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閑話 キース・ツーベルクの日常

俺はキース・ツーベルク。アース・サンドールに仕える護衛騎士だ。



俺たちの朝は早い。同学年のやつらと比べても、かなり早い方だと思う。学園は九時に開始なのにもかかわらず、俺たちは五時半には起きている。理由は、朝の朝食づくりと、朝風呂のためだ。朝風呂に関しては、なくてもいいのではないかと殿下の側近たちに言われたが、俺の主が好きなのもあるし、何より俺も風呂に入ることは好きだ。一人でゆっくりと入ることも好きだが、アースたちと話しながら入る風呂も好きだ。




朝はローウェルと一緒に風呂の掃除からスタートするわけだが、ローウェルは朝に弱い。たまに立ったまま寝だして、俺に寄りかかってくることがあるが、鬱陶しいのでそういう時は、シャワーで水をかけている。そうすると、ぐちぐち文句を言ってくるが、寄りかかられるよりはましである。掃除も後半に進むと、朝食のいい香りがしてくる。アースがつくる料理は最高だ。もう、アース以外の料理を口にすることはできないだろう。



朝食の前にアースは、よく瞑想をしている。今までは、朝食をつくりながら魔力循環を行っていたようだが、学園に来てからは、しっかり座って目を閉じ、集中して循環を行っているようだ。俺がなぜかと聞くと、「魔導士コース以外の人間には口止めをされている」と、言われてしまった。何やら、危険なことらしい。俺も副コースで魔導士コースを選びたいが、俺の魔力量だと厳しいだろう。くそっ、またアースに置いて行かれてしまうな。



アースが瞑想をしている間、アースは俺たちに先に朝食を食べていてもいいと言ってきたが、主を差し置いてそんなことはできない。というか、「そんなことをいう主は、お前以外にはいない」、とも言っておいた。つい俺は、一言余計に言ってしまう。俺たちもアースに付き合って、瞑想をしている。前からアースがやっている、魔力の体内循環は前に教えてもらったから、それをやっているのだ。魔力量が少しずつでも、増えてほしいものだ。












ーー













先程は、学園がある日の朝は早いといったが、休日もこの時間には起きる。なぜなら、俺たちは自分で部屋を掃除しているからである。平日では掃除しきれないところを、休日に掃除しているのである。




あとは午前中には、洗濯もしている。洗濯方法は、手で洗うことが普通であったが、アースはまた斬新な方法を思いついた。それはアースが水魔法で水球をつくり、殿下が風魔法で内部を回す、という方法である。これでかなりの時短となり、さらに洗浄力も上がった。どちらも高い身分なのに、やっていることが平民らしくて、笑ってしまう。最近オーガスト先生が、入浴剤の香りづけに成功したということを受けて、アースが、「今度は、服に香りをつける方法を試したい」と、言っていた。石鹸をつくるということなのだろうか?




休日の午後は、鍛錬を行っている。俺の主は、剣術から始める。俺がアースの側近になった、理由の一つはこれだ。アースは、剣の天才である。騎士が戦ううえでは、補助攻撃魔法や身体強化魔法を用いるため、純粋な剣技だけの勝負とはならない。しかし、純粋に剣の腕だけの勝負となると、アースに勝てる者はいないだろう。いや、能力が加わってもアースは負けないか。何しろ、どれも強力な能力ばかりだからな。俺は、アースの剣術が好きだ。すきがなく無駄のない動き、そして格の違いを見せつけられる毎日。どれをとっても、アース以上の剣使いは見たことがない。本人は自覚がないようで、「キースの韋駄天は攻撃力があって、うらやましいな」などと、言ってくる始末である。まあ、アースらしいけどな。




剣の訓練が終わると、アースは一人で別の所へ移動しようとすることが多い。『氷鎧』など、俺たちが見たことのない魔法は、アースが一人で訓練している時に編み出しているのだろう。訓練場所はおそらく、魔女の森だな。あそこならば、人に迷惑がかかることもないしな。あいつは前に、その場所を氷漬けにしたけどな……。しかし、側近としては主が単独行動をすることは看過できない。俺はそのことをアースに伝えたが、アースは嫌だといった。俺は頭に来て、少し声のトーンを落として諭してみた。そうすると、アースは、「騎士一人なら来てもいい」と、少し不貞腐れて言った。不貞腐れるくらいなら、もう少し自分の立場を考えてほしいものだ……。





七月は俺がアースについていく番だ。アースはどうやら、魔闘演舞のために、新魔法を開発しているようだ。そんなに何個もオリジナル魔法がつくれるものかと不思議に思い、アイザックにきいてみると、「アース様にしかできませんよ、そんな非常識なこと」と、言われた。アースは、色々な面で非常識らしい。アースは、魔刀を魔杖に変形させているようだった。魔杖とは、魔導士コースに配られている、魔法を補助する杖らしく、詳しくはこれも話せないらしい。


俺がその変形を見ていると、アースは『咲け 白薔薇姫』と言った。は? 魔刀以外で何を……。俺はそう思ったが、即座に理解した。それもそうか、あの素材であればいいんだから、刀である必要はないのか。杖でやれば、魔導士の『武器の使用禁止』というルールにも抵触せずに、思う存分能力を使うことができる。アースは相変わらず、ずる賢いというか、頭が柔らかいよな。




杖の変形が終わると、今度は新魔法の開発に入ったようだ。俺がみていると、水が上空に放出されたと思うと、それがだんだんと形を変えていった。 は? あ、あれは……。




「おい、アース! それを見たことがあるのか!?」


俺がそういうと、アースは肩をすくめた。



「は? 見たことがあるわけがないだろ? キースはこれが何か知っているのか?」




もちろん知っている、あれは伝説上の生き物「龍」だ。ドラゴンは今もこの世界に存在していて、ダンジョンや野生に出現する。胴体が短く、飛行はできるが、どちらかというと陸上での生活が好みのようだ。それに対して龍は、胴体が蛇のように長く、空を悠然と飛ぶ伝説の生き物である。アースは、この魔法を使う気なのか? パニックになるのではないだろうか? 俺がそんなことを考えていると、だんだんとアースの新魔法が完成したようだった。




『登水龍』




アースがそう詠唱すると、とてつもなく大きい龍が空を舞った。



はーー、こんなものを人前で……。まあ、空間属性が知られているから、この際些細なものか? 




『登氷龍』





今度は氷の龍が空を舞った。そんな気はしていたけどな……。俺は、その二体の龍の威力を目撃してしまった。周りの木々が一瞬にしてなくなったのだ。この威力は、上級魔法に匹敵するのではないか? 俺はそうアースに聞いてみた。




「これは上級魔法じゃないぞ。なぜなら、詠唱が短いからな。上級魔法は各属性の王に願って、力を貸してもらい行使するものだ。だからこれは、中級魔法だよ。」





これが中級魔法だと? お前が良く使っている、中級魔法の氷柱雨とよく比べてみろよ? 俺はそう言おうとしたが止めた。アースが満足そうに、また龍を出し始めたからだ。



アースが強くなる分には全然構わないんだ。アースがそれで敵をなぎ倒していくのならばな、俺は主を失いたくない。もちろん、この手で最後までアースを守りぬくと誓っているんだ……。俺はそう、自分に言い聞かせて、この現実をみないようにした。






来月には、剣闘演舞がある。後期開始直後に、ジーマン殿下から宣戦布告があったからな。どうやら、俺たちアースの騎士に用があるらしい。何が来ようと俺は、優勝して見せる。もちろん、同僚であるミラルやアスタにも負けるつもりはない。


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