新しい船 後編
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今後も見捨てずにお願い致します。
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妻達にはそのまま船で待機してもらい、俺は、事務所に戻り船の価格について話し合うことになった。俺の予想としては、相当な金額がかかっていると思う。
というのも新しいクルーズコントロールシステムを作る段階で失敗があるはずで更にあの船と同等サイズの船を作り、それに試作した新システムを搭載しテスト運転を行う。
その段階でも修正やら故障やらが入り改善が必要になるだろう。システムが事故を起こせば、試作船も作り直さねばならない。
いくら最初の設計で理論構築が終わっていたとしても実機に落とし込んで誤動作や暴走なくシステムを稼働させるには、相当な苦労があったはずで何度もシステムを改善するためのコストも掛かってるはずなのだ。
さらに今回は、設計以外は全てジェンナーの職人に丸投げした。此方の職人の技術力は高い。かつての日本の職人の様なのだ。船外機のモーターを作っただけでありとあらゆる所にモーターやベアリングを使い新しい製品を生み出す力があった。それを信頼し開発から任せたのだった。
よって人件費等を含めて開発にはコストがかかるのだ。生前の高分子開発にも時間と人員とコストが掛かっていたのでその点は十分に理解できていた。
俺達は応接室に通され、ソファーに座って話を始めた。
「会長、それで予算内には収まったのかな?中型クルーザーに1万金貨の予算だったのだけど」
「そ・それが・・・」
会長は歯切れが悪い。顔色も蒼白である。新システムが出来たとはいえ1万金貨で収まるはずがなかったのであろう。
俺だって収まるはずがない事は解っていた。今見てきた船だけでも5千金貨はかかっているだろう。全長だけなら大型クルーザーに匹敵するのだ。残りの5千金貨で新システムの開発なんてできるわけがない。
「まぁ、新しいシステムを組み込む事に為ったからね。多分予算は超えるとは思ってたんだよ」
俺は会長を安心させるように言った。
「其れでいくら掛ったの?」
「は・はい・・・実は5万金貨程掛かりまして・・・」
「5万か10万近くは行くかと思ってたんだけど思ったより安く済んだね」
「えええー?10万ですか・・・」
それに驚いた声を出したのは息子の方だった。
「そのくらいは覚悟っしていたって事さ。新しい装置を開発するのにはそれほどお金が掛かるんだよ」
「今回はケミン様が、設計段階は終わらせて下さったから5万で済んだが、設計からすべて此方で手掛けていたら、幾ら掛るのか想像も出来ないのだよ。自動で船を動かす装置なんて私達では思いも付かない。ケミン様の設計図が無ければ不可能だった事だろう」
会長が息子に向かって言った。
「5万で済んだのは会長の手腕もあるでしょう。船外機の利益やモーター関係の利益はすべて会長に預けてあるのだからそこから開発費の捻出なんていくらでもできるでしょう?」
「滅相も御座いません。そんな事したら私の首が飛んでしまいますよ。ケミン商会のオーナーはあくまでケミン様です。私は単なる補佐の立場ですから勝手に利益の移動などできません」
「解っていますって。だから抑えるところは抑える会長の手腕で5万まで圧縮できたのでしょう。俺は設計図を渡しても10万は掛かると思ってたのだから5万で済んだのは凄い事ですよ」
「そう言ってもらえると有難いですな。それでは、ケミン商会の利益から5万金貨移動で宜しいですかな?」
「ええ、宜しくお願いします」
会長はカードの操作を行い5万金貨の移動を行った。
「そしてケミン様、今回の自動操船装置の開発でまたケミン商会は莫大な利益が上がるのですな」
「そうなんだけどねぇ、この装置に関してだけは原価でお願いしたいのだけど。利益なら船外機やその他で十分出てるから。それにこれは安全装備だから出来ればすべての船に搭載して貰いたいと思ってるんだよ。船外機を作ってしまった贖罪として・・・」
「贖罪ですか?」
「そう、船外機を作った時は有頂天になって喜んでいたけど、その所為で不幸な事故が多発してしまっただろ?親御さんの居ない孤児が出てしまったのは、想定外だったんだよ。人の命を奪うほどのものを作ってしまった。その贖罪だよ・・・」
「成程、解りました。工房長と相談して価格設定いたします。工房の利益は確保して宜しいのですね?」
「それは勿論、工房迄贖罪に付き合わせる心算など無いからね。それに商会の人件費も原価の内だからね。そこはきちんと計算して設定してね」
「了解しました。それでは納船しましょう。また船の方までお願いします」
俺達は船に戻ると何時もの通りにエナジー登録を行った。今回は全員の登録を行い、ヒュパさんメリトさんパフィオ、ラヴォージェと誰がエナジーを流して操船できるようにした。
会長の息子が船の操船を教えてくれるとの事で皆真剣に聞き始める。
「細かい手動操船の方法は、取扱説明書を参考にしてください。今回は自動操船について説明します。自動操船には、離接岸方式と自動操舵方式が有ります。離接岸時には、この魔石にエナジーを流すと離接岸方式で船が操船出来ます。自動操舵の場合は、此方の魔石にエナジーを流します。スティックの反対側の魔石は、手動操船用です。」
操舵室のパネルには、ジョイスティックを挟んで右に魔石が2個、左に1個ついていた。右手で魔石に触る時は自動操船と言う事だろう。
「進行したい方向にスティックを倒して離接岸の魔石に触ると装置が周りの状況を判断して最適な方法で離接岸します。ケミン様進行方向を指定して魔石に触れてみて下さい」
俺は言われた通りにスティックを操作して魔石にエナジーを流すとゆっくりと船が離岸を始めた。
「おおー本当に勝手に離岸してるよ。俺は離接岸の設計してなかったような気がするけど」
「そこは、工房でケミン様の設計を応用して作りました」
「やっぱり、凄いなぁ直ぐに応用して新しいものが出来るのだから。本当にここの工房には感服するよ!」
話しながらも船は、勝手に離岸動作を終えている。動作が終わるとエナジーを流しても動かないのもスゲー!
魔石から手を離すと直ぐにエナジーが放出される様で魔石の光が失われた。
「恐れ入ります。ケミン様に褒めて頂けると工房の者たちも喜ぶと思います。」
「次に自動操舵は、最高3スロットで速度が固定されます。この場合は、停止状態から自動操舵の魔石にエナジーを流すだけで進みます。最高速で自動操舵したい場合には、手動操舵で最高速に上げてから自動操舵の魔石にエナジーを流してください。然しその場合、対向船が、認識された時点で速度が自動で段階的に3スロットまで落とされ回避行動をとります。ですので高速移動中は十分注意をお願いします」
「成程、緊急処置がそうなってるんだね。俺が考えたのより進化してるね」
「はい、高速で操舵しても即回避できるように設定しました。減速時に若干反動が出ますが、船内には影響が出ない様に調整して有ります」
話を聞きながらも妻達に次々に自動操舵して貰った。皆キャーキャー言いながら魔石にエナジーを流しているが、危なげなく自動操舵されている。
最後にドックに戻りラヴォージェに自動接岸して貰った。
「皆どうだった?」
「ケミン様、私お出掛けの楽しみが増えました。船の操作是非させてくださいね」
パフィオがウキウキ顔で言った来た。パフィオって実はアウトドア派だったのか?
「「此れなら私でも操船出来ます。奥方様達を乗せてジェンナーに買い物も行けそうです」」
エルフ二人は買い物が目的だったの?てかハモってるし!
「今まではラヴォージェ様に乗せて頂いてたのです」
ヒュパさんが心苦しそうに言った。
「ああー、買い物に行くにもラヴォージェが必要なのは船の為だったのか」
「はい、此れで私達だけで行けるようになりますからラヴォージェ様の負担も減ると思います」
成程それでラヴォージェの負担軽減なのね・・・
そんな話をしていても勝手に中央の船着き場に着いた。接岸を誰がやるのかみんなで騒ぎながら決めていた。やっぱり皆可愛いなぁと俺は思いながら見ていたのだった
ケミンいつの間にか商会を作っていました(笑)
商会立ち上げの話も描こうと思ったのですが、話が全然進まないので割愛しましたorz
新章に入って20話以上書いてるのにまだ森から出れないなんて何でこうなってるのか書いてる本人でさえ分かりません。
プロットが無い時点で大概ですがorz
出来るだけ早く移動できるように頑張りますので見捨てずに宜しくお願い致します。
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また作者のモチベに繋がりますので評価ポイント宜しくお願い致します。
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