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16


……。タンドリーチキン先生は、俺の質問に対して、沈黙した。




「おい、アース何を言っているんだ?」と、ジルがそういいながら詰め寄ってきた。




「アスタたちと初めて会った、あの日のオークション会場の司会の人……。確か、ハーメルンと名乗っていましたね。その人に声や髪色が似ているな、と思ったんだよ。タンドリーチキン先生、間違っていたら申し訳ございません。」



俺はそう言った後に、軽く頭を下げた。


そうすると、タンドリーチキン先生は腹を抱えて、笑いだした。




「はははははっ! 正解でございます、アース様。私は陛下から、殿下が市場やオークション会場に行く可能性があるゆえ、危険がないか潜り込めと言われていたのですよ。」





「ジル、陛下にばれていたな……。」



俺がそう言うと、一瞬嫌そうな顔をしたが、すぐに表情を戻した。あ、聞かなかったことにしたな。



「……。アース、よく覚えていたな?」



「たまたまだよ。黒い髪は、俺の印象に残りやすいんだよ。それではついでに、もう一つ質問があります。私最近、きれいな白い砂浜のビーチに行きたいのですが、おすすめはありますか?」




俺の質問に側近たちは、動揺した。




「アース、お前まさか……。」

「アース様それって……。」





すると再び、先生は腹を抱えて、さっきよりも大きな声で笑いだした。




「はははははっ! アスタ、お前は最高の主をもったようだな! その通りです、私の姓はリンハットです。ここまでばれたのなら、自己紹介をしましょう。改めまして、コンラート・リンハットです。」



側近一同、唖然としている。




「アスタも知らなかったのか?」


「は、はい。知りませんでした……。」




すると、タンドリーチキン先生もといコンラート様が、アスタに素性を明かさなかった理由を話してくれた。




「厳しく指導する上で、話さない方が良いと思いました。あとは、そうですね。初めての弟だったので、自分を律する上でも兄だとは明かしませんでした。」



「そうだったのですね。このことについては、ジルも知っていたんだな?」


「あぁ。リンハット夫妻の息子が影にいることは知っていた。だから、アスタを影に預けることを進めたんだ。それにしても、よくわかったな。」




ただの予想にすぎなかったけどな。前から不思議だったのだが、リンハット夫妻が子育てが終わって寂しいと言っていたことが気になっていた。ふつう後継の子供は、領地に残るはずだ。 加えて、リンハット夫妻は老齢だからなおさらだ。だから、リンハット夫妻の子供は別の所で働いているのかと、俺は考えた。


それに、ジルが特殊な組織の影を進めたことも理由の一つだ。何かアスタのために良いことがあって、勧めたのかなと考えていた。それに、リンハット夫妻の雰囲気にコンラート様がなんとなく似ているような気がしたんだよな。



俺はこの考えを独り言のように、ジルたちに話した。





「お前、本当にすごいな……。」



「だから、たまたまだよ。」



実際、確信に基づいていったわけではないからな。外れる可能性も正直あった。





「タンドリーチキン先生が、兄上……?」と、神妙な顔でアスタがコンラート様を見つめた。


「そうだな。」


「あの、これからは、兄上と呼んでもよろしいですか。」



「もちろん大歓迎だ。」



「ありがとうございます、兄上!」



アスタが嬉しそうで何よりだ。それに、ようやく全員集合だな。









ーー









その夜。

俺は、アスタにどういう能力を身につけたかを聞いてみた。



「はい、残念ながら自分には攻撃魔法の適性がありませんでした。その代わり補助魔法は、影の皆さんが使えるものをすべて習得しました。」





なるほど、すべて習得とは、相当な努力をしたのだろう。攻撃魔法が使えないということは、剣で戦うスタイルなのだろうか?


ここでアスタの口調についてだが、アスタにもラフな感じで話してほしいといったが、「命の恩人には、敬語を使います」と言われたので、このままにしている。無理強いはよくないもんな。




「アスタは従魔契約のほうは適性があったのか?」、俺はとても気になっていた質問を投げかけた。




「適性はありました。」




「……従魔契約きたーーーー!」




……。俺がそう叫ぶと、側近たちが頭を抱えだした。なぜそんなにも冷静なんだ、あの従魔契約だぞ?










「主、落ち着いて。」

「アースはなんで従魔契約が、そんなに好きなの?」




と、ミラルが聞いてきた。なぜと言われても……。




「かっこいいから。」




そんなもの決まっているだろ?










……。俺がそう答えると、しばらくの沈黙が俺を襲った。そして沈黙の後には、側近たちの怒涛のフォローが入った。




「そ、そうだな。」

「うん、そうだね。」

「主らしい。」

「は、はい。」



というように苦笑いで側近たちがフォローを入れてくれた。そんなに微妙な空気を醸し出さなくてもいいじゃないか。


 


「俺も従魔が欲しかったな。」



俺がそういうと、ローウェルがニヤつきながらキースの方を向いた。また、幼馴染の口げんかが始まるぞ……。



「キース、お前主の従魔になってやれよ。」


「ローウェル、お前がなればいいだろう!」











「そんなことより、アスタはもう従魔契約しているの?」、ミラルが幼馴染コンビの漫才を一刀両断にした。



「いいえ、まだしていませんね。どの魔物にするか決めきれなくて……。」




「確かに迷うよな。一体しか契約できないからな。どの魔物にするか、しっかり考えるんだぞ。どんな奴でもいいから、決めたら教えてくれ。その時は、みんなで捕獲しに行こう!」











ーー









「ケルサス兄上、オールテット学園ご入学おめでとうございます!」




 ケルサス兄上もオールテット学園への、入学が決まったのである。




「ありがとう、アース。兄上のように主席をとれなかったことは残念だが……。」




「ケルサス、おめでとう。合格するだけでもすごいことだよ。これから頑張ればいい。一緒に学園に通えることを楽しみにしているよ」と、マクウェル兄上がフォローを入れた。マクウェル兄上は、現在夏季休暇で帰省している。













こうして兄上たちは学園へと出発した。それと同時に、俺の受験勉強が本格化する。来年には入試があるからな。












「みんな、試験勉強頑張ろうな。みんなでオールテット学園入学するぞ!」





俺がそういうと、側近たちも頷てくれたのだがアスタだけが浮かない顔をしていた。アスタの元気が最近ないな……。俺はアスタに理由を、聞いてみた。



「私はここ最近、魔法の訓練ばかりで、その……。貴族としての教養が、足りないと思います……。」




なるほど、そういうことか。


「確かにそうだな。だが安心しろ。俺たちがみっちり指導してやるぞ。一年間覚悟してけよ。」



俺がそういうと、アスタは元気よく、返事をしてくれた。




こうして俺たちの、オールテット学園への入学準備が始まる。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!」



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何卒、よろしくお願いいたしします。

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