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いっぱい買えたな。紫色のトマトに、青色のキュウリ、そしてカラフルなサツマイモ、そして白いジャガイモ、などなどの、苗や種を買うことができた。この世界の野菜は色がおかしいだけで、前世の世界とあまり変わらないようだ。今日は大収穫だな。育てるのが楽しみだ。



「アースが楽しんでくれているようで何よりだ。それにしても、あんなに大量に買ったのに、荷物の心配をしなくていいなんて、お前のアイテムボックスは本当にすごいな。」



「あぁ。本当にな。俺も今ではこの力が便利だなと思えるようになったよ。ジルがこの力の本質は優しい力だと言ってくれたおかげだ。実際、移動や荷物持ちが楽だしな。」




 俺がお礼を言うと、ジルは、『俺は思ったことを言ったまでだ。』と言ってくれた。そういう風に考えられることがすごいんだけど……。まぁ、今はいいか。



 うん? あれは、まさか! 俺はジルに、見つけたお店について尋ねた。



「あれは薬屋だな。」




 あれは、見間違いでなければ胡椒だ。そのほかにもいろいろなスパイスがありそうだな。。前世でも、漢方とかがあったしな、スパイスが薬として売られていても、何ら不思議ではない。見たい。いや、行かなければならない!


 俺はそのお店に駆け寄った。ジルたちは、若干俺の勢いに引きながらもついてきたようだ。



 こ、これは! コリアンダーにクミン、ナツメグ、そして思った通り、胡椒がある。ほかにもいろいろあるぞ! とすると、カレーができるかな……。ここら辺のものすべて買うしかない!


 とんでもない量の薬を買っているように見えたのか、ジルが俺の体調を心配してきた。俺は薬として使うのではなく、料理に使ってみるつもりだと説明した。



「料理にだと? できるのか?」



「いいや、わからん。安心しろ、料理に失敗はつきものだからな。」



「あ、あぁ。 俺で試すなよ?」



 ……。それよりも、この世界に来てからお米を食べていない。カレーを作るなら、米が必須だな。





「なんだ、その妙な間は!」



「なぁ、ジル。穀物は、小麦とトウモロコシとのほかに何かあるか?」



「は? 突然なんだよ。」



「あー、すまない。それで、どうなんだ?」



「はー、お前たまに変だよな。俺もそれ以外は、聞いたことがないな。」



 やっぱり、そうか……。



「ただ、農業大国グレートプレア王国ならば、他の穀物もあるかもしれないな。」



 何、行くしかないな! 俺がそういうと、ジルに止められてしまった。というも、グレートプレア王国は現在、国王派と公爵派で二分されていて、ごたごたしているらしい。面倒ごとに巻き込まれたくなければ、今はいかない方が賢明だと諭された。



 はー、ここはいったんあきらめるしかないな。国の面倒ごとに、自分から首を突っ込むことはないからな。




「よし、そろそろオークションの時間だな。会場に行こう。」、というジルの合図で、全員でオークション会場へ向かうことになった。どんな品が売られているのか楽しみだな。













ーー












 会場に入る前に、俺はローウェルに会場内に土人形を展開してもらい、周囲の様子を探ってもらった。



「今のところ、不審な者や会話は確認できません。」



「ありがとう。ローウェル。じゃあ、ジル、行こうか。」










ーー










 おー、すごい人の数だな。変装している人や、いかにも貴族って感じの人もいるな。ここは、訳ありな人が多そうだな。まあそれは、俺らもだけどな……。そういえば、ジルはここまでわざわざ、来たわけだし、オークションでは、何か目当てがあるのではないだろうか? 俺はジルに聞いてみた。



「俺の狙いは魔法剣だ。このオークション出品されていると聞いてな。お前が使っている魔刀を見ていると、やはり欲しくなってしまう。」




 うーん、そろそろ近しい人に魔刀をあげてもいいけど、まだかな……。魔刀が方々に与える影響を考えるとな。


 魔法剣か……。とんでもなく高いって、グートン先生がおっしゃっていたけど大丈夫なのか? 俺がそういうと、『善処する。」と返された。善処するって……。




「ウォーザット様、大丈夫なのですか?」


「私には止められませんよ。」



 一応、オーサックにも確認してみようか。



「……。オーサック様?」


「強くなるならばいいんじゃないか?」




この、脳筋め。




「……ジル、国のお金には手を付けるなよ?」




「付けねーよ!」












ーー













『レディースエンドジェントルメン! ようこそオークションへ! 司会のハーメルンでございます。本日はオークションにお越しいただき誠にありがとうございます。それでは早速一品目を、ご覧ください!』




 なんか胡散臭そうな名前と見ためだな。俺は司会者のうさん臭さが気になったが、こうして、オークションは始まった。珍しいものや、会場の熱気に気持ちが高ぶり、結局は、楽しい時間だった。特に気になったのは極小のルーン石だ。いつか手に入れたいな。




 そんな中、ある商品が紹介されたと同時に俺のテンションはダダ下がりとなった。





『さぁ、残すところ商品はあと二品となりました。お次は、こちら! 奴隷でございます!一人からでもまとめてでもお受けいたします。では、金貨一枚からスタート!』




 ど、奴隷……。異世界転生あるあると言えばあるあるだ。しかし、生で見ると胸が締め付けられる思いだ。日本に奴隷文化なんてもちろんない。そんな環境で育った、俺の心が耐えられるわけがない。


 俺の様子がおかしいと気づいたのか、ジルが声をかけてくれた。



「大丈夫だよ。この国……他の国にも奴隷がいるのか?」



「この国では少ない方だ、酷い国だとその数は計り知れない。」




 そうなのか……。うん? あの首についているものは、なんだろうか? 俺が首元を見ていると気づいたジルが、教えてくれた。




「あれは隷属の首輪だ。あの首輪をはめられた者は、首輪に魔力付与を行った者に逆らえなくなる。」



「……。奴隷をなくすことは不可能なのか?」



「無理だな。奴隷文化は根強いし、また自ら奴隷になることを望む者もいる。お前が優しいことは理解している、ただ、これだけはどうしようもない。」




 この世界から奴隷文化をなくそう! そんなことは俺にはできない。物語の主人公ではないのだ。だからこそ、自分の手が届く者は必ず守りたい。






「……悪い、お前に悲しい気持ちをさせるつもりはなかった……。」




「わかってるよ。ほら、いよいよ最後の商品だ。」







『皆さんお待たせいたしました。いよいよ最後の商品となりました。本日の目玉商品、魔法剣です!金貨千億枚からどうぞ!』





 あれが、魔法剣か……。金貨千億枚だぞ、誰が買えるんだ。国家予算を超えるんじゃないか? 俺の感覚だと、金貨一枚が一万円と同じ価値だ。



 それにしても、俺の魔刀みたいに無色透明ではなく、黒色だな。たしか、魔法剣も俺の魔刀と同じで、使用者の属性を付与できるんだよな? 俺の魔刀は属性を付与するとそれに合わせて色や形態が変化する。だから何も付与していない状態の魔刀は無色透明なのだ。実際、さっきのルーン石も無色透明だった。その原理で行くと、既に色ついているあの魔法剣は……。




 初めて目にする魔法剣かもしれなものに、ジルたちはたいそう興奮しているようだ。




「ここにいる全員に確認するが、過去に魔法剣を見たことがあるやつはいるか?」




 全員首を振っている。




「王族のジルも見たことがないのか?」



「ないな。少なくともこの国には一本もないからな。あるとしたら大国の帝国や聖王国だな。」



「俺の予想だが、あれは偽物かもしれないな。」





「は?(一同)」




 あくまで予想だと前置きをしてから、俺はさっきの考えを話した。





「確かに、その説明には納得できるな。」



「まぁ、誰も本物を見たことがないから確認はできないけどな。加工する過程で、黒くなるのかもしれないしな。」



「はー、偽物か。まぁ、例え本物でも、買えないけどな。」




 まあ、確かにな。俺たちは誰が買えるのかなんて話をしていると、司会者のコールが聞こえてきた。





『そちらの麗しいご婦人の落札でございます! 金貨千兆枚で落札でございます!』




 は? まじかよ。この世の中にはあんな大金持ちがいるんだな。 

 

 俺たちは若干げんなりしてしまったが、これにてオークションは終了なので、人気のないところに窓を出して帰ることになった。


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