いただきます」というと、キースは持ち方に苦労していたが、一口食べた。



「どうだ、おいしいか?」と、俺は期待半分に聞いてみた。



「あぁ、うまいな。」


そういうと、キースの雰囲気が柔らかくなった。キースは、表情はさほど変わらないが、雰囲気はすごくわかりやすい。



「……キースはわかりにくくて、わかりやすいな。」



「あ? どういう意味だ?」と、キースが訝しむ。



「うん? 何でもないよ。さぁ、ちゃっちゃと食べて風呂にいこーぜ。」












ーー










俺たちは夕食を食べ終わり、四人で風呂場にきた。




「さぁ、今日の風呂は特別仕様だぞ。」

『取出 入浴剤』



そういうと、俺は大きなバスボムを取り出した。



「これは、帰ってきてからローウェルと作っていたものですか? 材料は……あの掃除に使う粉ででしょうか?」と、アスタがきいてきた。本当に掃除用の粉を使ったのかと、心配しているのだろうな。



「その通りだ、アスタ。これは入浴剤と言って、風呂に入れる薬みたいなものだ。効力も保障するが、香りもぜひ楽しんでほしい。リラックスできるぞ。」




「それは楽しみですね! ですよね、キース?」と、アスタがキースに話を振った。キースことを、心配しているのだろうな。



「あぁ、そうだな。俺のためにか?」



「そうだな、痺れ用の解毒草の薬効を抽出しているが、これは俺が前から作りたかったものだ、あまり気にするなよ?」



「あぁ、ありがとう」、そういうとキースはふっと笑った。




「主、冷えますので、早く入りましょうよ!」


「そうだな、じゃあ、入れるぞ!」



俺が風呂にバスボムを入れた瞬間、炭酸が勢いよく発生し、と同時に、ゆずの香りが広まった。


これは……懐かしいな。






「これは……、ゆずの香りが心地いですね。」



「そうだな、それに……。残っていた体の痺れが取れていくな」と、キースが目を閉じた。よかった、しっかり聞いているようだな。



「よかった、しっかり薬効が聞いているようだな。ローウェルの腕が、いいおかげだな。」



「主の調合のおかげですよ。それに、この入溶剤に回復魔法をかけてましたよね? そのおかげで、薬効が高まっているんじゃないですかね?」と、ローウェルが思い出しながら聞いてきた。



俺は調合の際に、ダメ押しでバスボムに回復魔法をかけてみたのだ。


「それはあるかもしれないな。これからも、使えそうだな。回復草を調合した入浴剤をつくって、厳しい訓練の後に使うとかな」と俺が言うと、皆目を輝かせた。




「いいですね! しかしこれは……、かなり注目を集める商品なのではないでしょうか?」と、アスタが不安を口にした。




「確かにそうだな、貴族相手ならかなり売れそうだな」と、キースも同意した。



確かにな。売りに出せば、リバーシといい勝負をしそうだな。だけど、入浴剤は消耗品だから、結果的には入浴剤の方が売れそうだな。


まぁでも、そこまでお金には困っていないし、自家消費にとどめておこうか。




「売れそうではあるが、そこまで金に困っていないからな。俺たちで楽しむことにしようか。」


俺がそういうと、全員が頷いた。



「俺もそれでいいと思う。あと、これって香りを変えられるのか?」と、前世の俺のようなことをキースが言ってきた。



「可能ではあると思う。何か、試したい香りでもあるのか?」



「特にないが、日替わりで変えられたらいいかなと思ってさ。」



「バ〇クリン紹介しようか?」



「は? 何て言った?」



「いや、何でもない。考えておくよ。」



それにしても日替わりで入浴剤を変えたいとか、意識の高い日本人か?



日替わりで香りを変えるか……今回のゆずもただ果汁を入れただけだから、しっかりと香りを抽出できる人に依頼するのもありか……。ウルノ先輩に聞いてみるか。






「それより、主。そろそろ、第二王子とヴァイオレット様とのお茶会ですよ。毒の対策はどうしますか?」




 そうだよな。俺もそろそろ毒の対策を、本格化していかないといけないな。俺は基本的に、客人と招待され、どこかに出かけるという経験がない。昔から出かけると言ったら、ジルの部屋くらいだった。食事も自分で用意することが多かったからな。しっかりと、毒見役をつけたことがない。しかし、聖王国もそうだが、他国とかかわるうえでは、毒の対策は必要だろう。




「基本的に、盟神探水を使う。しかし、これを使っている姿を第二王子たちには見せたくはないな。」




「そうだな、できるだけ隠しておいた方が良いだろう。しかし、毒見役は必要だ、俺が……」と、キースが名乗りを上げたが、アスタも同時に名乗りを上げた。



「いいえ、自分がやります。影で少しは毒に耐性を付けられましたからね。」





いや、できれば側近たちに毒見役何てさせたくはないな……。もし、俺の魔法でも治せないものだったら……。そう考えると、やはりやらせたくはない。




「いや、お前らに毒見役をさせるくらいなら、素直に盟神探水を使うよ。」



「待ってください、主。俺に考えがあります」と、ローウェルが立ち上がった。俺は続きを促した。



「俺の土人形を使いましょう。俺の土人形に、あらかじめ主の盟神探水をしみこませておいて、飲食をする前に土人形に垂らして、色が変わるかを見るんです。こうすれば、俺が毒を判別しているように見えます」と、土人形を出しながらローウェルは説明をした。





なるほど、それはいいアイデアだな。そうすることで、土人形で毒の有無を判断しているように見えるわけだな。だが……。





「土人形に水をしみこませても、大丈夫なのか?」と、俺は懸念点を質問した。



「大丈夫ですよ、どろどろになったら、流石に操作できないですけど、雨の中でも偵察をすることがあるんです。濡れたくらいでは、どうということはありません」と、実際に風呂のお湯をかけながらローウェルは説明をした。



まじかよ、やっぱりローウェルは優秀だよな。




「流石の優秀さだな。わかった、それで行こう。」



俺の承諾に、ローウェルは嬉しそうに頷いた。


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