閑話 母なる星と子供達
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<m(_ _)m>
僕の名はアレクサンベールそう教わった。男子みたいな名前だけどれっきとした女子だよ!
僕は、この世界に来る前、山上美紅として生きていた。
小学生の頃は普通に学校に行けていた。でも中学2年になったある時からスクールカーストの底辺に分類されてしまったのだ。切っ掛けは、気の弱い虐められっ子を庇っただけで・・・
「貴方、小さいくせに生意気じゃない!何様のつもりなの!」
虐めっ子のその一言が引き金になって僕に対する虐めが始まった。
僕への虐めはどんどんエスカレートして学校に行くのが辛くなった。とうとう部屋から一歩も出られなくなり自宅警備会社社長に就任した。
それからの僕の仕事は、PCでネットを監視したりVRの世界で同業者と会議をしたりが、日課になって行った。
そんな時間が2年過ぎた頃、あの事件が起きた。
隣の家から出火して折からの強風で家を含み6軒が全焼する火事が起きた。
死者1名、そう僕だけなんだ。
お母さんは、その時間帯に近くのスーパーに買い物に出掛けていて無事だった。
僕が火事に気付いた時には、廊下にまで火がまわりもう逃げられない状態だった。外では、消防車や警察車両のサイレンの音とともにお母さんの叫び声が、何度も何度も聞こえていた。「お願い、娘を助けて、美紅を助けて下さい。御願いします」と・・・
有毒ガスを吸い、意識が薄れていく中で僕は、お母さんに謝った。
こんな子供でごめんなさい・・・
今まで育ててくれて有難う・・・
そして最後に思った。
もう少し大きかったらなぁ・・・違う人生だったかな・・・
段々心臓の鼓動が弱くなってくる、酸素不足で苦しくなってくる。そして意識を失った・・・
身体が炎に包まれ焼かれている時には、もう僕は其処にはいなかった。
死んだ筈なのに意識が戻った。
何処かに立っている様だ。周りを見渡すと光が見えた。
すると、何処からか声が聞こえてきた。
「やっと目覚めましたね。我が娘よ。私は惑星ルポルテ、此の星の意思です。あなたが最初の子供です」
「此処は地球ではないのですか?僕は山上美紅です」
「貴女は私の子供として生まれ変わったの。ここは貴女の元いた星とは違うわ。貴女の名は、アレクサンベール。この世界の東の辺境の山脈の名前」
「山脈ですか?僕は山に生まれたのですか?」
「正確には山脈の精霊王として生まれたのです。さあ我が娘よ。この世界の事を私が教えましょう。そしてこれから生まれるであろう子供達に此の事を伝えてください」
「精霊王って言われても僕は普通の人なんだけど・・・」
そう思っていたが、頭の中にこの世界の歴史や人種や魔法、その他、色々なデータが送られてきた。
とてもじゃないけど処理しきれないよう・・・
最初は、このデータ整理に明け暮れていた。これじゃー自宅警備会社社長の時と変わらないよ・・・此れが長女の宿命?なんかやだなぁ・・・
やっと整理が終わって行動を開始した時には、1500年以上経っていた。
と言ってもやったのは、万年雪を降らせるだけだった。だって生物自体が殆ど居ないのだ。
僕は不貞寝したよ・・・
外に出たのは、2000年経ってから。山脈の山頂に氷河が出来て南の湖に流れ込む水量が増えた所で山脈の中腹あたりに何かの生物が住む様になった。山羊?みたいな動物かな・・・
そして2500年位経った頃、東の平原に僕と同じような生命反応があることが解った。
東の平原はグーテンベール平原か。
僕はその生命反応に向かって整理したデータを送った。
僕は、アレクサンベール山脈、分かりやすく順番に並べたデータだよ。使ってねー!
そして僕はまた、自宅警備会社社長になったよ。エナジーが溜まるの遅いんだねぇ山脈って・・・
私の名前は平野 陸だよぉ。みんなからは良く「おっとりしてるね」なんて言われるよぉ。私としては、おっとりしてる心算は無いのだけれどねぇ。ただ皆のペースが速いだけだと思うんだよねぇ・・・
私の仇名は亀だったよ。童話の兎と亀の亀かなぁ?最後は勝つんだよねぇ。
でも私の最後は、勝てなかったねぇ・・・
だって相手が、トラックだったからねぇ。亀と言われてても甲羅なんか付いて無いから弾き飛ばされたら死んじゃうよねぇ。
私は、救急車で運ばれている間に死んだらしいねぇ・・・
私は、ビッグになるのが夢だったねぇ。
実は、バイトをしながら無名のロックバンドをやっていたんだよねぇ。
リーダーのボーカール兼ギターの口癖が、「俺達は、ビックになるぜえええ!」だった。
そして初めて単独ライブが、有名ライブスタジオで出来る事に為った次の日に私は事故にあった。
みんなごめんよぉ・・・
みんなはビックになってねぇ・・・
私もビックに成りたかったよぉ・・・
最後に救急車の中で思った事だった。
私の心音が止まり患者モニターの心音計が水平になると心音停止の警報が鳴る。
救命救急士が、心臓マッサージを行う。AEDを使い蘇生を何度も試みるが、私の心臓は再度動くことはなっかった。
のはずなんだけどねぇ・・・
何故か目覚めた?目を開けると其処には青空が広がってる。見慣れた天井じゃないよぉ?天井さえなかったからねぇ・・・
辺りを見回すと大河が有ったねぇ。
そのほかはずーっと続く平原かな?遠くの方に高い山脈と森の様な物が見えるなぁ・・・
暫くぼーっと眺めていると何処からか声が聞こえてきたよぉ
僕は、アレクサンベール山脈、分かりやすく順番に並べたデータだよ。使ってねー!
そう聞えた後、怒涛のデータが送られてきたよぉ・・・
なにこれぇ・・・
このデータによると私の名前はグーテンベール平原らしいねぇ
でもこのデータ量、如何したら良いんだろうねぇ・・・
兎に角、平原を発展させればいいみたいだけどねぇ・・・
何も居ないもの何もできないよぉ・・・
とりあえず、データ整理だなぁ・・・
アレクサンベール山脈とキュリア湖、其れと私が今いるのかなぁ?
間の大森林はまだ居ないみたいだねぇ・・・
此れは、まだ何もできないなぁ・・・
一休みするかなぁ・・・
そこで1000年どうにもできない時間が過ぎたよぉ。
キュリア湖の周りには人が住み始めたみたいだねぇ・・・
そうしたら川の流れに乗って此処まで降ってくるのかなぁ?
森に生命反応が出たみたいだねキュりア湖が行ったみたいだなぁ・・・
確かケミカリーナ大森林だったかなぁ
キュリア湖にデータ送っておくか・・・
必要だったら使ってねぇ
有り難く受け取っておくわ!
でもまだ、大森林は寝てるみたいなのよ・・・
なるほどねぇ・・・
まぁ、末っ子だから仕方ないか?よろしくねぇ・・・
こんなやり取りが、ケミンの起きる前にあったのだった。
伝言ゲームでデータが整理され削られてました(笑)




