第二十八話 暴れる最強プレイヤー(俺とは言っていない)
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システムメッセージ:『血の謝肉祭 09/05 22:00 ~ 09/06 4:00』
現時刻 09/05 23:20
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市街でのPVPはイクリプス・オンラインの華だ。アランダシル、ウルト、イース、フリートラント。どの街でも数え切れないくらいやってきた。ダンジョンと違って自由に移動できるし、遮蔽物や高低差も利用しやすい。ゆえにレベルやステータスよりPVPの技量や練度がモノを言う。実を言えば俺の一番の得意分野はこうした市街戦だった。
相手はヤギヌマの一派。最初は四人だったがすぐにわらわらと増えた。そいつらに追いかけられながら、モンスターとプレイヤーの入り乱れる街を駆け抜ける。
人数差がある市街戦のセオリーは逃げ回ること。正確には逃げるふりをすることだ。
逃げれば当然敵は追ってくる。だがその速度には個人差がある。ゆえにいい感じにバラけたところで足を止めて応戦し、敵の数がまとまってきたら、また逃げる。これを繰り返すのだ。
ちなみにこのセオリーは某明治の人斬り漫画で学んだことだ。ありがとう、人斬り。ゲームでも使えたぞ、そのテク。
「おいおい、どうした! 雑魚しかいねえな! もっと頑張れよ!」
声を張り上げ振り返り、追いかけてきた黒の一人を投石器で放った石で沈める。さいわい相手には《蘇生魔法》を使えるレベルの司祭系はいなかったので、蘇生待ち時間中に起こされることはない。蘇生アイテムは持ってるだろうが、あんな高価なものを使ってやるほどの間柄ではないらしい。
俺は意識をして派手に立ち回っていた。これまで直接的なPKは避けてきたが、この期に及んで贅沢は言っていられない。ミューがヤられた借りもある。倒せるやつはどんどんPKしていった。それでそいつの<罪貨>が減ろうが俺の知ったことではないし、それが遠因でそいつがロストしようがもう気にしない。
もっとも<罪貨>なしで俺に突っかかってくる奴はいなかったが。
「さっきからやる気あんのか? こっちはまだピンピンしてるぞ」
煽りながらまた一人を短剣でとどめを刺して、地面に転がす。これで二十人目くらいだ。これだけの人数差がありながら対等以上に渡り合えているのはPVPの技量差もあるが、八蛇でのレベルアップが大きい。この日にこうなるように長いこと準備してきたかいがあったというものだ。
「たった一人にいつまで手こずってやがる! とっととヤっちまえ!」
後方に控えて指揮をしているヤギヌマが苛立ちを隠せぬ顔で怒号を上げた。先ほどからコイツは律儀に追いかけてくる癖に手は出してこない。コイツも高額賞金首であるので、他の白に狙われるのを警戒しているのかもしれない。
「無駄無駄、素人女子高生一人倒すのに一時間かかった連中が俺に勝てるかよ」
煽るために引き合いには出したが、実際ミューはこいつら相手によく持ったものだと内心では感心していた。逃げ回るのに適した耐久型のジョブなのもあるが、やはり俺が鍛えた成果が出たのだろう。
俺の煽りを聞いているのかいないのか、ヤギヌマは血走った目を俺に向けながら、独り言ちていた。
「テメェ……テメェさえいなくなりゃオレは……」
前にも似たようなことを聞いた覚えがあった。{青の同盟の地下迷宮}で戦った時のことだ。いや、正確にはあんときに聞いたのは『テメェさえいなけりゃ』だったか。
いずれにせよ続く言葉は想像できない。周囲にいた黒の連中を一通り片付け終えたタイミングで足を止め、思い切ってたずねてみた。
「なぁそろそろマジで教えてくれよ。なんで俺をそんな恨んでんだ? 本気で心当たりねえんだが」
「テメェ! ガチで覚えてねえのか!?」
「ああ、まったく」
煽るわけではないのでは真顔で頷く。
ヤギヌマは恥辱にまみれた顔で肩を震わせた。が、やがて大きく息を吐き、どうにか余裕を取り戻した。やはり大幅有利のこの状況が作用したのだろう。
「いいぜ、冥土の土産に教えてやる。……テメェとオレの因縁が始まったのはイクオンがサービス開始してすぐの頃だ」
「あーん? そんな初期に会ってたか? 俺、最初期は黒のコミュニティにゃ顔出してねーぞ」
「会ったのはダンジョンでだ! テメェはあんときアイツと――あのクソレンカと一緒にいやがったんだ! そして二人でオレを卑劣な罠にハメやがった!」
「確かにその頃アイツとつるんでたが……卑劣な罠ってのは?」
「レンカを餌に俺を奇襲しやがったじゃねえか!」
「……あー! あんときの黒、お前だったのかよ!」
シチュエーションは思い出した。本当の意味での最初期、サービス開始から数日目。あるダンジョンで黒に襲われていたレンカを横から助けたことがあった。あの時の黒がコイツだったのだ。だがあの時コイツの名前なんて見てもいなかったので、記憶にないのも当然である。
「ありゃ罠でもなんでもねーよ。俺とレンカもあんときが初対面だったからな。本当にたまたまあそこに通りがかって助けただけだ」
「信じられるか!」
「別に信じてくれなくていいけど。しっかし長年の謎が解けてすっきりしたぜ。どうりで俺を目の敵にするわけだ」
「オレの恨みはそれだけじゃねえ! テメェはオレの手柄をすべて横取りしやがった!」
「はぁ?」
「テメェさえいなけりゃイクオン最悪の黒はオレになるはずだった! 最悪犯罪者の称号もオレの物のはずだった!」
ヤギヌマはますますヒートアップしていた。先ほどの件よりむしろ、こちらの方が本題だとでもいうふうに。
「ユーザー主催イベントの荒らしも! 掲示板の荒らしも! オレが何をしようがすべてテメェの手柄になった! どうしてだ! テメェよりオレの方が悪なはずだ! なのにどうしてテメェが最悪犯罪者なんて呼ばれる!?」
「……なーるほどな」
完全な逆恨みだが、理屈は分かる。俺の方はコイツの悪事の濡れ衣を着せられて迷惑していたのだが、そういう理屈ならほんの少しは同情しないでもない。
「お前、ハルハに言われてアランダシルの路上で寝てる連中に爆破テロしたろ。あれの黒幕が俺ってことになってんの、ハルハが流したデマのせいだぞ」
ヤギヌマがきょとんとした顔で固まる。
「あと、そう。さっき大量の賞金が俺に掛けられたのをシステムメッセージで見たと思うが、あれもハルハが信者どもにやらせたことだぜ。おかげで賞金ランキング1位から落ちちまったな、お前。この世界でもやっぱ一位になれねえんだな」
「……ケッ! あのメスガキのことは今はいいさ。利用し終えたらぶっ殺してやるつもりだからな」
「それ、あっちもおんなじこと思ってるぞ」
一応言ってはみたが、ヤギヌマは聞く耳を持たなかった。一人で更にヒートアップして人差し指を突き付けてくる。
「オレはここでテメェを殺し! “大賢者の請願”で圧倒的な力を手に入れるんだ! そんでオレを舐めやがった連中全員を見返してやる! あの気に喰わねえメスガキと手を組んだのもそれだけのためだ!」
「お前ら、マジでおんなじことしか考えてねえのな」
なんだか呆れてしまう。
言いたいことを言いきったのかヤギヌマは肩で息をしていたが、そのうちほくそ笑みを浮かべた。
「くくく。オレがわざわざ話に付き合ってやった理由が分かるか?」
「増援が来るまでの時間稼ぎだろ? ……いや、ガチでハルハと同じことしか考えてねえのな。もう結婚しちまえよ、お前ら」
俺たちが向かい合っていたのは目抜き通り。その左右の建物を見上げながら嘆息をつく。左右それぞれ十人ほどの黒の姿が屋根の上に現れており、俺のことをニタニタ顔で見下ろしていた。俺に一度倒されたやつらが暗黒街の教会で蘇生して戻ってきたのだろう。まとまった数になってから戻ってこいとヤギヌマから指示を受けていたわけだ。
明治人斬りセオリーで各個撃破されたことへの対抗策、なのだろうが。
「お前の一派ってイクオンを終盤まで続けてた奴はすくねえんだな、やっぱ」
「は?」
「これも市街でのPVPのセオリーだぜ。……基本は固まらないこと」
「一網打尽にされるからね」
最後のセリフは左手の屋根にいる連中の、そのまた向こうから降ってきた。
十名の黒が驚いた顔で振り向く。その瞬間、2トントラックが正面衝突したような物凄い音が大気を震わせた。
なすすべもなく吹っ飛ばされ、俺のいる通りにボトボトと落ちてくる黒たち。その大半はすでに蘇生待ち状態だったが、まだ息のある奴も何人かいたので、すぐさま石を投げてトドメを刺した。
今のはシールドバッシュ系の奥義【闘爆陣】だ。大盾に集めた闘気を爆発させる大技だが、こんなきれいに決まることは滅多にない。
その使用者が屋根から飛び降り、俺の隣に着地した。相変わらずムカツクくらいのさわやかな笑顔を浮かべたあの男である。
「やぁヤギヌマ。こっちの世界じゃ初めましてだね。その無精ひげなんとかしたら? みっともないよ」
「ゾン! ……テメェ!」
ヤギヌマは俺に対するのに勝るとも劣らない憎悪を込めてゾンを睨みつけた。
実は先ほどヴィブティからのメッセージを確認した時、もう一件新着があることに気づいたのだ。件名しか見なかったが、ゾンがミューの救援に動いてくれたのはそれだけで分かった。コイツにはキリングゴーレム狩りの件を話したことがあったので、空に打ち上げられた《魔導撃》があのJKのSOSであると察してくれたわけだ。
なので俺はわざわざ派手に立ち回ったり無駄話をヤギヌマに振って、コイツが来るのを待っていた。結局俺も毎回同じ手を使ってるなと苦笑いが出るが、実際有効なのだから仕方がない。
ゾンは青白い魔力を帯びた幅広の剣を肩に担ぐと、横目を向けてきた。
「ミューちゃんは?」
「ヤられちまった。ロストはさせずに済んだがな」
「そっか。じゃあ落とし前はつけてもらわないとね。前に『ディスクアウト』のメンバーがやられた借りも返さなくちゃだし」
冗談めかしてはいるが、ゾンの声には割とはっきりした怒気が含まれている。
ヤギヌマは残った右手の屋根にいる連中に向けて声を張り上げた。
「囲め! 逃がすな!」
「逃がす? そりゃこっちのセリフだね。どっちが狩る側か分からないのかい?」
ゾンは余裕の笑みを浮かべて大盾と幅広の剣を構える。屋根から飛び降りてきた黒どもが前に五人、後ろに五人着地した。俺とゾンは背中合わせになって互いの死角をカバーしながらそれを迎え撃った。
たった一人の加勢であるが、戦況に与えた影響は甚大だった。
全身鎧を着こんで大盾を構えたゾンは圧倒的な安定感でまったく危なげなく敵を一人ずつ処理していく。ワールドトップクラスのステータスに対人評価SSの技量。攻撃力はレンカやハルハに劣るだろうが、こういう乱戦では間違いなく最強のプレイヤーだ。そいつに背中を守ってもらえれば俺の方も楽に戦える。
もはや相手が何人いようと負ける気がしなかった。
「クソがッ!」
ヤギヌマが苦し紛れに短剣を投げてきたりもしたが、ゾンはやすやすと大盾ではじいた。ヤギヌマのビルドは致命の一撃特化。一方ゾンはそういうのにはめっぽう強いガン盾だ。
「お前、ヨッちゃんはおろか僕にも一度も勝てたことないだろ? そんなんでよくまぁ最悪犯罪者なんて目指す気になれたね」
「テメェ、さっきの話聞いてやがったな!?」
「なんか負け組の底辺中年が聞いてもない自語りしてて面白かったからね。ヨッちゃんには悪いけど、出てくるのを遅らせてもらったよ」
本当はまとまった増援が来るのを見越して、それを一網打尽にするために待っていたのだろう。が、そこをツッコんでゾンの煽りの腰を折る気はない。
「いやぁリアルじゃまったく付き合いのない層だからびっくりしたよ。本当にいるんだな、こういう最底辺ってね。
お前、ヨッちゃんに対して悪名がどうのとか言ってたけど、それはお前の本心じゃないだろ? お前が本当に羨んでいるのは悪名じゃなくて人望の方だ。いくら悪評が流れても必ず周囲に人が集まるヨッちゃんの人望にお前は嫉妬してるんだよ。
でも自分じゃそういう人望は得られないと理解しているからそこから目を背けて、ヨッちゃんの悪名さえ上回れば世間が自分を見てくれると思い込んだわけだ。一種の自己防衛機制ってやつだ。みじめだね」
「うるせえ! 知ったような口聞きやがって!」
「知ってるさ。お前も薄々自覚はあるんだろ? お前の取り巻きはお前に利用価値があるから近くにいるだけだ。お前自身の人格を評価しているやつなんて一人もいないよ。
ああ、大賢者への請願で力を手に入れてすべてを見返すみたいなこと言ってたけど、それも無駄だよ。そんなもので従えた連中はお前のその劣等感を癒してはくれないからね」
レスバつっよ。
ヤギヌマは顔を真っ赤にしてブルブル震えているが、反論の言葉もないらしい。……ということはおおむね図星ということなのだろうか。
同じ負け組底辺中年として少なからずヤギヌマへの同情を覚えてしまう。いや、俺はまだ二十代なのであいつみたいに中年ではないが。
「おい、なんか俺まで恥ずかしいからやめてくれゾン。お前の俺評が正しいとも思えんぞ」
「ヨッちゃんはヨッちゃんで自己肯定感が低すぎなんだよなぁ。ま、いいけど」
そんな雑談をしてられるくらいにはこちらには余裕があった。
やがて他の全員が片付き、残すはヤギヌマのみに。
自分の庭でも散歩するみたいな気軽な様子でゾンが進み出る。
「さて、僕はヨッちゃんほど優しくはない。お前を殺すのにも抵抗はないよ」
「舐めんな!」
半狂乱のヤギヌマが石畳に転がしたのは<(R)発煙筒>。そこから煙が噴き出し、通りを満たす。
が、そんなもので狼狽えるような俺たちではない。
即座に《大気炸裂》の魔術を発動させ、煙を晴らす。同時に突撃していたゾンが逃げるヤギヌマの背中に一撃を加えた。
さすがに一撃死はしない。が、大ダメージを受けてヤギヌマはよろけた。
その隙に距離を詰めて、俺はヤギヌマの肩のあたりにタッチした。
「ああ、この技もお前使えなかったよな。……ひょっとしてこれもコンプレックスだったか?」
【窃盗】。俺の数少ない特技の一つ“目押し”でヤギヌマから目当てのアイテムを奪う。ちょうどさっきこいつが掲げていた、ミューから盗ったネックレスだ。
「ゾン、トドメは刺すなよ。このまま【窃盗】で<罪貨>も全部盗ってロストさせる」
「分かった」
ヤギヌマが青ざめる。MMORPG時代に同じ手口で俺にロストさせられたトラウマが蘇ったのだろうが――。
「おや?」
「あ、やべ」
俺とゾンはとっさにその場を離れ、通りの脇の細い路地へと飛び込んだ。
ヤギヌマはそんな俺たちの行動を理解できなかったらしく、頭上に疑問符を浮かべて立ち尽くした。
その背後には大規模な空間の歪みが生じていた。そこから現れたのは銀色の毛並みを持つ狼。1時間前に現れた機械蜘蛛よりかはいくらか小ぶりだが、それでもこの目抜き通りで窮屈するサイズだ。
ようやく気付いたヤギヌマは背後を振り向き絶叫した。
もう遅い。機械狼が全身から超高電圧の放電を行い、通りのすべてを破壊しつくす。それに巻き込まれる形でヤギヌマは瞬殺された。
機械狼は息をひそめる俺やゾンには気づかず、跳躍して移動していった。
それを確認して路地から顔を出す。
「あっぶねー。そういや超巨大モンスターは一時間に一体ずつ追加だったな」
「うん。しかし悪運が強いね、ヤギヌマは」
ヤギヌマは通りに倒れ、蘇生待ち状態になっていた。どっちゃしろ死ぬ身ではあったが、【窃盗】の連打を喰らってロストするのは避けられた。
せっかくなのでゾンと二人で強奪を行い、ミューが盗られたと思われるアイテムを取り返す。あとまぁついでに<罪貨>もいくらか盗った。ゾンと二人掛かりでもロストはさせられないからあまり意味はないが。
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[ヤギヌマ]:『覚えておけ! いつか必ず! テメェらもぶっ殺してやる!』
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蘇生待機ゲージが消える寸前、そんな負け犬の遠吠え的なチャットが表示された。
「できもしねえことを吼えてんじゃねえよ。……あ、忘れてた。これはミューの分な」
言いながらヤギヌマの頭を靴で踏みつける。直後ヤギヌマの死体は掻き消えた。暗黒街のどこかの教会に転送されたのだろう。
「いつか必ず、ってこたぁ今夜は諦めるってことか?」
「ま、あんだけコテンパンにやられたらね。そんな根性のある奴じゃないし」
話しながらゾンがメニュー画面を出してメッセージを確認していたので、俺も同じく確認する。しかし新着はない。便りがないのは良い便り、ともいえる。
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[ヨシヤ]:『二人でどこかに隠れておいてくれ。俺と合流しようとする必要はない』
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CTがあけていたのでヴィブティの方にメッセージを送った。あの狐JKは頼りになる。ひとまずはミューを任せておいていい。
「僕はギルドが作った安全地帯へ行くよ。さっきの狼がそっちに向かったからね」
「オッケー。助けに来てくれてサンキューな」
「いいってことさ。八蛇の借りもあったしね」
握りこぶしを作ってゾンの方に向ける。ゾンは握りこぶしを合わせることで応えた。仲間の挨拶であるハンドシェイクだ。
「ヨッちゃんはどうする?」
「引き続き大暴れしてやるさ。そうすりゃ俺たちを的にしてる連中は全員、俺のところに来るだろ」
「はは、確かにそれが一番あの二人の安全度を上げる方法かもね」
ゾンが口角を上げる。
「なんだかひさびさに昔のヨッちゃんみたいだ」
「かもな」
いつの間にか通りの周辺にはまた幾人かの黒が現れており、俺たちの様子をうかがっていた。賞金目当てであろう白も何人かいる。モンスターも相変わらず湧き続けており、戦う相手には事欠かない。
ゾンが去る。一人になった俺にじわりじわりと敵の包囲網が迫る。
日付はすでに変わっていた。イベントの終わりである夜明けまではあと4時間弱。
そんな長丁場のPVPはゲーム時代にもやった覚えがなかったが――今の俺ならやれる気がしていた。
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【ゾン】
LV:54
クラス:[聖騎士]
HP:705
MP:172
筋力:110
知力:38
器用:50
敏捷:35
意志:40
幸運:35
【鍛冶LV12】【精錬LV9】【採掘LV7】【金属加工LV6】【木材加工LV6】
武器:<(LEGEND)イースの聖剣>
足:<(SR)ミスリルグリーブ+7>
腰:<(SR)ミスリルフォールド+7>
胴:<(SSR)君主の鎧+5>
盾:<(SSR)祖霊の大盾+6>
頭:<(SR)聖騎士の兜+8>
装飾:<(LEGEND)高潔の証>
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