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4


「後期開始初日から、最悪な気分だな。」


と、俺は自室に着くなり、つぶやいてしまった。





「全くだな、なんだあいつらは? いや、弟がムカつくな。兄の方は、まだましだったことが唯一のすくいだよな」と、ジルも項垂れた。




確かにそうだよな。研究会への勧誘はしてきたが、その後はしっかり身を引いていた。それに、口調も丁寧だったし、これからは絡んでこないだろう、多分。


それよりジーマンのやつ、もう一回謹慎にでもしてやりたいな?




「はー、魔法ぶっぱなしたいな。今から、訓練場の申請をしに行くか? それとも、屋敷に帰ろうか? あ、そうだ。魔女の森で……。」



あ、やばい。




「おい、今魔女の森って言ったか? そこで、何をしたいといった? お前、魔女の森が氷漬けになっていた件に、何か心当たりはあるか?」と、ジルに詰められた。



しくったな……。つい、言葉に出してしまった。



「……ありません。」



……。



俺が知らんふりをすると、ジルがジト目でこちらを見てきた。




「主、今のは主の失態です。素直に認めてください。」

「そうだな、今のはお前が悪いな。」



と、ローウェルとキースが肩をすくめて言ってきた。



「おい、お前ら少し黙って……。」


「アース、今言えば黙っててやる。」



やばい、ジルが笑っている。これは、ガチギレされる前に、素直に白状した方が良いな……。



「……。サーカス様たちとのお茶会の後に、怒りが我慢できなくて、魔女の森で氷の上級魔法を放ちました。」



そういうと、ジルは大きなため息を吐いた。




「はーーーーー、やはりお前か。あれだけの威力と規模だ、お前以外には考えられないと思っていたが、まさか本当にアースだったとは……。」



すると、ウォーザットが前に出てきた。


「殿下、報告は致しますか?」


「おい、ウォーザット! ジルは、今言えば黙ってやるって言っただろ?」



「そ、それは……。」



俺の主張が通ったのか、ジルは肩をすくめた。そうだよな、これは情状酌量の余地があるはずだ。



「わかった、ここだけの話にしよう。ただ、次にやったら、わかってるな?」



「……はい。」




俺がジルに怒られている姿を見て、笑い出した二人がいた。



ぶははははははははははははははははははははははは!!






「おい、ハル、アイザック! なに笑ってるんだよ!」



「いや、アースは冬休み中にも愉快なことをしているものだと思ってな。なあ、アイザック?」



「そうですね、主。どこにいても、にぎやかな人ですね。」




「……夕食の用意をするから、その辺に座ってろよ」と、俺が言うと、各自休む準備を始めた。



「ああ、悪い悪い。それじゃあ、そこのテーブルでジルと話していようかな。なあ、ジル?」


「ああ、いいぞ。アース、リバーシを貸してくれ。」


王子組は、二人で時間をつぶすようだ。俺は二人にリバーシを貸した。






「じゃあ、俺はアース様の情報部隊を借りますね。俺の能力について、宿題を出していましたからね。俺が聞いて差し上げますよ?」と、アイザックは挑発的な笑みを浮かべていった。




ああ、そういえばそうだったな。アイザックの属性風で、どのように俺たちに気づかれずに情報収集を行っていたのか、ということをローウェルとアスタが見極めるというくだりがあったな。


たしか、俺たちで一応の答えは出ていたはずだ。風による遮音空間や、遠くの声を拾うという能力だったな。





「望むところだ、側近部屋に来い。」

「そうですね、その軽口をたたけなくしてあげますよ。」



と、ローウェルとアスタが受けてたった。




「楽しみですね」と、再びアイザックが不敵に笑った。




側近同士も、仲が良くてよろしいな。





「じゃあ、ミラルは俺の手伝いをしてくれ。あとは……。」




確か、ジルがミントとも話しをしてほしいと言っていたよな。ミントはジルの側仕えだ。確か軽いお菓子を作っているという話だったから、料理にも興味があるかもしれないな。



よし、誘ってみよう。



「ミント、俺たちと一緒に料理をするか?」



俺がミントに話しかけると、ミントは肩をびくっと振るわせてジルのほうを見た。




「ミント、いい機会だ。他のみんなとも打ち解けた方が良い。それに、前からアースに料理を習いたいと言っていたではないか。」



すると、ミントは顔を紅潮させた。



「で、殿下、そのことは言わないでください……。」



「ああ、すまない。だが、せっかくアースが誘ってくれたんだ。やってみるといい。」




すると、ジルの言葉受けて、ミントは俺たちに向き直った。



「……は、はい。アース様、ミラル様、よろしくお願いします。」



何だ、前から俺たちには興味があったのか。料理仲間として、これから仲良くしていきたいな。










――








俺たちは三人で、キッチンへと移動した。



「それでアース、今日は何をつくるの?」




今日は人数が多いし、スープカレーは外せないな。それから、キースにも評判の良かったハンバーガーを試してみようかな。


あとはそうだな、野菜か。野菜炒めを、付け合わせに出そうか。そして……、ハンバーガーと言ったら、フライドポテトだよな。




「今日はスープカレーとハンバーガー、そして野菜炒めにフライドポテトだな。」



「スープカレーと野菜炒めはわかるけど、他の二つは聞いたことがないね。」



「ミラルも食べてみてからのお楽しみだな。スープカレーは、一人でも作れそうか?」


俺がそう聞くと、ミラルは少し考えた後に、頷いた。


「アースがスパイスをすでに配分してくれているからね、後は混ぜるだけだよ。野菜炒めも私がやるよ、味付けは頼んでもいい?」



「わかった。じゃあ、ミントは俺のサポートな。」



「は、はい。よろしくお願いします。」







「じゃあ、まずは玉ねぎとひき肉を捏ねようか。ミント、やってみてくれ。」



「はい。こ、こんな感じですか?」と言いながらも、ミントは慣れた手つきで作業をしていた。


やはり、料理に慣れているようだな。



「うん、うまいぞ。どこかで、やったことがあるのか?」



「い、いえ。お菓子作りで、生地を捏ねたことがあるくらいです……。」



「そうか、いい手際だな。」



俺がそういうと、ミントは笑った。


よく見ると、かわいいな。小動物みたいだ。なんというか……、妹にしたい。











――









「よし大体捏ね終わったな。この後は俺が焼くから、ミントはジャガイモをこんな感じに切ってくれるか?」



「はい、わかりました! アース様とのお料理は、楽しいですね。」



お、最初は会話がたどたどしかったが、慣れてくれたのかな?



「そういってもらえると嬉しいよ。ミントも料理が好きそうだよな、料理部に入っているのか?」



俺がそう聞くと、ミントは目を泳がせながら頷いた。



「え、ええ。入ってはいますけど、あそこはその……、料理よりも女子生徒同士の会話がメインですので、少し居づらいですね……。」



あーなるほど。女の園というわけか。女子トークがマシンガンのように繰り広げられているのだろうな。入らなくてよかった。


それにしても、超絶人見知りのミントにはその空間はきついんじゃないだろうか?




「ミント、ジルたちがここに食事に来るときに、一緒に料理をするか? そうすれば、ジルにもおいしい料理を提供することができるぞ?」




俺がそういうと、ミントは顔をほころばせて笑った。



「アース様がよろしければ、是非お願いしたいです!」




人見知りなだけで、話すと普通の女の子だな。











よし、ハンバーグが焼けたな。あとはこれとレタスをパンにはさんで、特製ソースをかけて出来上がりだな。あとはジャガイモを、揚げるだけだな……。




俺が油を準備していると、ハルとジルに呼ばれた。




「なんだよ、お腹がすいたから早くしろとかじゃないだろうな?」



「そんなわけないだろ!」



「すまん、冗談だよ。それで、どうした?」




俺がそういうと、ジルが耳打ちをしてきた。


「ピアスのことや例の母子については、側近たちの前では話さない方が良いと思ってな。だから、夜に俺ら三人だけで集まろうということになったんだよ。」




なるほどな、賢明な判断だな。話す人数は最小限の方が、側近たちの身を守ることにもつながるからな。




「それはいいが、門限はどうするんだ? 夜になると、寮から出るための転移陣は閉まってしまうだろ? ジルは同じ寮内だからいいけど、ハルはどうするんだよ?」と、俺はハルに確認してみた。



寮から夜遅くに生徒が外出するのを防ぐために、八時以降は転移陣が閉まってしまうのだ。




「俺は、この部屋に泊まる。」



「は? ベッドがないんだぞ? 」



「俺は床でも構わないぞ?」



何を言いているのだ、この皇子様は?


「お前はアホか? 皇子を床に寝させられるわけがないだろ! ジル、客室の使用許可を寮監からとってきてくれ。幸い、明日からは休日だしな。」



「その方が良いな。まったく、何が床で寝るだよ。」


「本当にな、こっちの身にもなってほしい。」



俺たちがそういうと、ハルは項垂れた。


「俺にアホなんて言うやつ、お前らくらいしか……。」


「「事実だ。」」




「くっ……。」



俺たちがそういうと、ハルはそっぽを向いてしまった。




「じゃあ、風呂に入ったら、俺の部屋に集合でいいか? 」


と、俺たちがこの後の段取りを確認していると、ハルが周囲を見渡してから、質問をしてきた。



「アースの部屋って、あそこのドアの向こうか?」



いじけていたハルが、急に元気になった。何だ?



「ああ、そうだが何だよ、急に。」



「いや、何か面白いものがあるのかなと思ってさ」と、ハルは不敵に笑った。


「面白いもの? 家具くらいしかないぞ。変なものなんて何も……。おい、何考えてんだよ!」





そうだ。この世界にも少しだが、そっち系の書物があるのだ。それを探し当てたいと、ハルは言っているのか。


ただ残念ながら、まだ十歳の少年には必要のないものだ。俺は、十歳だからな!! まだ子供なんだぞ!!




「別に、何も言ってないだろ? 」



そういうと、こちらを挑発的な目で見てきた。くそっ、さっきの仕返しのつもりだな……。




「もう用が済んだんなら、俺は料理に戻るからな。」




ちょっと、怒ったからな?


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!」



と思いましたら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします!



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何卒、よろしくお願いいたしします。

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