なんか、すんません。
目が醒めると、目の前には全然知らない女の人の顔があった。とても笑顔である。
吸い込まれるような緑色の瞳に、綺麗な金色の髪。この人を一目見れば、老若男女誰もが声をそろえて美人だというであろう。……外国人、か?少なくとも日本人ではなさそう。
ってか、なんで俺生きてるのおかしくない?ちゃんと飛び降りたよね、俺。あの高さから落ちたら死ぬって先生言ってたよ?
あと、なんか体の感覚もおかしいんだけど。手足は動くんだけどさ、なんというか……短い?も、もしや…俺(17)、赤子になってる?
朽ち果てるどころじゃなく若返ってるってどゆことなの!?おかしくないそれ!?
いや、待てよ………。もしかして、これっていわゆる……「生まれ変わり」ってやつ?最近流行りの!
あんま興味ないからよくは知らないけど、本当にあるものなんだなぁ…転生ってやつ。赤ちゃんになってるのはきっとそういう訳か!
じゃあ俺はちゃんと死ねたんだな!よかった…。
生き残ったらもっと「自分」がわかんなくなりそうだし。ちゃんと元の世界、いや、もう前世か。で死ねてて安心だ。
俺は安堵した。しかし、その直後に発せられる女の人の発言が別の意味で俺を絶望させる。
「本当にかわいいわ~。さすが私とコルヴァさんの子ね~」
ん?
ちょ、ちょっと待って今あなたなんて言った?私とコルヴァさんの子……?ってことはユーアーマイ母上?…ん、ん?い、いや。嘘。ぜってー嘘!ちがうちがう!
オレハ、アナタノコ、チガウ。オーケー?俺はそう抗議の声を上げようとした。
そして、さらに絶望に落とされる。
「おぎゃああああああああ!」
あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!おぎゃあってゆーたぁぁぁぁぁぁ!俺今おぎゃあって言ったぁぁぁぁぁぁぁ!にんげんだぁぁぁぁぁぁっ!
来世は人間やだって言ったじゃんけぇぇぇぇ!!神様の馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁ!!ふざっけんなよ怒るぞ俺ぇ!
「あ、あら?さっきまであんなに笑っていたのに……。どうしたんでちゅか~?」
いきなり俺が泣き出したからか、女の人は慌てふためいたように俺をあやす。慣れていないのか、すっげぇ頭が揺れる。でも一生懸命やっている感じはとても伝わってきた。
……なんか、すんません。




