表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常  作者: タコヤキ
3/6

第三話:しあわせ

「あー! おあー!」

 夜の駅構内に若い男の叫び声が響き渡る。

 まだ遅くない時間で、多くの乗客が行き交う広大な駅だ。

「もしかすると、保護者とはぐれてしまったのかも知れない」

 心配になって呟くと、同行していた部下が様子を伺いに行ってくれた。


「……只の酔っ払いでした」

 それならば一安心だな。




 最近、目につくのは〈独り言〉を呟きながら歩く若者が増えた事だ。

 寒い冬の季節なので、両手をポケットへ入れており、大きなリュックサックを背負っている。

「ハンズフリーですよ」

 部下が教えてくれた。

 知ってるさ。

 リコールが起きた際には、サービスセンターへ応援に行った経験もある。オペレーターは全員が端末を操作しながら通話していたのだ。




 小学校の同級生に〈しあわせ君〉が居た。

 いつもニコニコしながら、独りで誰かと会話していたのだ。

 皆に愛されていたが、中学から見掛けなくなってしまった。

 同窓会では誰も彼の話題に触れない。




「俺が一番、失礼なのか……」

 いつもエサを食べに来ていた野良猫が、玄関脇にある鉢植えの隙間で冷たくなっていた。

 硬直化しているので、随分と前に亡くなっていたのだろう。

 せめて最期は家の子として弔ってあげよう。


 切ない気持ちで、動物霊園にアクセスする。




続く


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ