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桃太郎・改  作者: ざるそば
2/6

2話


 桃から出てきた男の子は桃太郎と名付けられました。


「桃太郎っておい、もっと他になかったのか?」

「うるさい、赤子のくせによく喋るやつじゃの。」

「全くその通りだね。しかもやけに成長が速いの。まぁあたし的にはとっとと大きくなって働いてもらいたいよ。」

「なあ、俺の次に新しく桃から子どもが出てきたら桃次郎になるんだろうけどよ、例えば梨とか他のやつから子どもが出てきたらどうするんだ?梨だったら梨太郎なのか?それとも梨次郎なのか?」

「むぅ…。難しい話題じゃの。ばあさんや、どう考える?」

「あたしゃそんなことはどうでもいいね。これ以上人が増えてたまるかい!食料が足りなくなるよ。」

「たしかにそうじゃな!おい桃太郎、とっとと大きくなって働け。」

「…くっ、それが生後間もない子どもに言うことかよ。」


 そんなこんなで桃太郎は大きくなりました。


 ある日、村である騒ぎが起きました。


「おおーい!やべえぞ!鬼だ!鬼が出たぞー!」

「おいおいどうした村人A?朝からうるさいぞ」

「のんきにしてる場合じゃねぇ!鬼が来て俺たちの村で今年の年貢のために蓄えてたブツを根こそぎ持っていきやがったんだ!」

「なんだと!なんでこの村なんだよ!隣の村に行けよ!ってかお前!なんでブツを守らなかった!」

「す、すまねえ。向こうも何か喋りかけて来てたんだが、怖かったんだよ。あんな種族見るのは初めてで…。とりあえず喋りかけて来た鬼に土で目潰ししてそのまま包丁でぶっ刺してやったんだ。そしたら他の鬼達が襲い掛かって来てよ、俺だって命の方が大事だ。」

「…チッ、とりあえず村長のとこ行くぞ。」

「ああ、そうだな。」


 村での会議の末、村の若者で鬼退治をすることになりました。領主に協力してもらえるよう頼んではみましたが、全く相手にされず、年貢の減額も受理されませんでした。

 次の日、村の若者20人を集めた討伐隊が結成されました。働き手が少なくなるため村に若者がいなくなるのは大変ですが、背に腹は変えられません。もちろん桃太郎も討伐隊に加わっています。最初は渋っていましたが、おじいさんとおばあさんが鬼退治が成功したら名前を変えてもいいと言うと、素直に徴兵に従いました。


 今日は討伐隊が出発する日です。おばあさんは桃太郎にある包みを渡しました。


「これはきびだんごじゃ。腹が減ったら食うといい。」

「ああ、あのボソボソしてるやつか。これより米のおにぎりがいい。」

「米なんて高級品うちにはないよ。いらないなら置いていきな。」

「…ちっ、、持っていくよ。」

「早く帰ってくるんじゃぞ、ほれ、これをつけていきなさい。」


 そう言っておじいさんが渡したのは、「日本一」とかかれたはちまきと木刀でした。


「ダッサ!こんなのつけてたらいじめられるわ!あんたマジでセンス無いな!」

「ハッハッハ!その木刀の銘は『今日の聖剣エクスカリバー』じゃ。」

「今日のってなんだよ、子どもが山で拾ってくる手頃な棒じゃあるまいし。」

「金属製の刀なんて高級品うちにはないよ。」

「確かにそうだな。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なんだ、お前も木刀か。相変わらず貧乏だな村人A。」

「おお、桃太郎か、木刀以外の刀なんてうちじゃ買えねえよ。持ってるとしても村長のとこぐらいだろ。」

「いやでも周りをよく見てみろよ、みんなちゃんとした武器持ってるぞ。」

「げ!マジかよ。それにしても槍が多いな。」

「まあ槍なら金属の部分はちょっとだし刀より安いんじゃねーの?」

「いや、桃太郎、よく見たらあれ竹の棒の先に包丁つけてるだけだぞ。」

「ん?いやいやそんなわけあるかい…ってホンマや」


 と、いろいろあったが桃太郎達討伐隊は出発しました。見送りはありませんでした。


「見送りなんてしてる暇あったら内職でちょっとでも稼がなにゃらん」

「それにしても、そんなに名前が嫌じゃったのかのう…」

「まあ、あたし達で考えると腹から産まれた腹太郎みたいな感じだし、嫌だったんじゃないのかい?あたしゃ嫌じゃよ。」

「ハッハッハ!腹太郎か!わしも嫌じゃ!」


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