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8




「おはよう、ローウェル。」



「おはようございます、主。」





「おはよう、ミラル、アスタ。」


「おはよう。」

「おはようございます。」



























ーー




























 

 そんなこんなで、俺たちは商業エリアを散策した。


 娯楽施設などは、当然少なく、ほとんどが服屋やスイーツ店だった。娯楽がほとんど無い世界だからな。







「なんというか、食材買いに来る以外は、ほとんど来なさそうですね。」




「あぁ、そうだな。武器屋も行く必要ないしな。あとは、たまに防具を買いに来るくらいか?」




「そうだな。騎士コースだと、消耗が激しそうだしな。」




「そうだね。これだと、またお金が貯まるね。」




「自分は、主のためにお金を使います!」




「アスタ、将来のために少しは残しておけよ?」




「は、はい、かしこまりました。」




「じゃあ、大体見たし、ボールを買いに行くか。ローウェル、人目につかない場所を探してくれ。」



「了解。」




少しした後、





「こっちですね。」




「わかった。」




本当に優秀だな。




「大窓」





とりあえず、王都の市場に来た。どこに売っているんだろうか。





「アース様、自分が影移動で買ってきますので、ここで待っていてください。」




「あぁ、頼んだ。」




「はい!」





 影移動で買いに行ったのなら、すぐに戻ってくるな。さて、このあとは何しようかな。……あー、そうだ。






「たしか、冬になると貴族は大体、王都から領地に戻るんだよな?」




「そうだな。」




「アスタが帰ってきてからも時間がありそうだし、カーサード領に行くか。どうだ、ローウェル?(笑)」




「勘弁してください。俺、泣きたくなります。」




「まさか、ローウェルもキースみたいなことをしていたとはな。人は見かけによらないとは、まさにこのことだな。な、キース?」




「俺に振るな。」




どちらも、まだ少年だからな。





「戻りました、主。」




「早っ! さすがに優秀すぎるな。」




「自分はまだ遅い方ですよ。あ、これがボールです。」




「ありがとう。とりあえず、ここにいると目立つから寮に戻るか。」




「そうだね、いつ見られているか、わからないからね。」





「そうだな。」





「大窓」


















ーー




























 そうして、俺たちは無事に寮へと帰還した。



 なるほど、これがボールか。これって、ゴムだよな……。前世で言うと、カラーボールに近いな。





「この素材って、何に使われているんだ?」




「わかりませんね。何やら、べとべとした樹液らしくて、ボールをつくるくらいにしか使えないそうです。」






 ゴムがあればいろいろなものがつくれるんじゃないか? いや、でもゴムに関する知識は俺にはない。ボールで我慢しよう。






「主、これで何するんですか?」




「それは明日のお楽しみだ。今日は、ジルたちが来るから、料理をたくさん作る……。ジルたちって食べてから来るのかな?」





「王族だから、その可能性が高いね。」




「じゃあ、俺たちの分だけでいいな。じゃあ、今日は休みだし、あれをつくってみるか……。」










 そう、あれとは、カレーのことである。あの日、王都の市場で買ったスパイスである。公爵家では、においがすごいことになりそうだったので遠慮していたが、ここには俺たちしかいないので、まぁいいだろう。



 米がないから、スープカレーにして、後は鳥をカレー風味のソテーにしてみよう。あとは、パンだな。


















ーー






















「主、俺もう我慢できないです。なんですか、この匂いは!?」




「前に市場で、薬を買っただろ? あれだよ。」




「本当に料理にしたのか? しかし、うまそうな匂いだ。」



「本当だね。最初は薬が食べられるのかと思ったけど、おいしそうだね。」




「味見もしたし、俺の自信作だ。今は、六時か。ちょうどいい、時間だな。じゃあ、夕食にするか。」




「「「「待ってました!」」」」








「主、これめちゃくちゃおいしいです!」

「あぁ、俺は毎日でもイケる。」

「自分もです! さすがアース様ですね!」




それはそうだろう、天下のカレー様だ。少年の胃袋に刺さるだろう。





「ミラルはどうだ?」




「おいしいけど……私はもう少し甘い方が良いかな。」



「なるほど。次はリンゴやはちみつを使って、甘口をつくってみるよ。」




「うん、楽しみにしてる。」




コンコン






「あ、ジルだな。まだ食事中だが、待たせるのもなんだし入ってもらうか。キース。」



「あぁ。」







「おい、ものすごい匂いだな。何を食べているんだ?」


「前に市場で買った薬だよ。」




「は? いや、でもおいしそうだな。」




「俺の残りでよかったら、食べるか? オーサックとウォーザットも?」




「食べる!」

「食う。」

「お願い!」







俺が残りのカレーを出すと、三人はがっついて食べだした。





「おい、これ美味しすぎるぞ。お前ら、いつもこんな料理を食べているのか?」




「そうですね。我々は、サンドール公爵家の料理に慣れてしまって、寮の料理が口に合わなかったのですよ。そこで、アース様が作ってくださっています。私たちも、習っている途中です。」





「それはそうだろうな。この料理に慣れていたら、寮の食事なんか食べられないだろうな。なぁ、お前ら?」




「はい殿下、まさかアースにこんな、料理の才能があったなんて初めて知りましたよ。」




「俺は明日からも、食べに来るからな。」





「おい、オーサック! お前はまた、変なことを。ジルの側近なのにふらふら歩こうとするな!」



「俺はお前の料理が食べたい。」




「この脳筋……。ジル何とか……。」




俺がジルに話を振ろうとすると、ジルがジト目で見てきた。




「たまにはいいだろ? この部屋広いし。な?」




「はー……、休みの日ならいいぞ、後片づけも手伝えよ。」




「わかった! ありがとう!」




ジルもまだまだ少年だな。




























ーー






















 片づけを終えて、俺は緑茶を入れた。






「じゃあ、食べ終わったし情報共有と行こうか。」





俺は側近たちからの報告をジルに伝えた。





「なるほどな。お前を待ち伏せしていたのか、あそこの第一王子がな。第一王子も問題あるが、第二王子はもっと問題があるぞ。」




「確か、パーティーで絡まれたんだよな?」




「あぁ、お前を側近にしたいと言っていたぞ。」




「不愉快だ。」

「不愉快だ。」

「不愉快だね。」

「不快ですね。」

「不快です。」






「はははははっ! お前ら本当に仲いいな。言葉のチョイスまでそっくりじゃないか。」




「何笑ってるんだよ! お前は不愉快じゃないのか?」





俺がそういうと、ジルの顔から表情が消えた。




「は? 不愉快極まりなかったに決まっているだろう? 危なく刀を抜くとこだった。」





 うわ、これはマジ切れだな。ジルは怒ると、無表情になり、声も低くなる。美形の無表情は怖いから、怒らせないようにしたい。





「悪かった。で、何って返したんだ?」




「すでに俺の側近だから無理だろうと言っておいた。そしたらあいつは、「本人が俺様の側近になりたいと言ったら、いいのだな?」と、言ってきたぞ。」






 は? 言っていることもやばいが、一人称が「俺様」なのか? 絶対碌な奴じゃないな。どこぞのガキ大将かな?






「まじで、不愉快だな。ガキ大将かよ。」




「あ? 何て?」





「悪い、何でもない。それじゃあ、俺は第二王子に側近に誘われるわけだな。そして、第一王子には研究会への勧誘か。本当に面倒くさい。まぁ、勧誘の件は部活に入れば、何とかなりそうだがな。」





「なんの部活に入るんだ?」




「うん? 薬草研究会だよ。回復役は、俺しかいないしな。あ、ジルもいるか。」




「そうなのか。美術部には入らないのか?(笑)」





 ん? 喧嘩なら買うぞ? しかも、全員笑ってるな?





「ジル、ジルの肖像画を描いて学園内で作品として発表してやろうか? 確か、文化祭で展示するんだったよな? それに、今笑ったやつらもな。そうだな、作品名は「愉快な俺の仲間たち」でどうだ?」





すると、全員が一瞬にして笑うのをやめて、





「「「「「「「……すみませんでした。」」」」」」」





と、謝ってきた。






「わかれば、よろしい。」


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