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「その耳につけているものについて教えてくれよ!」と、ジルが前のめりになって聞いてきた。




ジルはピアスについて聞きたいのをぐっと我慢して、まじめな話をしてくれたんだな。





「これはピアスといってな、耳につけるアクセサリーだよ。帰りに、このピアスの特許を申請していくつもりだ。」



「耳につけるアクセサリーか……。騎士の邪魔にもならないし、かなりいいな。その素材はもしかして……ルーン石か?」



「そうだよ。これをジルに渡そうと思ってさ」といいながら、俺は、二つのルーン石を取り出した。


ルーン石は計十一個、陛下にいただいた。よって、俺と側近が使っても二個残る計算だ。もちろん、送る相手はジル以外に考えられないな。




「俺にか……。ルーン石ってことは、何か属性を付与しているんだよな?」



「そうだ、空間属性を付与している。使い方は……実際に見せた方が早いかな。ちょっと、待っててくれ」、俺はそういうと伝達石に魔力を流した。











(「ローウェル、ジルにルーン石の使い方を見せたいから、中に入ってきてくれるか?」)



(「了解です、主。」)






コンコン




「失礼します。来ましたよ、主」と、ローウェルがさっそうと現れた。



「おい! まるでアースが呼んだみたいな、口ぶりだな。まさか……」と、虹色に輝くピアスを見つめた。



「そのまさかだよ。一つ目のルーン石は伝達石といって、簡単に言えば頭の中で会話することができる。試してみようか。そっちの石を、持ってくれるか?」



「あ、あぁ……」と、ジルは言われるがままに、困惑しながらも伝達石を手に取った。


まぁ、最初は困惑するよな。





(「ジル、聞こえるか? 聞こえたら、伝えたい相手を今回は俺だな。俺を意識して、何か伝えてみてくれるか?」)



(「あぁ、聞こえるよ。これは……すごいな。情報という概念を、大きく変えるな。」)



(「そうだな。だから、普段はいつも通り口で会話して、緊急時や遠方にいるときは、この伝達石を使うことにしよう。そしてこれがあれば、お互いに危機が迫った時に、すぐに知らせることができるようになる。」)



(「あぁ、わかった。大事なこともすぐに連絡できるな。本当にすごい、ありがとう、アース。」)




(「どういたしまして。」)



俺がそういうと、伝達石での会話はやめて、普通の会話を再開した。




「じゃあ、次はもう一つの収納石だな。ローウェル、頼む。」




俺がそういうと、ローウェルは集中し始めた。


『取出 空遊』



ローウェルがそう詠唱すると、アイテムボックスから魔短刀が現れた。



「それは……、アースのアイテムボックスか?」と、目を見開いて聞いてきた。



「その通りだ。容量は俺の部屋くらいだな。そのほかは俺の能力と変わりがない。使い方は大丈夫そうか?」



俺がそう聞くと、「いつも見ているから、大丈夫だ」と、ジルは答えた。



「それじゃあ、それらはそのまま持ち歩くか? 収納石は必要な時に魔力を流せばいいが、伝達石の方はいつ連絡があるかわからないから、常に肌に触れさせておいた方が良いのだが……」と俺が言うと、キースは腑に落ちたようだった。



「なるほどな。それでアクセサリーにする必要があり、騎士の邪魔にならないピアスというわけか。」



俺はゆっくりと頷いた、ジルは本当に察しがいいな。



「そうだな……、俺もピアスがいい! 加工はお前がやってくれるのか? 」と、ジルが詰め寄ってきた。やはりジルも、ピアスにするよな。さぞや王族のジルには、ピアスが映えるだろうな。



「いや、俺の専属の職人がいるよ。ただ、耳に針で穴を開けるがいいか?」と、俺は挑戦的な笑みを浮かべて、ジルに聞いてみた。



「……痛いのか?」と、ジルが少しためらいを見せた。やはり、「耳に穴を開ける」というのは、なかなかのパワーワードのようだな。



「痛いが、それは一瞬だけよ。俺がすぐに、回復魔法をかけるからな。騎士ならば、十分に耐えられるらしいぞ」と、騎士組の情報を補足した。




「……わかった。それでお願いする。」



「了解。じゃあ、今すぐデザインを伝えて、早速加工してもらおうか。」



このままローウェルを先触れに出そうかな……? いや、母子のことが不安だな。万が一を考えて、騎士も付けた方が良いな。



(「全員集合だ。」)




俺がそういうと、キースたちが中に入ってきた。




「ジルのルーン石の加工をエリックにしてもらいたいから、騎士組は先にドーンロア工房に行って、事情を説明してくれるか?」と、俺が言うと全員が頷いた。



『大窓』

「じゃあ、頼むな。」


俺がそういうと、キースたちが窓からドーンロア工房へと向かっていった。




「ジル、先にデザインのイメージを考えておこうか。何か、イメージはあるか?」




「そうだな……、王家の家紋に使われている薔薇がいいな。それに薔薇は、お前の白薔薇姫にも、通じるものがあるしな。ただ、両方とも薔薇だと少し主張が激しいかな……」と、ジルが腕組みをした。




「だったら、花弁にしたらどうだ? 俺が白薔薇の世界で、降らせているようなやつな。」


「それはいいな! 一枚出してくれるか?」



俺は了解の意を示して、魔刀に魔力を流した。


『咲け 白薔薇姫』

『すべてを凍てつくし、止めろ 白薔薇の世界 一輪』



俺は、一輪の白薔薇を作り出し、キースに渡した。うん、いいピアスになりそうだな。


俺たちが白薔薇について話していると、キースから連絡がきた。



(「アース、いいぞ。エリックの作業部屋に直通で窓を出してくれ。」)


(「あぁ、わかった。)」



今度はエリックの作業部屋への直通の窓を開いても、エリックを驚かせることはないな……。



「ジル、準備できたから行こうか。護衛は俺が受け持つよ。」


俺がそういうと、ジルは楽しそうに頷いた。










ーー












「よう、エリック。昨日ぶり、一週間を待たずに再会したな。じゃあ、話は事前に聞いていると思うが、こちらがジルベルト殿下だ」と、俺は挨拶とジルの紹介を済ませた。



そして俺がジルを紹介すると、エリックが跪いた。



「お初にお目にかかります、エリック・ドーンロアと申します。この度は、お会いできて光栄です。」



「あぁ、こちらこそよろしく頼むな。アースたちのピアスは、本当に素晴らしい作品だな。俺のピアスも、よろしく頼むな。」






ジルがそういうと、エリックは少し自信なさげにうなずいた。王族相手だから緊張しているのかな? エリックの腕なら、問題ないと思うけどな……。


俺はその後、ジルにピアスのデザインのイメージをエリックに伝えるように促した。


「あぁ、わかった。エリック、俺はこの薔薇の花弁のようなイメージで頼む。両方ともな」と、ジルはエリックに白薔薇を差し出した。




「こ、これは……、白い薔薇の花弁でしょうか? 赤い薔薇以外にも、白い薔薇があるのですね。では、確かに承りました。納期は、前回よりも早くできると思います。そうですね……、三日後でどうでしょうか?と、エリックは気が付くと職人の顔になっていた。仕事の話になると、スイッチが入るタイプなのだろうか?



「あぁ、いいぞ。いいよな、アース?」



「うん、いいよ。その時に、ジルをまたここに連れてきて、耳に穴を開けようか」と、俺はジルの肩に手を置きながら微笑んだ。



「あ、あぁ。楽しみにしているよ……。」











ーー











エリックに別れを告げて、俺たちは再び、ジルの部屋へと帰ってきた。


俺は返ってきて早々に、双子たちに話があると言って、別室に来てもらった。



するといきなり、「なんだ、アース? お前から、勝負を申し込んでくるとは珍しいな」と、オーサックが嬉しそうに言ってきた。



「誰も勝負なんて、申し込んでいないだろ!」



「そうだよ、兄さん。それで、どうしたのアース?」と、ウォーザットが話を進めてくれた。ウォーザットには本当に感謝している。


……まったく、オーサックには困ったものだな。




「あぁ、お前らに魔刀を渡そうと思うんだ。これから、ジルを守るうえで必要になってくると思うんだ。」



俺がそういうと、二人はうれしそうに微笑んだ。




「そうか、俺はうれしいぞ! これで、強者とたくさん戦えるな!」


「俺もうれしいよ、これでみんなと同じステージに立って戦えるよ。それに、殿下を守る力が増えるのは大歓迎だよ。」




双子がそういう反応をするとは、想像できなかったが、喜んでくれて何よりだな。俺も、いつ渡そうかと、タイミングを掴めなくて困っていたんだ。




「そういってもらえると嬉しいよ。それで、名や能力はどうする? 自分で決めるか?」




「俺は、自分で決める」と、オーサックは即答した。



オーサックは、自分で決めると言いそうな気はしていたな。





それに対して、ウォーザットは少し悩んだそぶりを見せた。



「……、俺も自分で決めようかな。まだ、どんなイメージにするか決めていないし、それに、名や能力を考える時間も楽しそうだしね。」



「わかった、ウォーザットらしいな。じゃあ、これが魔刀だ。受け取ってくれ」といい、俺が魔刀を二人に手渡すと、二人は大事そうに、魔刀受け取ってくれた。



「そういえば、ジルたちは鞘をどうする? 俺たちは、ショーク様に、オーダーメイドの鞘を頼んだところなんだよ。来週できるらしい。」



「そのオーダーメイドって、魔刀と同じ素材か?」と、ジルが前のめりになって聞いてきた。



「あぁ、そうだよ。ほしいなら、ピアスを取りに行ったときに注文するか?」と俺が言うと、三人はぶんぶんと首を振った。




「わかった、用意しとくな。じゃあ、また三日後にな。」



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