サヨナラ、世界。いつか、またね。
初投稿です。更新不定期です。
それでもよければ、どうぞお楽しみください。
青い空、白い雲。ぎらぎらと地球を照らす太陽。
今日は夏のいい日和だ。下を覗き込むと、校庭では、夏休み前の最後の登校日だからかは知らんが制服を着たやつらがはしゃいでいる。青春だな。いいと思う。
ま、俺には関係ないんだけどな。
「そう、関係ないのさ。もうここには用はねーんだからな」
手の平を太陽へかざす。広げた指と指の間から、まぶしい光が顔に差し込む。
晴れてくれて本当に良かった。今日は俺にとっての記念日なんだ。雨じゃ困るぞ。
「あはは。やっとだ」
もう、サヨナラできるんだ。
別にいじめられていたわけじゃないし、友達もそこそこいた。妹には鬱陶しがられてるけど、家族とだって仲はそこそこよかった。
そこそこな人生だった。
ただ、一点。小さくて、致命的な「人間に生まれた」ことを除けば。
お前は考えたことはある?人間ってどうして人間なのか。
まあ、ないよな。
俺はあるよ。
んで。まだ17年しか生きてないけどさ、自分なりに答えが出たんだよ。
知りたい?じゃあ、教えてやるよ。
人間は、罪人だからなんだ。
正しいことは知らないぞ?これは俺の幻想だ。でも、俺にとっては真実のように感じられるんだよ。
だってそうだろ。人間は、「自分」が何かわからない。自分から見た「自分」と誰かから見た「自分」は全く同じじゃない。
そして。だからこそ。人間は、本当の「自分」が何かわからないいまま死んでいく。
それって、生物にとっての一番の罰じゃないか!自分が「自分」をわからないなら、誰が本当の「自分」を世界に残してくれるんだ!?誰かにとっても、俺にとっても正しい、「自分」ってやつをさ!
……いや、少し熱くなってしまったな。教えるとか言っといて悪いけど忘れてくれ。ただの戯言だ。
お前に生きる理由があるならそれでいいんだよ。気にすんな。生きるの、がんばれよ。
俺は、もう、いくから。
「自分」がわからないのに、生きるのは怖いよ。いやこれマジで。
俺にはそんな覚悟はないし、目標も、ないんだ。
屋上のフェンスを越える。こえーから、なるべく下は見ないようにしよう。
足が震える。体が、死を恐れている。
……生きるのよりは「まし」だろ俺。一思いに、とぼうぜ。
「サヨナラ、世界。いつか、またね」
―――――来世は、人間なんかに生まれませんように!




