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7


俺たちは無事に買い出しを終えて、寮へと戻ってきた。今は夕食を作り終えて、ローウェルとアスタの帰りを待っている途中だ。



「そういえば、舞踏会ってことは、ダンスがあるよな。お前らは、踊れるのか?」




俺がそう聞くと、二人は当然だと言わんばかりに頷いた。


やっぱりそうだよな……。俺は、少し苦手だ。何しろ、クラシックがあまり好きではないからである。ジャ〇ニーズやエグ〇イルのような激しくて、かっこいいダンスなら得意だ。それに、歌もよく聞いていたしな。





「俺たちが教えてやろうか?」



「……機会があったら頼むよ。」



「それはやらないときに言うセリフだね。」




全くその通りである。俺は二人のあきれたような冷たい視線に耐えながら、ローウェルとアスタの帰りを待った。









コンコン









やっと帰ってきたな! あと少しで、俺の胃が不調を起こすところだた。素晴らしいタイミングだ、二人とも!



キースが扉を開けると、案の定二人が立っていた。俺は早速テーブルに二人を招き、夕食にすることにした。




「主、今日の夕食はやけに豪華ですね?」



「ああ、そうだな……。入学祝だ……。ってお前ら、その目はなんだよ!」





キースと、ミラルが温かい目で俺を見てくる。

クソ、俺をからかっているな。





「何があったんですか、アース様?」



「……だから、入学祝だって!」


「キース、後で教えろよな?」



「ああ。」



「おい、キース!」



「金の件は話さなくていいのか? それだけだ。」



……お願いします。それ話しておかなければならない。俺は渋々ながら、頷いた。どうやら、キースは必要なことだけを話してくれるらしい。











ーー











俺は早速、二人に記念パーティーの様子を聞いてみた。パーティーには興味はないが、パーティー内の様子や人物には興味がある。



「うーん。まずは、殿下が囲まれていましたね。「空間属性持ちを紹介してほしい」と。殿下はやんわりと、うまく断っていましてけどね。」





なるほど、ジルにも苦労をかけるな。まあジルなら、「そんなことは気にするな」って言うと思うけど……。





「自分は周りの生徒を見ていたのですが、アーキウェル王国の生徒もまた、たびたび捕まっていましたね。」







ジルに話しかけられない一般生徒の連中が、アーキウェル王国の一般生徒から情報を得ようとしていたのか。





「幸いにも陛下があらかじめ緘口令を敷いてくださったおかげで、アース様の情報はあまり漏れていないようでした。ただ……。」





「ただ、なんだ?」





「聖王国の連中は、主のことをすでに知っていますね。名前も顔も。それに一学年には、ジーマン・サンテリア第二王子殿下がいらっしゃいます。」





やはり、俺のことは聖王国に知られてしまっているらしい。そして、同学年にサンテリア聖王国の第二王子か……。




「その方が、少々性格がクソ……失礼しました。問題ありの様で、ジルベルト殿下に何度もつっかかっていましたね。」




いま、王族の性格をクソといったよな? アスタは普段はそんなことを言わないが、そう言ってしまうくらいには酷い有様のようだ。




「そんなに、酷い性格なのか?」



キースも気になったらしく、アスタに確認をした。



「ああ、傲慢で自分勝手な感じだ。そして主、先程待ち構えていたリヒト・サンテリア第一王子殿下は、ナハト教研究会の会長だそうです。」




うわ、最悪だ。俺をその研究会に入れようとしてるじゃないか。そいつらを見かけたら、基本的に逃げる。窓を使ってでもな。





「窓で逃げるのはいいが、もし手紙とかで勧誘されたらどうするんだ?」



「うーん、入っている部活が忙しいからとかいう理由で、断るのはどうだ?」



「何か入りたい部活あるの、アース?」





まあ、面白そうなのはいっぱいあったな。剣術部とか料理部とか……。側近たちにも、俺に構わずに好きな部活に入ってほしい。騎士組は剣術部とかに入らないのだろうか? 俺は騎士組に聞いてみた。





「剣術部はダメだな。この魔刀が目立ちすぎるからな。」



「騎士組は、他の剣を使って活動すればいいんじゃないか? 騎士コースのために、あるような部活だろ?」



俺がそういうと、騎士組は頑として首を振った。どうやら、普通の剣を使いたくない事情があるらしい。





「俺はお前からもらった、魔刀以外の剣を使う気はない。」

「私も同じく。」

「自分もです。」







「お前らな……。もし、実戦の中で魔刀をはじかれたりして、使える武器が他の剣しかなかったらどうするんだ?」




「その時は使うさ、お前を守ることが一番大事だからな。ただ、積極的に魔刀以外の武器を使おうとは思わない。」





頑固だな。これも側近としての矜持なのだろうか?





「愛されてますね、主。」





「……そうだな。だけど、本当に入りたい部活はないのか? 馬術部とかさ。俺はやってみたいけどな。」





「馬術なら、授業でやるからな。お前も来年から騎士コースとるんだろ? なら、別にいいんじゃないか?」




騎士コースには、馬術の授業があるのか。まあ、騎士だから馬に乗って移動することもあるだろうから、乗れないと困るか。





「あとは、そうだな……この体術部とか料理部は?」





「料理部はやめた方が良いですね、主が料理をつくったら大騒ぎになります。」



「たしかに、一度食べたらそれしか食べられなくなるからね。」




「体術なら自分が教えます、影仕込みでよければですけど。」








側近たちはどうやら過保護のようだ。まあ一応理屈は通っているけど……。じゃあ、この薬草研究会はどうだろうか? これって回復薬のことだよな? 現状俺しか回復役がいないから、回復薬の知識は持っておいたほうがいいきがする? 作ったら持って帰れそうだし。文官のローウェルなら、興味を持ってくれそうだ。





「文官としても、魅力的な話ですね。俺も行きます。」



「じゃあ、来週見学な。」






しかし、これだけだと到底忙しいとは言えないよな……。もう一つや二つ、部活動に入る必要がある。


他には演劇部、合唱部、音楽部……。軽音楽部なら喜んで入部していた。あとは、運動部に入りたいな。






「運動部に何か入りたいな。騎士組も運動したいだろ? まあめぼしい運動部は、さっき却下が出てしまったけどな……。」



この世界には球技がないからな、戦い系で運動するしかないのだ。何か、遊び感覚でできる運動部があればいいけど……。






「それじゃあ、主が新しく作ればいいんじゃないですか?」







は?

俺が部活をつくる? いや、好きなことができるのならありかもな……。





「このプリントの端っこの方に、五人以上で同好会を作ることが可能って書いてありますよ。」





「あ、本当だ。でも、何の同好会を作るんだ?」








「訓練部とかでいいんじゃないか?」






こえーよ。なんかの特殊部隊にでもなるつもりか? もちろん却下である。俺は何かの秘密組織を作る気はさらさらない。





「主と語らう会。」



「ある意味人が集まりそうだから、やめておいた方が良いね。」




なぜ人が集まりそうなのかがわからないが、恥ずかしいためもちろん却下である。



作るって言ってもな、運動部か……。ここにバレーボールとかサッカーとかあったらよかったけど……。そういえば、小さいころに平民がボールみたいなので遊んでいたのを見たような気が……。






「確か平民の子供って、何か玉みたいなので遊んでいたよな?」




「それはボールですね。投げたりして遊ぶやつですね。この学園都市にはないかもしれませんが、国に帰ればどこでも手に入れられますね。平民が遊ぶものですからね。」




「じゃあ、明日からの休みの日に大窓で帰って、そのボールを入手しよう。俺は新しい遊びを考えるのが得意なんだよ。」




「たしかに、あのリバーシっていう玩具も、面白そうだしね。」




「リバーシと言えば、商品化の話はどうなっているんです?」




「特に何にもいわれなかったな。まぁ、そのうち話が来るだろ。部活の話はこんな感じでいいか?」




側近たちもこれ以上話すことはないようなので、次にほかの王族と皇族の話を聞くことにした。





「第一学年に王族・皇族は合わせて、五人いますね。そのうち三人は、ジルベルト殿下、ジーマン殿下、そして代表あいさつをしたラインハルト殿下です。残り二人は、まず、アイラ・ガルーアラ様です。ガルーアラ王国の第二王女殿下です。そして、もう一人はシリル・グレートプレア様です。グレートプレア王国の第二王子殿下です。」






なるほど、結構な数の王族や皇族がいるようだ。これも異世界あるあるのようで、厄介この上ないテンプレである。ただ、シリル・グレートプレア様か……。米探しのためにお近づきになりたい所存である。


整理すると、クルミ―ド王国を除けば俺たちの学年には、各国の王族・皇族が一人はいるということらしい。



不運だ。



できれば関わりたくはないが、いずれは接触があるだろう。ただ、こちらは何ら恥ずかしいことはないのだから、堂々としていよう。俺だけじゃなく、側近たちも俺の側近と分かれば、攻撃の対象となり得る。特に、ローウェルは文官だ。側近の中だと、一番狙われやすいだろう。






「ローウェルは、俺や騎士たちからあまり離れるなよ?」




「わかってますよ、主。土人形で基本的には情報収集しますので大丈夫です。それに、俺は主の唯一の文官なので邪魔だと言われない限り、どこにでもついていきますよ。」





「そんなことは絶対に言わないから、安心してくれ。」




俺がそういうと、ローウェルは肩をすくめて見せた。冗談で言ったつもりなのに、俺がまじめに返してしまったために、恥ずかしくなったらしい。俺は空気が読めるので、話を進めることにした。






「じゃあ、話し合いはこれで終了だ。あと何か連絡のある者はいるか?」



「はい。明日情報共有をするために、殿下が夜にこの部屋に来るそうです。」



「わかった。じゃあ、明日の午前から午後にかけては、学園都市の商業エリアをみんなで見て回ろう。」






そうして、俺たちは夕食兼報告会を終えて、風呂に入ることにした。



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