閑話 側近の集い2
本日で第五章は終了となります!
※キース視点
俺たちは、アースの指示で部室の前で待機している。アースは、二人の殿下の雰囲気があまりよくないと悟って、三人だけで話をすることを選んだのだろう。それと同時に側近の緊張感をほぐし、側近同士の交流を深めさせようとしているのだろう。我ながら、よくできた主だ。
「おい、お前、騎士コースのやつだな? 剣術の授業で見かけたが、なかなか強そうだったぞ。どうだ、俺と勝負をしないか?」と、オーサックがいつも通り、ダルがらみを始めた。
「ちょっと、兄さん! 初対面の相手に何言ってんのさ! すみません、兄さんは、脳が筋肉でできていまして……」と、いつも通り弟が兄を制する。
「おい、ウォーザットお前から先に、やってやろうか?」
本当にこの男は、誰彼構わず勝負を仕掛けているな。飽きないのか? 騎士コースの連中にも、脳筋野郎と呼ばれているのを知らないのだろうか?
「うーん、君じゃ俺の相手にならないかな?」
すると、アイザックがとんでもない発言をする。おい、脳筋を挑発するんじゃない。酷いことになるぞ?
「あ? 何だと?」
「君じゃ、力不足だと言っているんだよ~。」
「おいこら、今すぐ剣を抜け。」
はー、なんでこいつも煽るかな。どんどん問題児ばかり、集まってくるな。次に来るのは、まともな奴がいいな……。
「どうせ勝負するなら、アースの側近の方が良いかな。何やら、面白いものを持っているみたいだしね。特に……、キース、君がいいかな~。」
おい、アイザック、こっちに話を振るな。お前のせいで、オーサックがこっちを見ているじゃないか。
それより、この魔刀のことをどれだけ知っているんだろうか? あの魔法戦の時に、【韋駄天】を使ったのがまずかったか?
「アイザック、俺はそんな話よりも、情報収集について意見を交わしたいな。俺も主の耳だしな。だよな、アスタ?」と、ローウェルが話題の転換を図った。
ローウェル、ナイスだ。ここでの話題の転換はさすがだな。普段はムカつくが、こういう時には頼りになる。
「そうですね。同じ役割を担うものとして、あなたの接近に気づけなかったのは不覚です。闇属性での諜報ではないですね?」
アスタも乗り気のようだな。
「うん、そうだよ。俺の属性は風だ。攻撃ももちろん得意だけど、俺のオリジナルの補助魔法が便利なんだよ。」
オリジナルか、それなら気づけなくてもしょうがない。しかし、風魔法で諜報か。遠くの声を運ぶとかか?
「それは教えてもらえますか?」と、アスタが軽いジャブを入れた。
「うん、どうだろうな。主の許可があればいいけど……。それよりも、君たちもアースの耳でしょ? だったら、自分で調べてみたら?」
あ、また煽りやがって。
二人には、アースの耳としての自負があり、プライドもある。そんな二人に、こんな煽るようなことを言っては……。
「いいでしょう。その件を含めて、あなたに関する、あらゆることを調べて見せます。ですよね、ローウェル?」
「あぁ、そうだな。俺も普段はあまり怒らない方だが、主の耳としての役割を試されるようなことをすると、流石に頭にくる。恥ずかしいことを調べられても、泣くなよな?」
ほら、見たことか。二人とも、対抗心がむき出しになってしまったじゃないか。側近業務に、支障が出なければいいが……。
「うん? 俺には、調べられて困るようなことはないけど……。仮にあったとしても、君たちにできるかな?」
はー、もう嫌だこいつら。脳筋だけでも厄介なのに、こんな奴と一緒にいなければならないのか。ミラルがまともなことが、俺の唯一の救いだ。
「「お前……。」」
はー、ここは俺が止めるしかないな。
「二人とも落ち着け。アイザック、あまりそういうことを、言うものではない。ラインハルト殿下の品位も疑われるぞ。」
すると、意外なことにアイザックがすぐに謝罪しだした。
「あー、ごめんね。つい、癖でさ。主以外はすべて敵だと思ってきたからさ、こういう反応しかできなくなってしまっているんだ。これからは、気を付けるよ。側近仲間になるわけだからさ~。」
全てが敵か。ラインハルト殿下の側近として、色々あったのだろう。
「あぁ、気を付けてくれ。」
「それよりも俺は、さっきから俺のことを冷たい目で見て黙っている、ミラル譲とお話ししたいな。」、と軽薄そうな笑みを浮かべながら、話題を変えた。
こいつはまた、突然何を言い出すんだか……。ミラル譲? 初対面でこの呼び方、そして主人のことを主と呼び、さらにこの軽い感じは……。
「アイザックとローウェルは似ているよね。軽いところがさ。」
すると、ミラルが核心をついた発言をした。俺もそう思う。
「「こいつとなんか、似てねーよ。」」
本当にそっくりじゃないか。また、うるさくなりそうだな……。




