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8


俺が叫んでいると、突然ドアが開いて側近たちが中に入ってきた。



「どうした、アース! 大きな声を出して、何かあったのか……。」



そこには、ガッツポーズをし、はしゃいでいる俺と頭を抱えるジル、そしてそれを呆然と見ているハルの姿があった。




それに対して、側近たちが来たのにいち早く気付いたジルが、



「あー、すまない。アースの偶に出る奇行が、出てしまっただけだ。特に異常はないから、みんな、安心してくれ。」



と、皆に説明をした。


偶に出る奇行だと? それは聞き捨てならないな。




「おい、ジル。奇行とはどういうことだ、失礼だろ?」




おれがそういうと、ジルと側近たちが大きなため息を吐いた。




「何が失礼だ! お前は特定の単語に、過剰に反応するときがたまにある。それを、奇行だと言っているんだ。周りにいる俺たちの迷惑も考えろ。事実ハルを見てみろ、固まっているぞ。」



ジルに言われて、ハルの方を見てみると、本当にフリーズしていた。



だって、ダンジョンだぞ? 逆になんでそんなにみんなは冷静でいられるんだ?



「ジルは、ダンジョン行きたくはないのか?」



「……それは……。」




ほら見ろ、顔がにやけているぞ。お前だって行きたいくせに。



「みんなも行きたくはないか、帝国のダンジョンだぞ。夏休みはダンジョン合宿ができるぞ?」




俺がそう、側近たちに語り掛けると、騎士組が反応を示した。




「俺はいきたい、強い魔物と戦いたい。」



そうだよな? 脳筋のオーサックはそういうと思っていたぞ。



あとは、より喜びそうなのは……。



「キース、お前はどうだ? 行きたいだろ?」



俺がそういうと、キースはうれしそうな雰囲気を出しながらも、表情は取り繕って、「行きたい」とだけ答えた。


本当にわかりやすいな。



「ということだ、ジル。陛下の説得を頼んだぞ? 」


「ああ、わかったよ。」




ジルは仕方がなさそうな顔をしながらも、引き受けてくれた。まあ、ジルもダンジョンにはいきたいだろうからな。



……後は、ハルは大丈夫かな?



「ハル、そろそろ戻ってきてくれ? 夏休み、帝国へ行ってもいいか?」



俺がハルの肩を揺さぶると、ハルが気を取り直したようだ。



「あ、ああ。もちろんいいぞ。それにしても、アースにもこんな子供みたいな一面があったとはな。」




何だと? 俺はもう大人だぞ? 


俺は貴族スマイルを浮かべて流しておいた。















ーー













それから俺らは楽しい休日を過ごした。ジルもハルも、土日どちらも俺の部屋に泊まっていった。


もう少し、広い部屋を借りようかな?




そして、月の日がやってきた。



俺は、金の日にあのジーマンに俺が空間属性であることを、一年生全員にばらされたのだ。もともと開示するつもりではあったが……、かなりの注目を集めるだろうな。それに、他の学年からもな……。




「主、そんなに気にしてもしょうがないですよ。それに、殿下たちが付き添ってくれるって、仰ってくれたっじゃないですか?」




そうだった。俺がこのことをジルたちに話したら、自分たちが一緒に行動するという風に言ってくれたのである。王子が二人ともなれば、そう簡単には近寄れないだろう。一部の空気の読めない、聖王国のやつらと違ってな。



俺たちが転移陣に乗り、学園に着くとそこにはジルとハルが待っていた。俺たちは挨拶を交わし、一コマ目の算術の授業のために大講義室へと向かった。



道中は案の定、俺へと視線が集まり、ひそひそ声が聞こえまくっていた。ジルやハルのおかげで、話しかけられたり、絡まれたりはしなかったが、なんとも居心地が悪い。


そして、そんな囁き声の中には、「本当に、あいつは空間属性持ちなのか?」という内容のものも含まれていた。

まあ確かに、証拠はジーマンの証言しかないものな。金の日の魔導士コースでは、もう一度俺の自己紹介をしようか。空間属性持ちを疑われることは、少々腹が立つからな。







それから居心地の悪い算術の授業を終え、ハルと一緒に補修クラスへと向かっている。


そういえば、ハルが補修クラスにいる理由を聞いてみたいと思っていたんだったな。いい機会だし、聞いてみるか。とんでもなく絵が下手だと言われたら、それはそれで、反応に困るけどな……。





「俺が補修クラスにいる理由? それはな、決して絵が下手なわけではないぞ。テストのお題を覚えているか?」




お題は確か、自国の王の肖像画と、ふさわしい背景だったな。俺が覚えていると返すと、ハルの口から衝撃の発言が飛び出した。




「お題が父上の肖像画だったからな、ついふざけてしまったんだよ。」




は? こいつマジで言っているのか? まったく笑い事ではない気がするが……。俺と同様に、側近たちも唖然としているようだ。いわゆる、反抗期というやつなのだろうか? 親の顔を素直に描きたくなかったのかな? まあ、ハルも十歳の少年だから仕方がないか……。


俺は、ハルに温かい目を送っておいた。



そうすると、ハルはそっぽを向いてしまった。



「バカだったと、自分でも思っているよ……。ただ、そのお陰でアースと話す機会が生まれたわけだし、結果オーライだろ!」



ポジティブだな……。











ーー










俺たちが教室に入ると、そこにはアイラ・ガルーアラ様がすでに席についていた。


彼女は、ガルーアラ王国の第二王女である。彼女とは話したことがない、というかあちらは俺に全く興味がないようだ。そういえば、ハルはアイラ様と交流があるのかな? 他には、国主コース同士、話したり、公的な場での社交があったりするのかな? 聞いてみるか。





俺たちは後ろの方に着席した。もう、ハルと離れて座る必要はないからな。



(「ハルは、アイラ様と話したことがあるのか? (小声)」)


(「ああ、国同士の付き合いで少々な。だが、あくまで公的な場でのもので、私的な話をしたことはないな。俺に興味がないのだろうな。(小声)」)




ハルにも興味がないのか。それにしても国同士の付き合いか、帝国とガルーアラ王国は結構交流があるのかな?



俺たちが小声で会話をしていると、ドアが開き、オーガスト先生が教室へと入ってきた。





「アース君、お久しぶりです! 冬休みの間、アース君の弁当が……。いえ、アース君に会えないことが、寂しくて……。」




このノリ懐かしいな、というかやっぱり弁当が狙いなんじゃないか! 

まったく……、この人の変人さは変わりがないようで安心した。




「先生、お久しぶりですね。ですが、授業をお願いしてもよろしいでしょうか?」



「は、はい……。」



先生は渋々ながら、授業を開始した。


絵画の授業は今月いっぱいで終了となり、来月からは工作の授業となる。俺も晴れて来月からは、補修クラスを卒業できるというわけだ。まあ、来年の前期には戻ってくるけどな……。






「それでは、今月中までに文化祭の展示品を仕上げられるように頑張りましょう。完成できない場合は、放課後に補修となります。」




補修クラスの上に、終わらなければさらに補修だと? 言葉を聞いただけだと、落ちこぼれ感が半端じゃないな。なんとしても、授業内で終わせなければ。 




今年の手第一学年の絵画のテーマは、料理だ。好きな料理の絵をかいて、全員が文化祭で展示することにいなっている。俺はハンバーガーにした。最初はカレーにしようと思ったが、初めて見る人には、茶色い何かとしか目に映らないだろうから、やめておいた。



俺はどんどん書き進めた。途中で、横にいるハルの絵を見てみたが、とんでもなくうまい。テストでおふざけしたというのは、本当の話のようだな。というか、ハルの絵って……。



「ハル、その料理はもしかして……。」



俺がそう聞くと、ハルは恥ずかしそうに答えた。



「ああ、テーマが好きな料理だからな。アースの料理以外は、思いつかなかったんだ。駄目だったか?」




「そんなことはないよ、むしろすごくうれしい。これからもたくさん食べに来いよ。」




俺がそういうと、ハルは笑顔で頷いた。










ーー










そして美術の時間が終了した。と、同時に、オーガスト先生が突撃してきた。お前は、子供か? と、突っ込みたくなる気持ちをおさえて、貴族スマイルで出迎えた。




「アース君、昼食にしましょう! そして昼食をとりながら、アース君が冬休み中に考えた工作のアイデアのお話を聞かせてください!!」




あ、忘れてた。確かに冬休み前に、工作のアイデアを冬休み中にたくさん考えておくと約束した気が……。まずいな、色々ありすぎて工作のアイデアなんか、たくさんもないな。思い当たるものといえば……、イヤリングと入浴剤か。ただ、イヤリングはエリックに頼みたいしな……。


とりあえず、側近たちを呼んでこようか。






「わかりました。では、側近たちを呼んできますね。」



俺がそういうと、オーガスト先生は首をかしげてしまった。



「うん? アース君には側近がいるのですか?」


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