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15


「おい、まさか、王族からの誘いを断るなんてそんな真似はしないよな?」と、馬鹿にしたような顔と声で口を出してきたのは、第二王子のサーカス殿下だ。



これじゃあ、「お断りします。」なんて、言えないよな……。それにしても、陛下の前でこんなに自由に発言しやがって……。


本来なら当然許されることではない。しかし、ヴァイオレット様は聖王国の姫だ。聖王国は、帝国に次ぐ大国だ。その大国の姫を、無下に扱うこともできないし、強く咎めることもできないのだろうな。まったく、この家系は厄介者しかいないな。



だとしてもこれは、受けるしかないな。茶会に出て、すぐに命を狙われるなんてことはないと思うし、それに断る理由がないからな……。よし。



「かしこ……」と、俺が了解の意を口に出そうとしたときに、「お待ちください」と、ジルから待ったがかかった。





「ヴァイオレット様、サーカス兄上、アースは私の側近です。そこで、私の参加も許可していただけないでしょうか?」




なるほど、確かにそうだ。主であるジルの許可を、まずは得る必要がある。それを逆手に取ったのか。





「確かに、アースの主はあなたね。ですが、私たちはアースと「個人的な」お話をしたいだけですわ。公務でも何でもないことに、主である、あなたの口出しが必要なのでしょうか?」と、ヴァイオレット様が妖艶な笑みを浮かべながら言った。


「母上の言うとおりだ。つまり、ジルベルト、お前はお呼びではないということだ!」と、サーカス殿下が続く。



「いえ、しかし……。」



「うるさい、引っ込んでいろ!!」と、ジルが食い下がろうとするも、サーカス殿下がジルを制した。



「くっ……」と、ジルが悔しそうな顔をして、うつむいた後、俺の方に申し訳なさそうな表情を浮かべてきた。



大丈夫だよジル、ありがとう。このまま食い下がっても、ジルの立場が悪くなるだけだからな。俺は心配しなくてもいいという意味を込めて、微笑み返した。





「光栄です、ヴァイオレット様。お茶会を楽しみにしております。」




「まぁ、嬉しいわ。何やら、フローラ様を苦しめた「何か」があるようですから、アースも気をつけなさいね?」というと、真っ赤な口紅が不気味に弧を描いた。

















ーー

















「おい、アース、なぜ受けたんだ?」と、屋敷に帰ると同時に、キースが詰め寄ってきた。


「キース、あれは仕方がないよ。断り切れなかったよ」と、ミラルが俺を庇う。



「そうですね、主は受けるしかなかったんだ。しかし、あの王妃、気をつけろとか言ってましたね?」



「そうですね、やはり危険すぎます。アース様はどうお考えですか?」と、側近たちが俺の意思を確認してくる。



 もちろん、みんなと同じように俺も危険だと思っている。しかし今までは、後手に回ってばかりだったから、何か証拠をつかめるかもしれない。ぼろを出させて、先手を取りたい。



「俺ももちろん危険だと思っているよ、ただ逆にチャンスだとも思っている。」



「チャンス?」と、キースが聞き返してくる。



「あぁ、俺たちにはローウェルという優秀な文官がいる。奴らと接触することで、何か情報を得られるかもしれない」と俺が言うと、ローウェルが誇らしそうな顔で笑った。



「俺の出番ってわけですね。ただ、相手は王族です。そう簡単には、ぼろを出さないでしょうね。」





確かにそうだ。高位になればなるほど、色々なことを「隠す」ことが、うまくなるからな。




「そうだな、しかしこのお茶会は避けられない。だからこそ、相手を逆に探ってやろうという気持ちで、前向きに行こう。そして、先にやるべきことがある」と俺が言うと、ミラルが「ルーン石」と、俺の後を引き継ぐ。





「そうだ。早速やってみようか。まずは五個のルーン石に、アイテムボックスの能力を付与してみようか。」




 このルーン石は小さい、だから俺のように、容量無制限とかはできないだろう。俺の部屋くらいの容量があれば、十分かな。


 俺の空間を分け与えるようなイメージで、そしてアイテムボックスの能力を付与し終わったら、各自の魔力で運用できるようにしないとな。







ーーよし、こんな感じのイメージだな。あとはできるだけ、強くイメージを持ちながら付与してと……、よし、こんな感じか。できていなかったら、追加で付与しようか。






「よし、各自一個ずつ受け取ってくれ。そして、魔力を流しながら使ってみろ。使い方は、いつも俺のようにだな」と俺が言うと、全員が頷いた。






「じゃあ、このペンを各自一個ずつ収納してみようか」と俺が言うと、側近たちはルーン石とペンを一個ずつ受け取った。




『収納』


各自がそう詠唱すると、ペンが消えた。




「これは……。」、「主と同じ、アイテムボックスの能力だ……」と各自、驚いた顔をして、ルーン石を見つめている。



収納は、成功だな。次は、取出と一覧だな。



「喜ぶのはまだ早いぞ、次は一覧だ。目を閉じて、『一覧』と詠唱してみてくれ。」



『一覧』と、各自詠唱した。



「どうだ、目録が見えるか? まだ、ペンしかないだろうがな」と確認すると、皆「見える」と頷いてくれた。




「よし、じゃあ最後だ。取出したいものを強くイメージしながら、『取出』と詠唱してくれ。」




『取出』と、各自がそう詠唱すると、ペンが現れた。




「よし、成功だな。魔力もそんなに使わないはずだが……。キースは、大丈夫そうか?」と確認すると、「あぁ、これくらいなら問題ない」と、キースは言った。



「そうか、ならよかった。容量は大体この俺の部屋くらいだな」と、俺が容量の説明をすると、全員が驚愕した。


「側近は何かと荷物が多いだろ? ローウェルは文書類を、騎士組は防具とかな」と、俺は慌てて補足した。


容量は大きければ大きい方が良いだろう。そうだよな?




「まぁ、確かにそうだけどね……。それよりも、ありがとう、アース」と、ミラルに続いて側近たちがお礼を述べてきた。



いいや、まだ喜ぶのは早いぞ。本番はこれからだ。そう、思念伝達の能力。これは成功するかわからないからな。とりあえず、残りの六個に付与してみようか。これは、俺の分も必要だろうな。



 とりあえず、イメージだ。メールなどをイメージして、それから考えていることを『窓』で相手につなげて伝えるイメージだな。それから、思っていることが相手に駄々洩れだとやばいことになるから、魔力を通しているときと、相手に伝えると強くイメージしたときの場合にのみ、伝わるようにしようか。






ーーよし、こんな感じでいいかな。





「じゃあ、皆でやってみようか。各自一個ずつ受け取ってくれ。こっちの方は、肌に触れている時に、勝手に魔力が流れるようにイメージ付与をしている。思念伝達する上で、一々、魔力を通していたら、面倒くさいかな。相手から、受け取りたくない場合は肌から外してくれ。では、行くぞ」と、俺が言うと、各自ルーン石を持ち始めた。





(「みんな、俺の声は聞こえているか?」)と、俺はルーン石を通して皆に尋ねた。



(「聞こえる。」)

(「聞こえるよ。」)

(「聞こえます、主。」)

(「聞こえます!」)




(「よし、双方向のやり取りに問題はないな。じゃあ、次に個人の間だな。伝えたい相手をイ強くメージして、伝達してくれ。最初に俺とキースでやるから、他は三人で試してくれ。」)









ーー(「キース、聞こえるか?」)



(「あぁ。」)



(「よし、大丈夫そうだな。他の三人にも聞こえていないみたいだし。」)と、俺は周りを見渡しながら、言った。



(「そうだな。それにしても、とんでもないものをつくったな。」)


(「確かにな、だがあった方が便利だろ?」)


(「まぁ、それは認めるがな。」)




そんな話をキースとしてると、三人がこちらを見ていた。どうやら、困惑しているようだ。




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