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今日は木の日である。
学園は、明日から始まるので、後期最初の授業は魔法実技Ⅰである。
久しぶりの寮だ。掃除の依頼をしていないから、少し埃っぽいな。よし、最初に掃除をするか。俺は、台所の掃除をしようかな。
皆との分担の結果、ローウェルが風呂場、キースが側近部屋、アスタが俺の部屋、ミラルがリビング兼俺の手伝いとなった。
ーー
「よし、大体いい感じだな。時間も時間だし、夕食をとりながら明日からの打ち合わせをしようか。明日は金の日だから、魔法実技の授業からだな。それでさ、皆に相談があるんだが……」と、俺は学園に来る前に決めていたことを話しだした。
「どうしたんですか、主?」
俺は、後期から空間属性持ちであることを開示しようと思っていた。魔力引出の練習は、先生の監督がなければできないからだ。それに……、隠すのはもう無理な気がしている。聖王国の連中とかが、いつ騒ぎ出してもおかしくはないからな。突然俺が、空間属性を使ったら、パニックになるかもしれない。それに、反空間結界の使用を牽制できるかもしれない。
いろいろなことを考えた結果、開示した方がメリットが大きいと判断した。それに、隠すのはつらいしな。
「俺が空間属性持ちであることを、開示しようと思うんだ。」
……。
しばらくの沈黙が流れた。
側近たちも色々と考えているのだろう。もしかして、反対されたりとかするのか?
すると、キースが話し出した。
「俺は、いいと思うな。」
よかった、キースは賛成か。それから、側近たちが続々と意見話言い始めた。
『私もいいと思うよ。殿下たちには気づかれていたし、皆にばれるのも時間の問題だったと思うしね。』
『俺も賛成ですね、主。反空間結界を張られたときに、公的に主張することができますし、それが主の命を守ることにもつながると思います。』
『自分も賛成です。もちろん空間属性ということが分かれば、面倒ごとも増えるでしょう。しかし、今のアース様には殿下方や先生、ご友人などの味方がたくさんいます。それに、隠し続けるのは辛いことですから。』
……、俺が思っていたことまで考えていてくれたんだな。
本当に、いい側近たちだ。
「皆ありがとう。」
「いえ、主のためですから。それで、明日の魔導士クラスで開示するんですか?」
「いや、明日は後期開始の初日ということで、いろいろとバタバタするだろうから、来週の金の日に開示しようと思う。」
俺がそういうと、皆が賛成と言いながら、頷いた。
「俺もそれでいいと思いますよ。あとは、明日の部活動で殿下方にも相談しましょう。」
「あぁ、もちろんだ。俺の主と、友人だからな。」
よし、後は打ち合わせることはないよな……? 俺がそんなことを考えると、キースから目の覚めるような発言があった。
「そういえば、あいつ、謹慎が明けるだろ? 」
謹慎のあいつ……。あ、俺は今まで、忘れていたのか? あんな厄介なやつを……。今まで会わなかったから、平和ボケしていたらしい。
「そ、そうだな……。ジーマン殿下の謹慎は、前期までだからな。再会は……す、るだろうな。」と、俺は何とか繕った。
「そうですね。また何か、仕掛けてくるかもしれませんね。」
「そうだろうね。それに、第一王子の方も不穏だしね。」
「そうですね。それに、前回の約束から、アース様のみが攻撃対象となってもおかしくはありませんね。」
たしかに、第一王子が動き出すかもしれない。それに、「俺への侮辱発言禁止」は約束には含まれていないからな。
「みんなの言うとおりだな、あの第二王子は頭がおかしい。何を仕掛けてくるかわからないから、充分に注意しよう。」
ーー
翌日、金の日である。
俺は側近たちに見送られながら、教室のドアを開いた。
『お久しぶりです、アース様。』
『おはようございます、アース様!』
俺に気づいて、一番に話しかけてくれたのは、シリル・グレートプレア殿下の側近のクリスとジョンだった。
「久しぶり、クリスにジョン。いい冬休みを過ごせたか?」
俺がそういうと、二人は一瞬戸惑った表情を浮かべたが、すぐにいつも通りの笑顔に戻った。
「……はい、充実していましたよ。」
「……楽しかったです!」
二人が度々見せる、この困惑の表情はいったいなんだろうな? まあ、王族の側近だから、冬休みは忙しくしていたかもしれないな。俺に気を使ってくれたのだろう。
俺がそんなことを考えていると、懐かしくそして、にぎやかな声が聞こえてきた。
『アース様、ごきげんよう!』
『アース様、お会いできなくて寂しかったですわ!』
『アース様、お弁当の用意をしてきましたわ!』
「まあ、アース様! お久しぶりですわね。……その、耳で虹色に輝いているものは何ですの!!」
例の女子四人組が押し寄せてきた。女性はやはり、気づくのが早いな。
「俺も気になっていました、それは何かのお守りですか?」と、ジョンも気になっていたみたいだな。
「ああ、これですか。これは俺が冬休み中に考案した、耳につけるアクセサリーのピアスというものです。冬休み中に、この虹色に輝く素材を手に入れる機会がありまして、アクセサリーにしたいと思いました。そして私や側近たちは騎士でもありますので、一番邪魔にならないアクセサリーを考えた結果が、このピアスというわけです」と、俺は用意していた答えを返した。
俺がそう話すと、クラス中の女子生徒から視線が集まった。まあ、女子は好きそうだな。一部の男子生徒も、こちらを見ているようだな。
「まあ、アース様が考案なさったのですか! それにしても、美しいですわ……。あの、よろしければ、どこで買うことができるのか教えていただけますでしょうか?」
やはり、来たな。
「そうですね、こちらは私が特許を申請したものですので、私の紹介制となっております。それに少し言いづらいのですが……これは、耳たぶにつけるアクセサリーです。ですので、耳に熱した針で、穴を開ける必要があります。それでもよろしいですか?」
そういうと、教室中から息をのむ声が聞こえた。
それはそうだよな、「熱した針で耳たぶに、穴を開ける」なんてパワーワード、生粋の貴族には衝撃だよな。実際は、痛いのは一瞬だけどな。
『そ、そうなのですね……。もう少し考えてからにしたいと思いますわ。』
『ええ、私も。』
『私も。』
『私もですわ。』
「アース様は、すごいですね。その……、忍耐強くて。」
「俺は、かっこいいと思いますよ!」
そんなに、引いた目で見なくたっていいじゃないか。痛いのは一瞬なんだぞ?
……そうか、イヤリングにすれば、耳に穴を開ける必要はないか。あとで、エリックに相談してみようかな。
――
それから、昼食は側近たちとも合流し、クリスとジョン、そして女子四人組と一緒に食べた。
側近たちもいるのだから、シリル殿下もどうかと誘ってはいるが、なかなかいい返事はもらえないでいる。
それに、娯楽同好会にも誘ったのだが、断られてしまった。シリル殿下って、俺たちと何となくだけど、一線を引いているよな。
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