表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

111/193

5

それから俺は、フライドポテトも揚げ終わり、ミラルの担当した野菜炒めの味付けも終わった。



「よし、二人ともお疲れ様。じゃあ、配膳しようか。」



「うん、そうだね。みんなお腹を空かせていると思うよ。」


「そうですね、早速運びましょう……。アース様、なぜ一人分残っているのですか? 野菜炒め以外の料理が……。」



内緒だ。










ーー









「みんな、できたぞーー!」




俺がそう叫ぶと、一斉にテーブルに集まってきた。




「あ、ハルは俺の隣な?」



「うん? もちろんいいぞ、アースの料理は久しぶりだから……。おい、野菜炒めしかないぞ?」



「あー悪いな。てっきり俺は、野菜炒めだけで十分かなと思っただけだ。」



そう、俺は少し怒っているのである。その腹いせに、ハルの前には、野菜炒めだけを置いておいたのだ。




「そ、そんな……。」




といいながら、ハルは泣きそうな顔をして項垂れた。





俺がそんなハルをみて、内心笑っていると、ジルが俺たちの間に入ってきた。


「アース、それくらいにしてやれ。」




……流石に俺も、そこまで鬼ではない。ちょっとした報復のつもりだったが、かなりの精神的ダメージを与えてしまったようだな。




「ハル、すまない、冗談だよ。今持ってくるからさ。」




俺がそういうと、ハルは前のめりになって、元気を取り戻した。




「アース、俺はお前の料理が食べられるのであればなんでもいい! さっきのことは謝る!」




それでいいのか、アイバーン帝国第一皇子。





そして俺が台所に向かうと、なぜかアイザックがついてきた。



「どうした、アイザック?」と、俺が尋ねるとアイザックはふっと笑った。


「いえ、お礼が言いたくて。」



何のお礼だろうか? 俺が訝しんでいると、アイザックは肩をすくめた。



「主は冬休みの間、貴族連中の接待やら公務やらで、気の抜けない生活を送っていました。学園に入学したということで、陛下からの要求も増えました。その生活が終わって、主が本当の姿でいられるのがアース様たちといる時だけです。ですから、これからも主を甘やかしていただけると幸いです」というと、アイザックは礼をした。






……ラインハルトの事情は何となく察してはいたが、帝国の第一皇子ともなると、自国での冬休み生活はさぞや大変だっただろう。


俺たちが一緒にいることで、ハルの息抜きになれるのなら、とことん付き合うさ。何より、一緒にいて楽しいしな。




「俺でよければいくらでも。それに、ハルが一緒の方が楽しいしな。」



そういうと、アイザックは笑った。





あ、そうだ。たしか、ローウェルとアスタがアイザックの能力についての答え合わせを行ったんだよな。結果を、聞いてみようか。



「それで、俺の側近の答えはどうだった?」



俺がそういうと、アイザックは不敵にほほ笑んだ。




「あなたの側近は、間違いなく優秀ですよ。」








ーー











「それじゃあ、アース。今日のメニューを紹介してくれ。」



ジルからの促しを受けて、俺はメニューの紹介を行った。


「わかった。まずはおなじみスープカレーだ。それから、成長期には必須の野菜炒め。そして残り二つは初だしだな。メインはハンバーガーだ。ハンバーグをパンとレタスで挟んで、特製ソースをかけたものだな。これはまだ、キースしか食べていない。そして最後にフライドポテトだ。じゃがいもを上げただけのシンプルな料理だな。お好みで、塩、塩コショウ、ケチャップをつけて食べてくれ。説明は……」と、俺は途中で説明をやめた。



腹の音の大合唱が聞こえるな(笑)





「よし。じゃあ、いただきます!」


「いただきます!(一同)」





一斉に、全員食べ始めた。






「やっぱり、アースの料理は最高だな。このハンバーガーというやつはすごくおいしい。昼食にもよさそうだな。」


と、ハルが先程までのがっかり具合が嘘のように、元気を取り戻した。



「ああ、そうだな。今度から、昼食のメニューに追加する予定だ。おかわりもあるから、各自台所で、自由に取っていってくれよ。」





「それにしてもキース、キースだけこんなおいしいものを先に食べていたとは羨ましいな?」



とジルが、キースをうらやましそうな顔で見つめている。



「で、殿下、そう言われても……。おい、アース。」



キースがたまらず、俺に助けを求めてきた。



「ジル、あの時は仕方がなかったんだよ。何とかして、キースを励ましたくてな。」





「ああ。あの時は確か、主とキースの二人で夕食を食べていましたもんね」と、ローウェルが思い出しながら言った。



「そうだったね。まさか、こんなにおいしいものを二人で食べていたなんて、知らなかったけどね。」



「そうですね、あの時自分たちにも出してくださればよかったのに……。」



と、側近全員が俺とキースをジト目で見てくる。





これはあれか? 自分たちにも何か食わせろということか? 時がたつにつれて、俺の扱いが雑になっているような気がするけど……。





それよりも何かあるかな……? 入浴剤を披露してもいいけど、側近たちはもう知っているんだよな。あとは、デザートかな。あ、そうだ。最近、カレー用に買ったはちみつがあったな。とすると、俺が前世好きだった、あれがつくれるな。







まずは入浴剤を、ジルたちに披露しようか。


「ジル、今日も風呂に入っていくか?」


「ああ、そうだな。」


「ハルはどうする?」と、ハルにも確認してみた。



すると、ハルは驚いた表情を浮かべた。



「は? お前らは、いつもみんなでふろに入っているのか?」




「ああ、そうだな。側近たちとはいつも一緒に入っているな。貴族は、付き人に体を洗わせるのが普通だが、俺は嫌なんだよ。代わりに、一緒に風呂に入っているという感じかな。それに、あんなでかい風呂に、一人で入ってもつまらないしな。ジルは俺の部屋に来たときは、大抵風呂に入っていくよ。」




俺がそういうと、ハルは少し寂しげな表情を浮かべた。



「そ、そうなのか。俺はいつも、一人だからな……。」



確かに、風呂に入っている時は無防備だから狙われやすい。風呂の前で、アイザックが警戒しているのだろう。




「風呂で、わいわい騒ぐのも楽しいぞ。どうだ?」



俺がそういうと、ハルは嬉しそうに頷いた。



「そしたら、全員で入るにはさすがに人数が多いな。だから、グループに分けようか。最初に俺とジルとハルが入らせてもらうな。その後は順番を決めてほしいんだが、女子の側近、俺の側近、ジルの側近、そしてアイザックはどうする?」と、俺は側近たちに話を振ってみた。



すると、まずはアイザックが手を上げた。



「俺は、アースたちの側近とご一緒しますね。まだ、先程の続きを話したいので。それから、俺たちは最後でいいです。少しやりたいことがあるので。」



俺がほかの側近たちの方を見て確認すると、全員頷いた。

やりたいこととは、いったい何だろうか? まあ側近同士、色々あるよな。



「わかった。それじゃあ、レディーファーストということで女性側近組が二番目ということでいいかな?」


「そうさせてもらおうかな。」

「はい、お願いします。」


と、ミラルとミントが頷いた。






「わかった。それじゃあ、先程の続きでハンバーガーの代わりに、風呂の新しい楽しみかたを披露しようかな。ローウェル、あれの準備を頼む。」



俺がそういうと、



「キースが大好きな、あれですね?」


と、ローウェルがキースを見ながら、言った。





「おい! ローウェル、黙れ。」






「キースが大好きなあれってなんだよ、アース」と、ジルが興味津々そうに聞いてきた。




「それは、入ってからのお楽しみだ。それからデザートも今から準備するな、こちらも新作だ。ミラル、ミント、手伝いをお願いしてもいいか?」



俺が二人にそう聞くと、二人は笑顔でうなずいてくれた。










ーー















強力粉と砂糖とはちみつと、みりんがないからお酒で代用しようか。ザラメがないのが残念だよな……。あとは卵に牛乳と……。


後はこれらを混ぜ合わせて、オーブンで焼くだけだな。




俺の準備があらかた終わると、タイミングよくローウェルが現れた。



「主、風呂の用意ができました。はい、これが回復入浴剤です。」


と、俺は入浴剤を受け取った。




「ミラル、ミント。十五分くらいしたら一度オーブンから取り出してくれ。そしてオーブンの温度を少し下げ、再び四十分くらい焼いてくれ。できたら、側近たちで先に食べていてもいいからな。」



俺は二人にそう言い残すと、風呂へと向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ