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俺が王の間に着くと、そこには陛下や国の重役そして各王子に第二王妃がそろっていた。




「アース、よく来てくれたな」と、出迎えてくれた陛下は、見るからにやつれていた。それにジルと、ベルハット第一王子殿下が泣きそうな顔をしている。



俺は簡単に挨拶を済ませて、早速本題が切り出されるのを待った。するとすぐに、陛下からお話があった。



「昨日、急にフローラが倒れた。国のお抱えの回復魔導士が治療を施したが、回復しないのだ。今晩が峠らしい。このまま何もせずに、その時を待つことはできない。しかし先程、ジルベルトからアース、お主ならなんとかできるかもしれない、との話を受けた。そこで藁にも縋る思いで、お主をこの場に呼び出したのだ」と、陛下は俺の目を見つめながら言った。




な、なんということだ。フローラ様が危篤状態だと? お茶会をしたときは、あんなに元気だったのに……、病気だろうか? いや、そんな風には見えなかった。だとしたら、毒か呪いの類だろうか……。


いや、今は原因よりも治療が先だ。フローラ様はいつも優しく話しかけてくれるし、ジルたちにも愛情を持っている。まだまだ、この国には必要な方だし、何より、俺も助けたい。





「ジルベルト殿下、私の「光」の回復魔法が必要なのですね?」と、俺はジルに向き直って尋ねた。



「あ、あぁ……。必要だ。た、頼む、母上をどうか……。」、「余からも頼む、我が愛する妻をどうか救ってほしい。」、「私からも頼みます、母上をどうかお救いください」と、ジルに続いて、陛下とベルハット殿下も俺に頭を下げた。




「私も、フローラ様にはお世話になっております。ですから、どうか頭をお上げください。ジルベルト殿下、そしてベルハット殿下。私も、フローラ様をお救いしたいです。私の全魔力をかけてお救いします」と俺が答えると、三人は一安心したようだった。




「感謝する。では、至急フローラのもとへ案内する。必要なものがあったら何でも言ってくれ」と、陛下は俺の治療に全面協力をしてくれる姿勢を見せた。



まずは人払いが必要だ。特に、教会の連中。それから、毒見役もいるはずだ。その人も看たいな。俺は医療の知識を持っていないから、水鏡で比較対照しながら、原因を突き止めるしか方法がない。国のお抱えの回復魔導士でも治せなかったんだ、全体に回復魔法をかけても意味がないだろう。原因部分を治すイメージを強く持たなければならない。




「わかりました、ではフローラ様のもとへ行く人数を絞ってださい。あまり大勢で行くとフローラ様に障るでしょうから。私の希望といたしましては、陛下とフローラ様の血縁者、そして健康な貴族の成人女性の方、それから父上と私の側近、そしてウォーザットでお願いします」と、俺がいうと、その場にいた全員が、不思議そうな顔をした。



「……承知した。貴族の成人女性はマーガレットに頼めるか、フーラル? 」と、陛下は不思議そうにしながらも承知してくれた。俺は父上からの指示を受けて、屋敷に窓を出すことになった。


それから、後は毒見役の人だな。これは、あまり人前では言いたくないな。毒を疑っているとばれてしまうからな。ここは、アスタに頼もうか。



(「アスタ、ジルに伝言だ。フローラ様の毒見役も連れて来い、と。歩行が困難そうなら俺が直接行く、ともな(小声)。」)




俺が言い終わると、アスタは影の中へと消えていった。










ーー













フローラ様が療養している部屋へと案内された。


そこには、お茶会の時の姿は見る影もないほどやつれている、フローラ様の姿があった。




「父上、屋敷への窓を出します。母上をよろしくお願いします。窓は出したままにしておきますので、お早く」と俺が言うと、父上は頷いてくれた。

『大窓』


俺が窓を出すと、素早く父上が窓へと入っていった。





「まずは、そうですね。陛下、フローラ様に外傷はあるのでしょうか?」


 陛下は、首を振った。やはり、体の中か……。ジルを治したときのように出血や、外から見てもわかるようなものなら治すイメージがつくが……。毒や病気だと、他の人と比較しながら原因を突き止めるしかない。



「アース、毒見役を連れてきたぞ! 母上の側仕えだ! 」と、ジルが部屋に飛び込んできた。

……、毒見役の女性も、フローラ様と同じようにやつれているな。毒見役の方も同じような症状ということは、やはり……。



「おそらく、毒の類だろうな。しかし、症状が現れたのは、毒見をしてすぐではなかったのだ。遅効性の毒にしても、期間が長すぎる。これでは、毒見の意味がない」と、陛下が俺の考えていることを悟ったかのように、補足してくれた。



 は? そんなもの、無味無臭とかであれば、対策しようもないじゃないか。いや、そんな強力なもの、そう数がつくれるはずがない。国の要人を確実に減らしていくことが狙いだろうな。




「アース、マーガレットを連れてきたぞ」と、父上と母上が窓から現れた。俺が母上にお礼を言うと、「フローラ様の危機です。友人として、そしてこの国の貴族として当然のことよ」と、笑顔で言ってくれた。




「ありがとうございます。では、必要な方がそろいましたので、始めます。まずは、確認ですが、母上とフローラ様は貴族の女性ですが、腹部を露出させていただきます。もちろん、胸周辺は隠していただきます。貴族の女性として人前では裸を見せてはいけないことは承知していますが、正確な治療に必要です。よろしいでしょうか?」と、俺は確認事項を述べた。








 ……。この空間に沈黙が流れる。

 当然だ、いくら治療とはいえ難しいだろう。しかし、服が邪魔なのだ。何とか……。




「私は構いませんわ。息子に腹部を見られるくらいどうということはありません」と、母上が口火を切ってくれた。


「フローラの代わりに、私が許可を出そう。緊急事態だ、もしもの時は私が責任をとる」と、母上に続いて、陛下も許可をしてくれた。





「母上、陛下……、ありがとうございます。あとは、血縁者の殿下お二人は上半身裸になって、仰向けに寝てください。それ以外の男性陣は、後ろを向いていてください。あと、この場にいる女性はミラルだけだ。フローラ様と毒見役の方の世話を頼む。陛下と、父上は私と一緒に確認をよろしくお願いいたします」と、俺が言うと、全員が速やかに行動に移った。








ーーよし、ジルたちが仰向けに寝て、女性陣の準備も整たようだ。




『癒せ 清流の衣』

『水鏡』




俺は、全員の腹部に水鏡を出した。



「これは……、アース、これがお前の水回復魔法なのか?」と、父上が驚いた顔をして聞いてきた。



「はい、そうです。これは、体を透視できる魔法です。これで原因部分を突き止めます。私には医療の知識がないので、フローラ様と母上、そして血縁者の殿下たちを比べることでしか、原因部分を突き止めることができません」と、俺は簡潔に答えた。



「なるほど、だからこの人選なのか……」と、陛下も腑に落ちたようだった。



「はい。では、陛下と父上も一緒に調べるのを手伝ってください」と、俺が言うと、二人ともすぐに、水鏡を見つめだした。












ーー













「この部位の色が、健康なものに比べて悪くないか?」と、少し調べたのちに、陛下が言った。



「そうですね。ここは……肝臓ですね。それから、肺も色が悪いようですね……。」



「その肺とは、なんなのだ?」と、父上が聞いてきた。



「はい、フローラ様を見てください。呼吸に合わせて、膨らんだり、しぼんだりしていますよね? この左右二つの臓器が肺です」と、俺が指さしながら答えると、二人とも納得したようだった。




「なるほど、この二つの肝臓と肺とやらが原因らしいな。ところで、なぜ臓器の名前など知っているのだ?」と、陛下が痛いところをついてきた。





「……、それは、学園の図書館で調べたからです。回復魔法はイメージ次第で効力が異なりますから、もしもの場合に備えて勉強しておりました」と、俺はあらかじめ用意しておいた答えを、口に出した。



 もちろんこれは、前世の知識を隠すためのフェイクである。この世界に医学書のようなものはなく、もの好きが書いた人体解剖図くらいしかなかったがな。





「流石だな、では治療を……」と、陛下が納得し、治療を促そうとしてきたが、その前にやってほしいことがあるのだ。



「その前に、毒見役の方の血を採取できますか? 毒の場合これからの対策が必要になりますから。」



「……わかった、女性から血を採取するのは気が引けるが、確かに必要だな」と、渋々ながら陛下が了承してくれた。



 それにしても、本当に毒なのか? 二人とも、肝臓と肺がピンポイントで悪くなるなんて……。これじゃあ、まるで何かの病気みたいだ……。


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