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◎リマインド
この度、大学のゼミの合宿のため、四日(金曜日)から、八日(火曜日)までは、毎日一話投稿とさせていただきます。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
では、本編をお楽しみください。
「では、治療に入ります。殿下方、母上ありがとうございました。もう、服を着ていただいて大丈夫です。それから、この場にいる水属性の方に、大変申し訳ないのですがお願いがありまして……」と、俺は今回の人選の最大の目的を、話そうとした。
そう、ウォーザットと父上を呼んだのはこのためだ。俺の魔力補充のために呼んだのだ。大変失礼なのは承知している、ただ、今の大窓や水鏡を連発した俺の魔力では、おそらく治療しきれないんだ。
「私はいいよ、限界まで使って。魔力は休めば回復するからね」と、俺がみなまで言う前に了承してくれた。
「俺もいいよ、殿下方のためだしね」と、続いてウォーザットも了承してくれた。
「アース、なんの話だ? ミラルが魔力を限界まで使うと言っていたが……」と、俺の能力を知らない父上が、不思議そうな顔で聞いてきた。
「はい、正確には水の魔力を私に譲渡してほしいということです。」
「魔力の譲渡だと!? そんなことが可能なのか?」と、父上が驚いた。俺は、俺の能力なら可能だと答えた。
「……。わかった、いろいろ言いたいことはあるが、フローラ様のお命を救うことの方が重要だ。私の魔力も使ってくれ」と、俺に任せてくれた。本当にいい、父親だよな……。
『凪げ 泡沫』
『泡沫よ、儚く散らせ 泡沫の夢』
俺がそう詠唱すると、黒い泡が三つ現れた。
「皆さん、その黒い泡を触ってください。そして、限界寸前で手を放してください」と、俺が言うと、三人は泡沫に触れた。
「確かに、魔力が吸い取られていくな。……これは、結構きついな」と、父上が苦しそうな表情を浮かべていった。
「申し訳ございません、倒れるまでは求めませんのでほどほどで切り上げて……。」
「いいや、アースの魔力量なら私の限界を差し出すべきだ。なに、ただ数日寝込むだけだ。問題はない」と、俺を制して父上が言った。
「私もだよ、アース。」、「俺も同じく」と、他の二人も限界まで、魔力を差し出す意思を見せた。
みんな……。
――しばらくすると、全員が魔力欠乏で倒れた。
「皆さん、申し訳……」と、俺が謝ろうとすると、陛下に制された。
「いいや、アース。これはフローラを助けるべく、倒れたのだ。お主一人で感謝し、そして謝罪することではない。だから、一人で責任を抱え込むな。ベルハット、そしてジルベルト、三人を運んでくれ。これは、王族として最大級お礼をしなければならない。お前たち自身でやりなさい」と、俺に笑顔で言った後に、殿下たちに指示を出した。
ジルたちは、陛下の指示を受けて、父上たちを別室へ運んで行った。
……、俺が、絶対に治して見せます!
『癒せ 清流の衣』
『水鏡』
よし、肺と肝臓をもとの色に戻すイメージで、そして元通りの機能を取り戻すイメージで……。
『清流の祝福 極』
俺は、一気に二人へと回復魔法をかけた。
……、そうすると、光り輝く水が二人を包み込んだ。これは、そうだな。四人分の思いがこもった、回復魔法だからな。だから、フローラ様どうか……。
ーー
「この光は!」
「アース、結果は!!」と、二人の殿下が部屋に帰ってきたようだ。
「まだです、あと少し回復魔法を流し込みます。」
俺は、残りの魔力を注いだ。
まずい、足がふらつく、頭もぐらぐらする……。魔力欠乏症の一歩手前だな。しかし、まだすべての魔力を出し切ってはいない。まだ、倒れるわけには……。
「無茶をするな。」、「そうですよ、主。」、「自分たちが、支えますから。」、「俺もな。」と、ジルたちが俺を支えてくれた。……、ありがとう、俺はジルたちに支えられながら、残りの魔力をすべて放出した。
ーーそうすると、「……ん……、ここは……」と、フローラ様が目を覚ましたようだ。
「フローラ(様)(母上)!!」と、全員がフローラ様の側へと、駆け寄った。
良かった、目が覚めたみたいで……。くそっ、最近倒れてばかりだな。まったくかっこ悪いな、俺は……。
そうして、俺の意識は遠ざかった。
ーー
はー、体が重い。また、このパターンか……。何度も倒れてしまって、ダサいことこの上ないよな……。
はっ! フローラ様は無事だったかな……? 俺は、飛び起きた。
「フローラ様は!!」と、俺が叫ぶと、そこには、ローウェルとキースがいた。
「主落ち着いてください、今は真夜中ですから。あと、病人なので、飛び起きないように。」
「あぁ……すまない。真夜中か……どれくらい経っている?」と、俺が聞くと、どうやら二日経っているらしい。そして、フローラ様も順調に回復したらしい。
「無事だったか……って、お前等!! なんでこんな時間に、起きているんだ!?」
「主がいつ起きるかわからないからですよ」と、ローウェルが微笑みながら答えた。
いつ起きるか、わらないからだと? それじゃあ、いつ寝ていたんだ?
「……睡眠はちゃんととっていたんだろうな?」と、俺はジト目で二人に尋ねる。二人は、「はい」と、ただ答えただけだった。これは、怪しすぎるな。
「お前ら、ちょっとこっちに来てみろ?」と、俺がいうと、二人は渋々近くに寄ってくる。うわっ、二人とも酷い隈だな……。まさか、二日間も寝ていないとかじゃないだろうな?
「おい、まさかあれから寝ていない、なんてことはないよな?」
「……寝たよ」と、キースはそっぽ向きながら答えた。
「嘘つけ、今度寝てなかったら怒るからな?」と、俺が言うと、「お前が倒れなければいい話だろう?」と、キースに正論を返されてしまった。
ぐっ……。これに関しては反論の余地もないな。主である俺のために、こいつらは不眠不休で看病していたんだもんな……。
「まぁまぁ二人とも落ち着いて。俺は、公爵様に報告してくるんで」と、言い合いをする俺たちの間に、ローウェルが割って入ってきた。
「あぁ、頼む。それと、皆は?」と、俺はほかのみんなの様子を聞いてみた。
「そこらへんに転がってる。」
は? よく見てみると、周りが暗くて気付かなかったが、ミラルやジル、アスタ、そしてジルの側近がソファーやベッドに転がっている。
「みんなもさっきまでは起きていたんですけどね……。あと少しでしたね」と、ローウェルが笑いながら言った。いや、ローウェルとキースも今からでも、寝てほしいな。
「はー。ローウェル、父上への報告は明日でいいから。どうせ今報告しても、明日を待つだろうからな。それよりも、二人ともベッドに腰を掛けて、俺がいいというまで目を瞑ってろ」と、俺は二人を強制的に眠らせるように仕向けた。
「は? なんでそんなことを……」と、キースが反論して来ようとしたが、俺がそれを制した。
「いいから、座れ」と、俺は貴族スマイルで、二人に圧をかけると、二人は渋々ベッドに腰を掛けた。
「よし、じゃあ俺が目をふさぐから、何も考えずにただ座っていろよ。はい、スタート。」
……、そうすると、十秒もしないうちに二人は眠り始めた。
くそっ、俺は愛されているな……。これからは一層、心配かけないようにしたい。
ジルたちはどうしようか? 床でこのまま寝たら、体がやばいことになるしな……。起こすか? いや、起こすのもな……。よし、床を軟らかくしようか、俺の薔薇を敷き詰めてな。魔力は……七割ほどあるな。
『咲け 白薔薇姫』
『すべてを凍てつくし、止めろ 白薔薇の世界』
そして、しばらくの間白薔薇が降り続けさせた。
よし、二十センチくらい積もったな。あとは皆を、薔薇の上に移動させてと……・ミラルは……ソファーの上で寝ているな。女性だからと、男性陣が譲ったのだろうか?
さて、俺は何をしようかな……。特にやることも……、あの机置いてあるものは小瓶か? あの中には赤い液体が……血か! 俺が採取をお願した、毒見役の女性の血だな。この血から、毒などの判別方法を見つけ出したい。毒見役がほぼ機能しない代物だ。対策方法を早めに確立させたいからな、。
さぁ、どうするか。この世界は科学的なものは発達していないからな……。成分分析などはもちろんできない。何かしらの方法で、毒を分析する方法はあるとは思うが……。おそらくこの毒は、既存のものではないと思う。何か魔法で毒を判別する方法はないか? 俺の属性は水と氷だ。水で判別か……。
……、あっ! 日本史であったじゃないか!! お湯で真偽を判断する方法が……確か、そう、「盟神探湯」だ。お湯に手を付けて、熱くなければ真で、熱ければ偽、確かそういうものだったはずだ。これを俺の水魔法で再現できれば……、よし、やってみよう。




