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そんなこんなで俺たちは仲良く? 日々の生活を送っている。
俺たちがリビングで談笑していると、父上が現れた。どうやら、俺が側近を募っているという話が広まり、応募が殺到しているらしい。
そのほとんどが、俺の接待連中ですよ。
「身分の高い家の者からの応募も、多数来ているぞ。何よりも、これらの申し出をすべて蹴るのは外聞が悪いであろう。」
「確かにそうですね。ただ、私は実際にお会いして人柄を見て判断したいので、お会いした後にお断りするのは気が引けます。」
「公爵家ゆえ、断っても文句は言われないだろうが……。確かに、アースの言うことにも一理ある、無駄に敵をつくる必要はない。」
逆恨みされたらかなわないからな。でも、一人ぐらい会っておかないとまずいか……。さて、どうするか。
「しかし、一人くらいはお会いしなさい。そうすれば、波風はあまりたたないであろう。」
父上の言うとおりだな。どの方にお会いするか、検討しておかなければ。
ーー
俺は側近たちに、父上からもらった名簿の中でおすすめの人物はいるか尋ねてみた。その際、一人だけ会うなら、それなりに地位の高い家の者の方が角が立たないだろう、ということも伝えた。
すると、キースが一人の名を指さした。どうやら、キースが前に紹介するといった、情報収集に長けたキースの幼馴染らしい。
名前は、ローウェル・カーサード、というらしい。おー、侯爵家か。身分も充分だな。これなら、周りからとやかく言われることも、少ないだろう。
俺がそんなことを考えていると、ミラルが嫌そうな顔で、その名前を見つめていた。
「ミラルはこいつのことを知っているか?」
「……。軽い奴だったよ。」
軽い? まぁ、いいか。とりあえず会ってみようか。
ーー
今日はキースの幼馴染のローウェル・カーサードがサンドール公爵家に来る日である。
どんな人物か楽しみだな。キースの幼馴染だから、キースとは付き合いが長いのだろうか? 俺がそう聞いてみると、親同士の仲が良いらしく、小さいころからよく遊んでいたらしい。
「護衛騎士団団長と仲がいいってことは軍人関係者か?」
「いいや、カーサード侯爵様は財務大臣を務めておられる。」
財務大臣の息子か、計算が得意な文官タイプだろうか?
俺とキースが会話をしていると、どうやら彼が到着したようだと、ミラルから報告があった。
さぁ、お出迎えしようか。
ーー
開かれた扉から入ってきたのは、緑色の髪に淡いピンク色の目をした、人懐っこそうな見た目の美少年だ。
「空間と時の女神の祝福を受け、類いまれなるこの出会いに感謝をすることをお許しください。お初にお目にかかります。カーサード侯爵家次男、ローウェル・カーサードです。本日は、アース様にお会いできることを楽しみにしておりました。」
「許します。お初にお目にかかります。アース・サンドールです。私もお会いできることを楽しみにしておりました。では、応接室に行きましょう。」
ーー
応接室にいるのは、俺たち四人だけだ。お茶の準備をした使用人たちには退出をお願いした。
「いやー本当に楽しみにしてましたよ、アース様。何しろ、キースに自信を取り戻させてくれた御人ですからね。」
な、なんだ。急に態度が軟化したぞ。何か狙いがあるのか?
「あれ、気に障りましたか? アース様は、こういうラフな感じを好んでいると、見てて思いましたが……。」
確かに俺は、ラフな方が俺の気は楽だが……。見てて思ったとは、どういうことだ? 今日が初対面だよな? 俺が不思議に思っていると、何か心当たりがあるのか、キースがローウェルに詰め寄った。
「お、お前まさか! 土人形を使ったな お前、会ってもいないのに土人形で観察するなんて失礼だぞ!」
すると、ローウェルはキースに向かって指を鳴らした。
「正解。流石、俺の幼馴染のキースだな!」
土人形で見ていた? どういうことだろう。俺は、俺にもわかるように二人に説明を求めた。
キースによると、ローウェルの属性は土で、補助魔法が得意らしい。土人形を操り、攻撃、そして土人形と感覚を共有して情報収集を行うことができ、さらに、偵察もできるらしい。
なるほど。近頃何やら微弱な魔力を感じると思ったら、土人形の魔力だったのか。それにしてもすごい能力だな。土人形での偵察や情報取集なら、生身で行うよりも見つかりにくく、危険も少ない。本当に、いい能力だ。
俺がそう褒めると、ローウェルはくしゃっと笑った。
「ありがとうございます。ただ、勝手に、のぞき見のような真似をしてしまい、すみませんでした。何しろ、あの腐っていたキースが、突然俺のところにきて、「すごい方にあったぞ! 俺はあの方に全身全霊でお仕えする!」といって、興奮しながら語ってきましたからね。それで、アース様を一目見てみたいと思った次第です。」
ローウェルがそういうと、キースがローウェルの頭をぶったたいた。
「おい、ローウェル! その話はしなくていい!」
俺とミラルで、温かい目をキースに送っておこう。なるほど、キースが俺のことをそんな風に思っていたなんて知らなかったな。
「二人とも、その子供を見るような目でこっちを見るな!」
「いいじゃないか、かわいらしくて。なあ、ミラル?」
「そうだね。私には、キースの後ろにしっぽが見えたよ。」
「あぁ、俺にも見えるぞ。」
「うるさい! 話を進めろ!」
少しいじりすぎたかな?
「ははははははっ! やっぱりあなた方は面白い! 普通の主従関係とは少し異なるが、互いに信頼していることが伝わってくる。ぜひ、俺もこの輪の中に加わりたい。いや、アース様あなたの側近にならせていただきたい。」
俺は、文官の側近を募集中だ。さらにかなりの使い手ならば、断る理由はないな。俺がそういうと、ローウェルはキースに、剣を貸してほしいと申し出た。
「ローウェルは、剣術を習っていないのか?」
「俺は魔導士よりの文官ですので、剣は使いません。」
なるほど、そういえば、両刀使いはそれ程いないという話だったな。
ローウェルが俺の前に跪き、そして剣を差し出した。
「私ローウェル・カーサードは、アース・サンドール様への忠誠をここに誓います。どうかあなたに、この剣を受け取っていただきたい。」
俺は忠誠の儀の作法通り、差し出された剣をローウェルの首元にあてる。
「私、アース・サンドールはローウェル・カーサードあなたの忠誠を確と受け取ります。これからよろしくな、ローウェル。」
「はい、こちらこそよろしくお願いいたします、我が主。そして、キースとミラル譲も。」
ミラル譲?俺が不思議に思って二人を見ていると、ミラルが肩をすくめて事情を説明してくれた。
「この男は、初対面で私のことを「ミラル譲」と呼んだんだよ。それで、軽い男だと思ったんだよ。」
あー、それでミラルは、ローウェルのことを軽い奴だと言っていたのか……。
あ、そういえば、俺の側近になるには、俺と本気で戦うことが通過儀礼になっていたな。別に恒例にする気はないが、面白そうだから、ローウェルとも戦ってみようかな。俺がそういうと、ローウェルは首をぶんぶんと横に振った。
「それは見ていましたけど……。本当に戦うんですか、我が主!」
「あぁ、もちろんだ。さぁ、いこうか訓練場へ。」
「そ、そんな! 俺、文官なのに!」
ローウェルは悲痛の表情を浮かべながらも、渋々俺たちについてきた。
ーー
最初は冗談のつもりだったが、面白そうなので俺とローウェルは、模擬戦を行った。結果は、俺が小窓で背後から一撃を加えて、一瞬で気絶させておいた。
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