第九話 女子高生との日々(楽しくないとは言っていない)
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20XX/04/15
[システムメッセージ]:『218007/225109』
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パールスロート遺跡の最上階には外周をぐるりと巡る長い回廊がある。【ペーパークラフト】のスキルの訓練のために折り紙のバネを作りながら俺が一人でそこを歩いていると、前方の柱のそばで大型犬サイズの動物が一匹蹲っているのが見えた。美しい金色の毛並みをした齧歯類――この回廊にしか出現しないレアモンスター〔ゴールデンカピバラ〕である。
カピバラは俺に気がつくと、右へ左へ小刻みにフェイントをかけながら奥へと逃げていった。
その行く先を読んで投石器で石を放つ。
鈍い命中音。同時に『Critical! 282Damage!』と表示され、カピバラはもんどり打って倒れて霞のように消えた。
脳内に鳴り響くレベルアップのファンファーレ。
「よしよし、今のステアップはよかったな」
俺はぐっとガッツポーズをして、カピバラがいたところにドロップしたアイテムと金を回収した。
今ので俺のレベルは31。すでにこのダンジョンの推奨レベルを超えており、通常のレベリングには適さなくなっている。しかしこいつは大量経験値をくれるレアモンスター、いわゆるメタルうんたらのような存在だ。今倒しても充分に美味しい。
そのまま回廊を進んで一つ角を曲がる。すると今度は床で膝を抱えて体操座りしているミューの姿が見えた。遠目からでも分かるほど深い隈を作っており、何やらぶつぶつと呟いている。
「お風呂入りたいよう……お腹空いたよう……眠りたいよう……」
「なーに弱音吐いてんだ。さっき最後の携帯干し肉あげただろ」
そばまで歩いていくと、ミューは泣きそうな顔でこちらを見上げた。
「そろそろ上がらせてくださいよぉヨシヤさん。もう狩り始めて五十二時間ですよぉ」
「うーむ。ま、確かにそろそろ潮時ではある。しかしこんなチャンス滅多に訪れないからなぁ」
実は先ほど〔ゴールデンカピバラ〕に遭遇したのは偶然ではない。あれは俺たちが意図的に出現させたものなのだ。
この回廊には〔シルバーカピバラ〕というそれほど美味くはない準レアモンスターも湧く。これがゴールデンと共通の出現テーブルになっており、同時には一匹しか湧かない。これら二種の出現場所はこの長い回廊からランダムに選ばれたどこかで、出現タイミングはどちらかが討伐されてからちょうど一時間後。64分の63の確率でシルバーが、64分の1でゴールデンが出現するのだが、出現位置の近辺にプレイヤーがいるとそこには現れず、代わりに別の場所がランダムに選ばれてそちらに出現する。
その時なぜか必ず前回出現した種類の方が出るのである。
ようするにゴールデンを討伐した一時間後に出現予定位置に人がいると、再びこの回廊のどこかにゴールデンが出現するわけだ。これはイクオンをサービス終了までプレイしたプレイヤーの中でもごく一部しか知らない情報である。
一度その状況を作ることができれば非常に美味いのだが、あまりに再現難易度が高いためゲームであった頃は誰も試みようとはしなかった。それはこの世界でも同じであり、俺たちもこの狩りをするためにここへ来たわけではない。別の要件でこのダンジョンの屋上まで行く途中でたまたまゴールデンの方を見かけたので、一度だけ運試しにとやってみたらできてしまったのだ。
それで急遽耐久狩りを始めたというわけである。五十二時間の間ミューはここでただひたすら座り続け、俺は一時間に一回この回廊を回って〔ゴールデンカピバラ〕を倒していた。
この世界では食事をしなくても死なないし、排泄することもない。どういう理由でそうなってるのかは定かではないが、おかげでこのような長時間の狩りができた。どちらか片方でもダンジョンを出たらパーティが解除されてしまい、出た方には経験値が入らなくなるので物資の補給もできなかったのだ。
「うう……やっぱりヨシヤさんの狩りはハードすぎるよう……ついていけないよう……」
「俺と組むからには死なないようにビシバシ鍛えるから絶対に音を上げるなっつっただろうが」
「そうですけどぉ。いくらなんでもスパルタすぎますよぅ」
めそめそと泣き真似をするミュー。この世界ではなぜか涙は出るのだが、まだホントに泣いてはいないのであとニ、三時間は粘れそうではある。
とはいえ、ずっと座りっぱなしのミューは歩き回れる俺よりしんどかっただろうし、ここまで言われて続けるほど俺も鬼ではない。そろそろ経験値的にもそこまで美味くなくなってきたし。
「ま、帰るか」
ミューが座ってる位置に目印として折り鶴を一個置き、フレンドリストからゾンにメッセージを送る。
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[ヨシヤ]:『金カピ。5ch。折り鶴』
[ゾン]:『すぐいく』
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返信は秒で帰ってきた。以心伝心で助かる。あいつならこのゴールデンカピバラ湧きを有効活用してくれるだろう。
憔悴しきったミューを連れて遺跡の屋上へと出る。前にゾンと一緒に訪れたが、そこは見事な空中庭園となっており、ウルトの街への帰還用転移門がある。本来の要件である花の採取も忘れずに行った。
この現役女子高生と共に行動するのも慣れてきていた。必要なのはどうやら飴と鞭らしい。
「いや、うん、今回はよく頑張ってくれたと思うぜ。おかげで凄いレベル上がったし金もがっぽりだしな。街に帰ったら宿でゆっくり休んで、それから王立ホテルに美味いもん食い行こうや」
「そ、そうですね! そうしましょう!」
先ほどまでの不満げな表情から一転。ミューは無邪気な笑みを浮かべると小躍りしそうな様子で転移門へ入っていく。
この少女と二人だけのギルドを結成したのがおよそ一月前。
あの日から今日まで、まぁだいたいこんな感じの日々だった。
☆
「いやー王立ホテルのビュッフェ、最高通り越して至高! って感じでしたね、ヨシヤさん!」
「そうだな。喜んでいたたけて何よりだけどな。街中で大声で俺の名前言うのはやめてくんねぇかな。ここ表街だし、衛兵呼ばれると俺死ぬんだが」
少し先をご満悦の様子で歩いているミューはまるでこちらの話を聞いていなかった。
この辺もすでに慣れてきてはいた。
俺たちが歩いているのはイクオンの第二の街であるウルト、その中心にある大通り。行き交うのはほとんどがNPCだが、俺たちと同じようにネームプレートを頭上に浮かせたプレイヤーもちょくちょく見かける。ほとんどのプレイヤーの文字色は白だが、たまに俺のように灰色の者もいる。黒はまったく見かけない。
噂では黒ネーム――重犯罪者たちは俺やミューが拠点としているのとは別のチャンネルの暗黒街を根城にして徒党を組んで行動しているらしい。
命がけかもしれないこの世界でリスクが増したのはPK側も同じ。自分達が危害を加えた連中からの報復、あるいは白十字のような過激派PKKギルドの攻撃に備えるようになるのは当然の流れではあった。
「けっこう人が増えましたよねー、この街も」
ミューが歩みを緩めて俺の隣に並び、通りを見渡す。コイツが言ってるのは人というよりプレイヤーだろう。確かにずいぶん増えた。俺が最初に来た時と比べると雲泥の差だ。
一月前に突然行われた始まりの街アランダシルの宿屋の一斉値上げ。それと同時に頻発するようになった黒ネームによる街中での大規模爆破テロ。この二つにより、この世界は第二段階に移った。アランダシルの街に留まり誰かがクリアするのを待つスタイルでいた連中が、自分の命を守るために攻略に本腰を入れ始めたのだ。
結果は毎日届くシステムメッセージが教えてくれている。“例の日”からプレイヤーのロスト率は倍増し、毎日百人ほどがこの世界から姿を消していた。それが本当の死を意味するのか現実への帰還を意味するのかはこの世界に残る者には分からない。
いずれにしても、それらの異変の影響でこの世界の中心がアランダシルからウルトに移動しつつあるのは確かだ。ゾンの調べによれば生き残っているプレイヤーの四割近くがすでにこの街までたどり着いているという。
この世界ではゲームであった頃の情報があるし、すべてのコンテンツが最初から実装されている。その上全員が24時間をこの世界に費やすのだ。ゆえに“1周目”よりも遥かに攻略速度が速いが、今のペースでは最初のクリア者が出るまであと一年はかかるだろうというのがイクオン古参プレイヤーたちの共通見解だった。
「ま、そんな焦る必要もねえ気はしてきたけどな」
個人的な感情を小声で呟く。隣のミューは聞き取れなかったらしく小首をかしげて俺をチラ見したが、特に気にせずニコニコ笑顔でまた前を向いた。
王立ホテルの高い飯を食いに行けるようになったところから分かるとおり、俺とミューは金に多少の余裕ができてきた。生産スキルのトレーニング用素材なんかで常に出費があるので毎日豪遊はできないが、宿代に四苦八苦する段階ではなくなってきている。<罪貨>についても同様で、今はもうPKされてニ、三人に強奪されるくらいではロストしない量を持ち歩けるようになっている。<罪貨>を消失させる罠なんかもあるので油断はできないが、当初のような緊張感はもはやない。
なのでもうしばらくはこの世界をゲームとして楽しむのも悪くはない。そんな風にさえ俺は心のどこかで思い始めていた。
「そうそう、ヨシヤさん。アランダシルで続いてる爆破テロ、あれを裏で糸引いてるのはヨシヤさんだって噂ありますよね」
「俺がアランダシルに行った日に始まったからなー。しかも俺が行ったチャンネルで起こったし」
「あたしたちが再会したあの日に1chで起きたのが最初ですもんね。こんな偶然あるんですかね。……ま、まさか本当にヨシヤさんが!?」
「やってねえよ! あの日は夜まで酒場で一緒に飲んでただろうが!」
ミューは手を叩いてケラケラ笑う。最近はこういうデカい声を出してもコイツはまったく動じなくなっていた。
嘆息する。いや、このJKの冗談はどうでもいいのだ。問題は噂の方。アレを聞いたプレイヤーの中には真に受ける者も多いはず。特にイクオン時代の俺の悪評を知ってる連中はそうだろう。また俺の評価が不当に下がることになる。
俺の人生はいつだってそうだ。やってない悪事をやったと疑われ、弁明しても信じてもらえない。先天的な冤罪体質。もはや誤解を解く努力をする気も起きない。ゾンやコイツみたいな身近にいる連中が分かってくれてりゃそれでいい。
「で、どこ行くんだよ。つーか誰に会うんだよ」
飯の後に暗黒街の宿へ戻らなかったのは、紹介したい人物がいるとミューに言われたからだ。
また少し先を歩いていたミューは振り返ると悪戯っぽく目を細めた。
「ふっふっふ、可愛い女の子ですよ。嬉しいですか、ヨシヤさん」
「いや、嬉しくない。女の相手はお前だけで十分だし」
「えー! 可愛い女の子はあたしだけで十分ですって!?」
「言ってない。んなこと一言も言ってない」
「まー冗談はともかく。つきましたよ、ここです、ここ」
ミューが足を止めたのは大通りから一つ入ったとこの宿だった。この街の中では高級な部類であるので建物の造りは立派だし内装も小奇麗だ。もちろん俺やミューが宿泊している暗黒街のボロ宿とは比べ物にならない。
もっとも、どこで休んだところで効果は同じである。一定時間休息すればHPもMPも全快する。この世界では“居心地”という要素があるからゲームであった頃と比べればまだ高い金を払ってここに泊まる価値もあろうが、それにしたって相当稼いでいなければこんなところを拠点にはしない。
ミューは招待状を宿のNPCに見せて中に入ると階段を上がり、二階の一番奥まで行って個室のドアを遠慮もなしにドンドン叩いた。
「ヴィーちゃん、おはよー。ヨシヤさん連れてきたよー」
ミューは手を止め、しばし待つ。
返事はない。
「あれ、留守かな」
「アポ取ってなかったのか?」
「いえ、ちゃんとさっきフレンドリストからメッセージ送りましたよ。返信まだですけど」
「それアポって言わなくね?」
首をひねり、もう一度扉を叩こうとするミュー。
それを手で制して場所を入れ替わる。
ドアに耳をくっつけて【聞き耳】のスキルを使う。
中から勢いよくドアが開いたのは、まさにその時だった。
「コンコンコーン! こんにちはだコン! 美少女ケモミミ錬金術師ヴィブティちゃんの登場だコン!」
にっこり笑顔で両手を狐の形にして登場したのは確かに美少女と言えば美少女だったし、ケモミミと言えばケモミミだった。黒い魔術師用のローブを露出度高めに改造しており、頭にはケモミミ部分のとこだけ穴の空いたとんがり帽子をかぶっている。もちろんお尻のところからはフサフサしたキツネのような尻尾が生えている。
俺はその登場シーンを廊下の端で見た。ドアが開くのに巻き込まれて吹っ飛ばされたからだ。
ヴィブティとやらは片足を上げた妙なポーズのまま、にっこり笑顔を崩すことなく静止していた。
だが反応がまったくないことに不安になったのか、そのうち困惑顔になり変なポーズもやめた。
「あの、ひょっとして、こういうロールプレイ苦手な人ですか?」
「いや、そこはどうでもいいけどよ……まずドアごとブチ飛ばしたことを謝罪しろよ」
「あああ! ごめんだコン! 第一印象が大事だと思って気合入れすぎちゃったコン! 申し訳ないコーン!」
一瞬で元の話し方に戻るヴィブティ。
最悪の第一印象だが、まぁ平謝りしてきたので許す。俺は謝る人間には寛大なのだ。
あらためて、このいかにも俺が苦手なタイプの少女を観察する。年の頃はたぶんミューと同じくらいだろう。獣の耳がついているのは特殊クエストをこなして魔族の一種である人狼に種族変更したからだ。名前の文字は白。つまり犯罪者ではない。
ヴィブティとミューは両手の手のひらを合わせて、キャーキャー言いながら再会を喜んでいる。
「おいミュー。コイツ、どういう知り合いなんだ?」
「パールスロート遺跡を一緒に攻略したんですよ。あそこ、二人じゃないと攻略できないじゃないですか」
「コイツから協力しようって言われたのか? 初対面で?」
「はい」
「あのさぁ、前に怪しいやつについていって痛い目見ただろ。学習しろよ学習」
「や! ちゃんとそこは考えましたよ、ひょっとしたらって。でも色々話した感じ、たぶんいい人だなーって思ったんで大丈夫かなって」
「……無条件でついていかなくなっただけ成長したってことにしとくか」
俺の直感もこのヴィブティとかいうのが悪人だとは告げてない。しかし善人かはまだ分からない。
「ほらヨシヤさん。高レベルの[錬金術師]を探す必要があるってこの前言ってたじゃないですか。それで紹介しようと思ったんですよ。なんとヴィーちゃんはもう【錬金術】のスキルレベルが9なんですよ!」
「あーん? ……本当かぁ? よし、ステータス画面見せろ」
「ちょちょ、疑うんですか!」
「あたりめーだ。初対面の人間なんか俺は信じねぇ」
ミューは大げさに頭を抱えてヴィブティに向き直り、これまた大げさに頭を下げた。
「ごめんね、ヨシヤさんは過去のトラウマで人を信じられない悲しいモンスターになっちゃったんだ」
「ぜんぜんいいですコーン!」
「お前らなぁ……」
思うところはあったものの、素直にステータス画面を見せてくれるようなので文句は言わない。
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【ヴィブティ】
LV:25
クラス:[錬金術師]
HP:118
MP:215
筋力:14
知力:40
器用:27
敏捷:16
意志:22
幸運:25
【錬金術LV9】【遺物作成LV3】【ポーション作成Lv3】
武器:<(R)千年樫の杖+4>
足:<(R)ウルフズブーツ+2>
腰:<(R)ウルヴズケックス+3>
胴:<(R)ブラックローブ+3>
頭:<(R)魔女の帽子+3>
装飾:<(R)狼しっぽ+4>
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ミューの言葉は真実だった。疑ってスマンと二人に謝り、それからまたヴィブティの白いネームプレートへ視線を向ける。
記憶を探る。イクオンのサービス終了時までプレイしていたのはわずか五百名。なので、だいたい顔見知りのようなものだったのが。
「見覚えねーな。アンタ、ゲームだった頃終盤までやってたプレイヤーか?」
「や、違うコン。うちはミューたんと一緒でアカウント登録だけしてプレイはしなかった層だコン。でもこれまたミューたんと一緒でこの世界に来てからハマっちゃって、バリバリ攻略やスキル上げしたんだコン。ゲームだった頃もやってればよかったなぁって思ってるコン」
「そりゃよかった。……つーか一人称“うち”なのか。いいけどな別に」
[錬金術師]は魔術師系の中級職だ。中級職への転職は長い手順を踏まなければならないが最近はなったやつがちらほら出てきていた。
では俺とミューはというと中級職を目指す代わりに別の下級職から職固有スキルを取ってきていた。俺は[盗賊]に転職して【聞き耳】やら【開錠】やらの便利系スキルを、ミューは[戦士]になって【挑発】やら【不屈】やらの殴られ役系スキルを取得して元の職へと継承したのだ。
金カピ狩りの効果もあり、俺とミューはこの世界でもトップクラスのレベルに達している。だが、この狐少女のレベル25というのも世界の上位1%くらいには入るはずだ。
ヴィブティは再び手を狐の形にしてその口をパクパクさせながら腹話術のように言ってくる。
「実はうち、二人に頼みがあるんですコン。第二の試練のダンジョンをクリアしたプレイヤーが現れたのは知ってますコン?」
「ああ、{黒の隧道}か。一週間くらい前だな。俺らも二日遅れくらいでクリアしたが」
「それで行けるようになったエリアが一気に増えたのは知ってますコン?」
「もちろん。……なーるほど、{紅い月の夢幻城}を一緒に攻略してぇってことだな? それはいい。それはいいんだが」
ヴィブティのつぶらな瞳をじっと見る。
そもそもこれが問題なのだ。
「信用できんのか、アンタ」
「う、疑うんですか!? ヴィーちゃんはホントにいい子なんですよ!? お菓子とかくれますし!」
横からミューが俺の腕を掴んで信じられないといった顔でぶんぶんと揺さぶってくる。
その手を引っぺがして首を振る。
「コイツが俺を信用できるのかって聞いてんだ。もう四か月もこの世界にいるんだ。俺の悪評くらい聞いてるだろ」
「もちろん色々聞いてますコーン! でもミューたんからもっと色々聞いてますから大丈夫ですコーン! うちはミューたんのこと信用してますから、ミューたんが信用してるヨシぽんのことも信用しますコーン!」
「……なら、いいけどよ。ん? 今、俺のことなんて呼んだ?」
ヴィブティは問いかけを無視して、またミューと両手の手のひらを合わせてキャッキャとはしゃぐ。
「それじゃー美少女JKコンビ・ウィズ・アラサー男子の最強パーティ結成だコーン!」
「イェーイ! ダンジョンクリアワールドファースト狙っていきましょー!」
「うるせぇ!!」
女三人寄れば姦しいというが、こいつらは二人で十分やかましい。つーか別にダンジョンクリアのために手を組むわけではない。
実際のところ渡りに船の話であり、この機会を逃す手はない。
だが、とりあえずコイツのロールプレイだけはやめさせりゃよかったと若干後悔していた。
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・Tips
【ジョブチェンジ】
職を変更する機能。
<(SR)中級冒険者の証>を所持した状態で冒険者ギルドの受付に話しかけると可能。
レベルは引き継がれるがスキルはスキルポイントに戻る。
その際、前職の固有スキルを一部継承できる。
ステータスは転職先の上昇確率に応じて再抽選される。
なお上級職へのジョブチェンジにはさらに<(SSR)上級冒険者の証>と各上級職に対応した特別なアイテムが必要となる。
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