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「どうした? 緊張しているのか?」



俺がキースに魔刀を渡そうと準備していると、何やらキースの動きがぎこちなかった。いつものキースからすると、大変珍しい。




「いや、だって……。主から剣をいただけるなんて、光栄なことなんだぞ! だから、少し緊張している。」



なるほど、そういうことか。キースは騎士の家系だから、こういうことを大切にしているのだろうな。





「ありがとな。だけど、気楽にな。魔刀を受け取ってからが、本番だからな。」




俺がそういうと、キースはまっすぐ俺の目を見つめて頷いた。そして、魔刀の名をどうするのかと聞いたら、「俺は、あの時にアースに決めてもらった魔刀がいい。気に入ったからな」と、キースは言った。



非常にうれしいな。俺はキースの魔刀を渡し、そしてローウェルと同じうように魔刀に魔力を流してもらった。十分に、魔力が行き渡ったことを確認して、名と呼音を呼ぶように促した。




『轟け 青天の霹靂』





よし、キースも成功だ。キースの魔刀は、あの時の戦いと同じような輝きを放っていた。属性によって輝きが変わるのって、なんかいいよな。





「アース、ありがとう。」




「これからもよろしく頼むな、キース。」






俺はキースに、次にミラルを呼んでくるように頼んだ。さた、ミラルも成功するといいが……。












ーー

















キースと入れ替わりできたミラルに、早速名をどうするか聞いてみた。すると、どうやらミラルも俺に決めてもらいたいらしい。うれしような、照れくさいような微妙な心境だ。





「わかった。能力のイメージはできているか?」



「うん。ブラックパンサーを倒したときに、イメージしたことをそのままイメージするよ。」




あの時は確か、受け流しや回避などをイメージしていたよな? 今のミラルにもピッタリなイメージだと思うから、このままいこうか。




「わかった、じゃあ、そのイメージを言葉にしながら魔力を流してくれ。」



俺が魔刀を渡しながらそういうと、ミラルはイメージを口に出しながら、魔刀に魔力を流し始めた。



「水が流れるようにどんな攻撃を受け流し、戦場を美しく舞う。そして、カウンターによる一撃を与えるようなイメージで……。お母様のように美しく、戦場で輝きたい。」






戦場を美しく舞うか……。スピードというより、自由な感じがいいな。なら、空中を自由に移動でき、敵の攻撃を受け流し、そしてその攻撃を逆に利用して、カウンターを与える感じがいいかな……。名は『戦姫』、呼音は『舞え』、能力名は【清流の乙姫】がいいな。







「名は『戦姫』、呼音は『舞え』、能力名は【清流の乙姫】。能力は、空中を自由に移動でき、敵の攻撃を受け流し、そして、その攻撃を逆に利用して、カウンターを与えるというものだ。さぁ、呼んでくれ。」






『舞え 戦姫』






ミラルがそう詠唱すると、魔刀は青い輝きを放った。どうやら、しっかりと成功してくれたようだ。





「ありがとう、アース。」


「これからも頼むな、ミラル。」






俺は最後にアスタを読んでくるようにミラルに頼んだ。さて、アスタはどんな能力を思い描いているのだろうか?









ミラルと入れ替わりでやってきたアスタに早速、名をどうするのかと能力のイメージを聞いてみた。



「私もアース様に決めていただきたいです。ただ、まだどんな能力がいいか、イメージができていません。ですので、イメージが固まってからでもいいですか?」




そうか、アスタはまだイメージが固まっていなかったか。まあ、今日突然言ったことだし、これからの能力を決めることになる。時間がかかっても、納得のいくイメージを固めてほしい。




「わかった。じゃあ、魔刀だけ渡しとくな。」



「ありがとうございます、アース様。」









よし、これでみんなに行き渡ったな。じゃあ、ここでやることはもうないし、屋敷に帰ることにしますか!
















ーー













本日はついに、入学試験の一日目である。





「さぁ、今日はいよいよ入学試験だな。みんな体調は万全か?」





俺は出発前に、側近たちの体調のチェックを行った。結果は、みんな体調は万全らしい。俺は若干の寝不足気味だ。けして、学園生活が楽しみで、興奮して眠れなかったわけではない。





「それじゃあ、全員合格目指して頑張ろう!」





俺たちはこうして、試験会場へと向かった。











ーー









試験会場につくと、ジルたちに会った。








「おはよう、ジル!」



「あぁ、アース。準備は万全か?」



「もちろん、そっちは?」




俺がそう聞くと、ジルは自信ありげに頷いた。ただ心配なのはジルではなく、隣にいる目の下のクマがひどいオレンジ髪の少年である。このままでは、試験中に寝てしまうのではないだろうか? ここは俺がからかって、元気を出させてあげようではないか。





「オーサック、寝るなよ?」



「寝ねーよ。」




相変わらず横柄な態度だが、気はしっかりしているようだ。無事に試験を乗り切ってほしい。










ーー











試験の開始の前に、陛下からのご挨拶があった。忙しいのに、なぜわざわざ? と、思ったが、自国の受験生の出来が、オールテット学園での評判につながるから、気合が入っているのだろうと、思い至った。





一日目は座学だ。俺は、美術で大幅に点数ダウンすることが考えられるため、他の教科は満点を狙っている。俺は、精神年齢が二十九……。いや、この世界に来て数年経っているから、三十を過ぎて……。まぁ、細かいことはいいだろう。とにかくものすごく大人なので、勉強には自信がある。新しいことを勉強するのは楽しかったしな。よし、頑張りますか。











ーー








狙い通りで、わからない問題もなかったし、おそらく満点に届いているはずだ。俺が試験を振り返っていると、ローウェルが声をかけてきた。




「主、どうでした?」



「うん? わからない問題もなかったし、結構いい線言っていると思うぞ。みんなはどうだ?」




俺がみんなの出来を聞いてみると、アスタ以外の三人は自信があるようだった。しかし、アスタだけは少し浮かない顔をしていた。




「自分は数か所わからない問題がありましたが、八割以上はとれていると思います……。」




八割以上とれているなら、上出来だと思う。ただ、学園に入学できるかと言われたら、少し微妙なラインかもしれない。



「そうか、わかった。しかし、明日の実技が本番だ。今日は早く寝て、明日に備えよう!」





本当に明日の美術次第だ。下限を下回ったら、おしまいだ。異世界の神様、お願いします!













ーー










二日目。



試験会場に着くと、多くの試験官がいた。どうやら、オールテット学園から試験官が派遣されているようだ。まぁ、それもそうか。試験問題だけ作って、後は放置なわけはないか。採点や監督も行うよな。試験は、音楽からスタートだ。内容は何だろうか?







「これより、音楽の実技試験を行います。内容はピアノの演奏です。お好きな曲を演奏してださい。では、呼ばれた者から個別に行っていきます。」




最初にジルと俺、双子が呼ばれた。これも身分順みたいだな。試験は、四か所で行うようだ。まぁ、そうだよな。ここには百人くらいの受験生がいるから、一人一人やっていたらきりがない。




試験は、ピアノの演奏か。ピアノは前世でも習っていたから、おそらく大丈夫だ。しかし、念には念を入れて前世の曲を弾いて、満点を狙うぞ。何がいいかな。うーん、アイネクライネナハトムジークなんかどうだろう? 軽やかだから、試験官にウケがよさそうだ。よし、これでいこう!












「では、アース・サンドール様よろしくお願いします。」

「はい、かしこまりました。」








俺は予定通りに、アイネクライネナハトムジークを弾いた。試験官の反応は、見るのが少し怖かったので、できるだけ見ないように演奏した。しかし、若干驚きの声が聞こえてきたが……、今は演奏に集中しようか。











よし、弾き終わったぞ。特にミスもなかったし、いい感じだ。試験官にガン見されていたが、今はいい。次はいよいよ、美術が不安すぎるな……。













ーー













次はいよいよ、美術の試験である。







「では、これから美術の試験を開始します。内容は用紙に書いてある通りです。先に絵画の試験からです。では、用紙を配ります。配られた者から始めてください。」





さて、テーマは何かな? 俺は用紙に目を通した。



『自国の国王もしくは皇帝陛下の御尊顔を、ふさわしい背景と共に描いてください。』



その瞬間、俺の心臓は数秒停止した。











ーー










危ない、ショック死するところだった。これは二重の意味で終わった。まずお題が人物画であることだ。風景画ならワンチャンスあると思ったが、人物画ではワンチャンスも何もない。




そして、俺の独創性あふれる画力であの美形の国王陛下の御尊顔を描いたら、不敬罪になるのではないだろうか。いや、採点はオールテット学園の試験官が行うから、陛下の目には触れないだろう、多分。しかし、陛下の顔を見たことない人は……。あぁ、だから一日目に、陛下がご挨拶をなさったのか。顔を受験生に見せるために。というか、あの挨拶で顔を覚えて、それを描けって、どんだけレベルの高い生徒を求めているんだよ。






そんなことよりも、白紙で出すべきか? いや、そんなことをすれば後々問題になるだろう。ここは陛下の目には触れないことを祈って、心を込めて描こう。










~側近・ジルベルトside~






絵画の試験問題を見た時の反応。








「終わったな。」


「終わったね。」


「不敬罪ですね、主。」


「自分が代わりに描ければ……。」





「あの画力で、父上の顔を描いたら……はははははっ。まずい、笑いが抑えられない。この解答用紙は返ってくるのだろうか。返ってこなかったら、後で描いてもらおう。はははははっ……。」










ーー












「絵画の試験はここまでです。試験官が回収に回りますので少々お待ち下さい。」










俺が真心を込めて描いた絵の回収を、待っていると歩きながら絵を回収していた試験官が俺の前で立ち止まった。



おい、早く回収しろ。俺の絵を、凝視してんじゃねぇ。



俺は一向に動こうとしない試験官に、声をかけてみることにした。早く回収してほしいからな。





「あの……、何か問題でも?」




「いえ……。か、ふっ、回収させていただきます。」








お前、顔覚えたからな? 試験中に笑う試験官が、どこの世界にいるんだ? お前しかいないぞ?








まぁ、いいか。切り替えよう。俺がオールテット学園に入学できるかは、次の工作にかかっている。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!」



と思いましたら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします!



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何卒、よろしくお願いいたしします。

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