これが転生か。ぶりっ子で落としてみせます!
タイトルと中身が違うかも…となると思いますが、続きをお待ちくださいませ。そこまで長い小説にはならないと思います。これからよろしくお願いいたします。
「先輩…ずっと前から、好きでした!
付き合ってください!」
言い切った、言い切ったよ私。
「…ごめんね。琴ちゃんのことはこれからも後輩として可愛がりたいな。僕には許嫁がいるから…。」
少し困った顔をしている先輩。
「…いい…なずけ…ですか…?」
「そう。前世からの…ね。」
ああそうか、フラれたんだ。私を傷つけないために先輩がついてくださってる、優しい嘘。ありがたく受け取るしかないよね。
「わかりました。また、明日。部活でよろしくお願いします。」
なんとか言い切って先輩に背を向ける。涙なんて見せるわけにはいかない。先輩は優しいからきっと…私をまた心配してしまう。許嫁がいるのに他の女に期待なんてさせちゃダメですよ…センパイ。
ーー私が先輩に出会ったのは2年前。小中と色々なオケや吹奏楽団に入ってきた私は高校でもオケに入ろうと思っていた。
部室に入ってドギマギしていたわたしに声をかけて下さったその日から私は先輩への恋に落ちた。
一つ上とは思えないほど大人びているその雰囲気も、申し分ないほどの腕前もただただ好きだった。高身長でイケメン、賢いし運動神経もいいし音楽もできる。そして何より優しい。こんな王子様のような欠点など何一つない先輩だったから、当然モテた。しかし、先輩が誰かのものになったことは未だ一度もないという。
そんな噂が、もしかしたらとわたしに希望を与えてしまった。
他の後輩と比べても明らかに特別扱いされているわたし。やっぱり両思いなのかも…!と本気で思っていた。
明日は合奏。きっちりと練習していかなければ…。
グラグラグラ。
地震!?
とりあえず楽器を守らなければ…!
ーーガチャンーー
「…えっ。」
バンッ
ーーここは、どこ…?
「お嬢様が御目覚めになりました!!」
「本当か!!」
「エリーゼ!よかった…!本当に、よかった…!」
「ええと…?」
これは、いわゆる転生、したのかしら…?
あ、何かが脳に流れ込んでくる。この体の記憶…のようね。
これが元の体の持ち主の記憶が脳に流れ込んでくるってことか。確かに文字そのまんまの気分。わたしは…いや、この体の持ち主、エリーゼは毒殺されそうだったのね。
彼女の記憶はこうだー
とある公爵家の1人娘であるエリーゼ。皇太子殿下の恋人候補の1人であるが、その優しすぎる性格、そして楽器があまりに弾けないことから家柄しかよくないと裏で言われている。公爵家を敵に回すとどうなるか皆わかっているので面と向かって言うものはいないがコソコソと陰口を言われている。しかし、性格の良さに惹かれた皇太子殿下は彼女に惚れ込んでいた。それが癪に触ったもう1人の恋人候補スカーレットは彼女の悪い噂を流し、自殺未遂に見せかけて毒を飲ませた。公爵家が名誉を考え揉み消したお陰で毒の話は広まっていないが悪い噂はどんどんと広がり、皇太子殿下の御心はスカーレットに傾いているようだ。
なんて…。とりあえずエリーゼの信用を取り戻し、皇太子殿下の恋人とならずとも充分な女性にする、それがこの体に転生したわたしの使命かな。
なーんて、ちょっとカッコつけて言ってみたけどイタすぎて震えそう。
「もう、大丈夫でしょう。」
という医者の言葉に父が涙している。
「よかった…よかった…!もう自殺など考えるんじゃない…!」
は?この体が信じていた父親までもがその噂を信じるのか?冗談じゃない。でも、とりあえずこの世界を生き抜くために、前世の手法、ぶりっ子になりきろう!
「…お父様、ありがとうございます…。私はもう大丈夫ですわ。それより、防音室、、器楽室を貸していただいても?」
「!」
え、なんで急に目を見開くの。わたしなんか変なこと言った?
え、ちょ、泣き出さないでほしいのだけれど。知らない人の親が急に泣き出したら怖いじゃん。
「そうか…!そうか、お前が自分から楽器を弾きたがるとはな…!すぐにお前専用の部屋を用意させよう。」
ふわっと笑顔を作って。よし。手は顔の下。
「えへへっ。お父様、ありがとうございます〜♡さすがお父様ですわ」
自分で言ってて笑いが込み上げてくるけれど、色々とムカつくから必ずぶりっ子and作り天然でこの体の持ち主に返すまでに必ず皇太子を落としてみせる!