100年後の街 4
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「ルミナの結婚か。娘を嫁に出したくないのはどの父親も一緒だと思うけどな・・・」
「まだそんな事言ってるのね!ルミナは結婚してもすぐ目の前に住むのよ。今までと一緒じゃないの。其れよりも大切な期待日に旦那が居ない方が拙いわよ!」
「わかったよ!来年には結婚させよう」
「はい!それじゃー準備を進めておくからね!」
キュリアに押し切られた・・・
そんな話をしているうちに夜は更けていった。今晩は、クララとの夜番だ。クララを連れて寝室に入って行った。昨夜の様に二人相手なんて初めてですからね!自分でも誰に言い訳してるんだか判らないけれど・・・
次の日の朝、目が覚めるとクララの寝顔が目の前にある。白いロングの髪が僅かに入る陽の光をあびてキラキラ光っている。長い睫毛がクルンと綺麗に反り返っている。幸せそうな寝顔を此方に向けていた。
考えてみるとクララももう120歳超えてるんだけど嫁に来た頃と全く変わっていない美女なんだよね。肌も艶々プルプルだし歳を取っていない感じかな。
これが女神の力なのか、準精霊の力なのかは、今一判別不能なんだけどね。
俺が、クララの髪の毛を撫でているとゆっくりと瞼が開く、そこにはまだ眠そうな鳶色の瞳が俺の方を見ている。
「おはようクララ、まだ時間が早いからもう少し寝てても大丈夫だよ」
俺は、クララの頬を撫でながらそう言うとクララはほんのり頬を染めて言う。
「おはよう御座います、ケミン様はもう起きますの?」
「クララがまだ寝てるのなら俺ももう少しこうしてるよ」
そう言って軽くクララの額にキスをする。その後唇を合わせると真っ赤になった。
「ううぅ恥ずかしいですの・・・」
「そんなに恥ずかしがらなくていいよ」
俺はくすくすと笑いながらまた髪の毛を撫でる。クララはウットリとして俺の肩に頭を乗せていた。
(ケミンとクララはまだ寝てるのかしら、何時もより遅いわね。クララ寝てるの?)
「ひ・ひゃい!起きていますの!此れから着替えていきますの!」
(何を慌ててるのよ。焦らなくても良いから。朝御飯できてるから来てね)
突然飛び起きて叫んだクララに俺は、吃驚した。
「何かあったの?突然飛び起きて・・・」
「キュリア様から念話が来ましたの。朝御飯が出来たそうですの。」
「いつもはメイドさんが起こしに来るのに・・・」
「ヒュパさんとメリトさんは、休暇中ですの」
「そうだけど他のメイドさんが来ると思うけど・・・」
そんな話をベッドの上でしているとドアがノックされて、いきなり扉が開いた。
「ケミン来てやったわよ!まだベッドの上だったのー!早く着替えなさいよ!」
「キュリア・・・返事してから扉開けようね」
真っ赤になってアワアワしているクララを抱きしめながら俺は言った。
「貴方!なんで私の朝の時と扱いが違うのよ!私の時なんて何時もおでこを叩いてるじゃない!」
キュリアはズカズカとベッドに近寄りながら言った。クララはソロソロと俺から離れ着替えに行く。
「キュリアの時は毎朝命の危険が・・・」
「命の危険とか言うんじゃないわよーー!」
キュリアは叫びながらパッカーーンとスリッパで俺を叩く・・・ガクン
そんな朝の風景だった。
午前中はハニーの相手をしてお種を授けるとリビングで寛ぐ。今日は俺の隣にキュリアとクララが座り合い向かいにはヒュパさんとメリトさんが座っている。ハニーはベッドルームで御休み中だ。
ハニーにお種を授けるのはもう習慣化してるのだけどね。
「今日、ローレンス商会が来るんだっけ?」
今日の午前はコーヒーが出た。たまの珈琲もいいもんだな。俺はそれを飲みながらラヴォージェに聞いた。
「はい。午後に来る予定になっております。新造の船の件で」
「今年が、乗換の時期だったか。もう船は準備してあるのかな?」
「ケミン様は、毎回予算を増やされてますから予算に合わせて造ると思いますよ」
「なら納船はもっと先だね。まあ今のでも十分使えるからゆっくりでもいいけどね」
「ケミン又予算上げるの?中型船で予算上げてもたかが知れてるわよ?」
「うーんでも予算上げるたびに豪華になってるし操縦性も耐久性も上がってるからね」
キュリアが、またぁ?みたいな呆れ顔で言うと俺がメリット答えた。
「次はねー、クルーズコントロールまで付けようと思ってるんだよね。索敵の魔法陣を付けて障害物を感知して自動で避けるとか」
俺がそう言うとメリトさんがハイ!と手をあげる。
「はいメリトさん!」
俺は学校の教師よろしくビシッとメリトさんを指す。
「その装備が付いたら私達でも船の操作が出来ますか?」
おおー船の操船がしたかったのか?
「実現出来たらエナジーを魔石に流すだけで操作できるようになるからね。ヒュパさんでもメリトさんでも操作できるようになるよ」
「それならラヴォージェ様の負担が減りますから私達も操船したいです」
今度は、ヒュパさんが真面目な顔で答えた。
ラヴォージェの為だったのか・・・
なにげにラヴォージェの負担が増えてるからな。新しい補助精霊作れないかなぁ?もう一人くらい欲しいなと思った。
午後になると早々にローレンス商会の会長が訪れた。俺達は応接の間で会長と商談する事に為った。
面倒な挨拶をすますと単刀直入に聞く。
「ブロームス会長、次回の新造船に付けてもらいたい装備が有るんだけど?」
焦り顔の会長が俺に聞く。
「あのう、これ以上何を付けろと・・・」
何を警戒してるんだ、今までそんな無茶を言ったこと無いけどなぁ・・・
「自動で船を操船出来るようにしたいんだよね。エナジーを流すだけで対抗する船を避けたり速度を自動調節するような」
「ええーーー?自動操船ですか?如何やったらそんな事できるのですか?」
「機構はそんなに難しくないよ?索敵の魔法陣と操舵の魔法陣を組み合わせて索敵で障害物が有ったら避ける様にするだけだよ?危険が迫った時は、逆回転掛けて急速停止する様に船外機操作の魔法陣も組み合わせて・・・」
「ちょ・ちょっと待ってくださいケミン様、先ず索敵と操舵の魔法陣の組み合わせが判りませんが・・・」
冷や汗をかいた会長。本当に意味が解らない顔をしている様だ。
「えーー?そこからー?索敵の魔法陣もあるでしょ?操舵の魔法陣もあるでしょ?其れを上下に重ねて索敵データを操舵魔法陣に送り込む様に繋げるんだよ」
此の考え方は、集積回路の方法に倣っている。
「魔法陣を重ねて繋げていけば色々な事が出来るんだよ」
「魔法陣を重ねて繋げるのですか・・・魔法石は?」
「操舵も索敵も無属性だから同じ魔法石を使えば大丈夫だよ。例えば水晶の結晶柱を作って魔法陣を重ねていけば一つの結晶ですべてつなげる事が出来るでしょ」
「成程、機構はだいたい解りましたが、お金が幾ら掛るか分かりませんけど・・・」
「其処は何時もの通り、金に糸目を付けないから。新しい機構だからお金が掛かるのは仕方ないよ。進捗状況は逐次報告してね。手伝えることが有ったら手伝うから」
「解りました!ローレンス商会の総力を結集して作らせて頂きます。」
「期待してるからね。其れともう一つお願いが有るんだけど」
色よい返事が聞けて良かったよ。さてもう一つお願いしておこうかな・・・
もう一つお願いが有りました(笑)




