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ブフフフッフーーーー! 



「おい、アース! 何してくれてんだよ! 」、とジルが俺に怒鳴ってきた。


ジルは俺の正面に座っていたから、若干かかってしまったようだ。



「悪いな、ジル。それよりも、ハル、アイザックの言ったことは本当か?」



「ああ、まあな……」と、ハルが視線をそらしながら答えた。





 内容が衝撃すぎて、つい緑茶を噴出してしまったが、考えてみれば当然か。帝国の第一皇子だからな、婚約者候補がいても不思議ではない。それにアイリーンは前賢者の孫だ。身分も皇子のハルと釣りあるだろうし、年齢も同じだ。アイリーンがハルの婚約者候補に選ばれるのも、道理だな。それにしても、ハルの反応がいまいちだよな。まあ、あの態度や性格を考えれば、俺もお断りしたいけど……。



すると、「ハルは、嫌なのか?」、ジルも俺と同じことを思ったらしく、ハルに直球の質問を投げかけた。




「……よくはない」と、ハルはただ一言答えた。





それもそうか、俺達しかいないとはいえ、前賢者の孫との婚約が嫌だなんて、いえないよな。これも、皇族の定めだよな。俺ならば、耐えられないな。



「お前等こそ、婚約者や婚約者候補の一人や二人、いるんじゃないか?」と、ハルが話題の転換を図る。




「俺はいない、興味もない。」

「俺は自由でいたい。だから婚約するもしないも、自分で決めるんだ。」



へー、意外だ。ジルも興味がないのか。そういえば、ジルとはこういう話をあまりしたことはないな……。





「アースは、まあいいとしても、ジルは無理じゃないか? 王族なわけだし、陛下からお相手を決められるんじゃないか?」



俺もそう思う、ジルはどう考えているのだろうか?



「それは王族の定めとして、受け入れる。ただ、俺自身は興味がないだけだ。」



結構ドライだな。まあ王族や皇族の結婚観なんて、こんなものなんだろうな。貴族も似たようなものか。しかし、暗い話題になってしまったな……。よし、俺が雰囲気を変えなければな。




「ハル、決勝でアイリーン様を負かしても構わないか?」



俺が突然そういうと、ハルは目を瞬かせた後にふっと笑った。



「突然だな。だけど、一向に構わないぞ。むしろ、俺はアースが優勝することを望むよ。」


「俺もだぞ、アース。主としても友人としても、アースの優勝を願っている。」



「ありがとう二人とも。俺、全力で戦うから!」



二人に此処まで言われたら、絶対勝つぞ。もう空間属性を隠す必要もないしな、能力やオリジナル魔法も惜しみなく使って、全力で勝ちに行く。







ーー








月の日の朝になった。

転移陣からは続々と、保護者たちが現れた。俺とジルたちは、トーナメント会場へと朝早くに足を運び、料理を側仕えコースの生徒に説明し、引き渡してきた。





そしていよいよトーナメントが開催される。俺の場合は、一日で最大八試合を行うことになっている。ひとつ前の試合になると控室に行き、待機することになっているが、それ以外の時間はどこにいてもいいことになっている。俺は当然、アーキウェル王国の陣地にいながら、他の生徒の戦闘スタイル観察している。陛下や父上といった重役たちは、他の陣地を回って社交を行っている。まあ、俺たちの国は最下位の国だから、挨拶をする立場なのだ。周りの声を聴いていると、俺の料理やお菓子は受けが良かったようだ。陛下からの命令をしっかり遂行できたようで何よりである。










ーー










俺は準決勝までは順当に勝ち上がった。これは驕りでも何でもないが、単属性の相手にはまず負けない。それにまだ、上級魔法を使えない生徒の方が多い。そして、俺の魔力量は多い。空間属性を使うまでもなく、勝つことができた。


ここで勝敗の決し方であるが、相手を戦闘不能にすること、もしくは相手が降参をすることである。もちろん、殺害することは禁止であるが、そのほかは特段これといったルールは存在しない。魔導士コースは、杖以外の武器の使用禁止という制約がある。





しかし、ただ勝ち上がるだけではだめなのだ。なぜなら、一日に八試合をこなければならない。つまり、魔力の回復が図れないのだ。だから、最小限の魔力で勝ち上がっていくことがカギとなるのだ。俺の場合は、ずるいと思われるかもしれないが、【泡沫の夢】で相手から魔力を奪っていた。これも俺の魔法の範疇だ、勝つためならばこれくらいは当然のことだろう。






「アース流石だな、順調に勝ち上がっているな。この次は準決勝だな。」


「ああジル、次の対戦相手は今戦っている二人の中から決まるが……、実質決まっているようなものだな。」



今戦っているのは、シリル殿下の側近のジョンである。彼ならば順当に勝ち上がるだろうな。







ーー







案の定、ジョンが勝ち上がってきた。俺とジョンが準決勝の第二カードだ。そして第一カードは、こちらも順当通りに、アイリーン対、クリスだ。今から早速、準決勝の第一カードが始まるようだ。俺は、控室に行かなければならない。準決勝ということもあって、陛下を含めた全員が陣地に帰ってきたようだ。




「アース、悔いの無いように戦ってきなさい」、「アース、怪我だけはしないようにね」と、父上と母上がエールを送ってくれた。



俺がジルや側近たちからエールをもらっていると、赤い人物が現れた。




「アース、調子がよさそうだな?」



「ハル! こちらの陣地に来ていてもいいのか?」と、俺が聞くとどうやら皇帝陛下に許可をとってきたらしい。




「せっかく準決勝だ、友人たちと観戦したいだろ?」



「わかったよ、来てくれてありがとう。精一杯戦うからさ。」



「ああ、行って来い。」と、ハルたちに見送られて、俺は控室に向かった。











ーー










控室では、会場の様子が見られないのが辛いよな。アイリーン対クリスの試合見たかったな……。でも、結果はおそらく……。


いや、今は自分の試合に集中だな。準決勝からは、魔力の温存などと、生ぬるいことは言っていられないだろう。全力で行かなければ、負けてしまう。ジョンとは何度が、魔法の訓練を共にしている。彼の実力は本物だ。彼に勝つためには……。





と、俺が次の試合をイメージしていると、係員から第一試合が終わったので、準備をしてほしいと声がかかった。結果は俺の予想通り、アイリーンが勝ち上がったようだ。



よし、いよいよ準決勝だ。応援してくれたみんなのためにも、絶対勝ってみせる。










俺がバトルフィールドに入ると同時に、ジョンが反対側の通路から現れた。




「アース様とこのような場で真剣勝負ができることを楽しみにしていました!しかし、負けるつもりはありません!」


と言うジョンは、いつものにこやかな表情をうかべながらも、声音は真剣そのものであった。




「俺も負けるつもりはないよ、俺は君に勝って、優勝するつもりだ。」




俺がそういうと、ジョンから笑みが消えた。



「上等です!」








『それでは始め!』


立会人の合図とともに、俺たちは同時に魔杖を構えた。



『木針』

『氷弾』




ジョンから打ち出された鋭い木片を、俺は氷の礫で迎え撃った。そう、ジョンは珍しい派生属性の持ち主なのだ。





ジョン・シャンベル。属性は木。木を自在に操ることのできる、土属性の派生属性である。攻防に優れた、自由さが持ち味である。使用者のイメージ力次第では、最強の万能力を有する。




ジョンに攻撃を与えるには、ただの水ではだめだ。氷のように、実体が必要だ。木に関しても、俺がガン有利とはいえないよな。少し苦しめてしまうが、水牢での降参を狙ってみるか。



『拘束しろ 水牢』







俺はジョンを大きな水球で覆った。並大抵の魔導士では、この水球による拘束を突破することはできない。他人の魔力の中から、魔力行使をすることは難しいからである。だから、俺の水球内で魔法を行使して、突破することは難しい。並大抵ならな……。






『木操』




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