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不遇な少年は己の道を練り歩く。  作者: もちゃもちゃ
異世界転移
3/3

01 目覚めると森の中

深夜に書いたのでとてつもなく眠かったです。

じゃがりこ食べてビートルズの「Hello,Goodbye」を聴きながら書きました。

ビートルズ、なんかいいんですよね。


「ぅん…」


葉と葉がふれあいザワザワと音を立て鳥のさえずりが歌を歌うように耳に響いてくる。

そよ風が鼻をくすぐり爽やかな匂いが掠める。

…いや、ザワザワと音を立てるどころか全くの無音だしよく分からない動物?の声が微かに聞こえる。

そよ風なんて優しいものじゃなく肌を刺すような冷たい風が吹いている。


「…どこだ、ここ」


目を開けると雪が積もる森の風景が飛び込んで来た。

一体何が起きたのか、確か俺は夜勤が終わって家に帰っていたはず…

そして昨晩の出来事を思い出した。

貧血になった俺は千鳥足になりながらも帰ろうとしたが途中の横断歩道で転び…

トラックに轢かれたはず。

それが、何でこんな所にいるんだろう…


「と、とにかく…森から抜けないと」


考えるより先に慌てて立ち上がり周りを見渡したが見える範囲には道どころかただ木々が連なっているだけだ。

自分が持っていたはずの荷物も無くなっている。

しかも今の季節は夏のはずなのに雪は積もっているわ吐く息が白くなるわここの季節は冬なのだろうか?

黒いTシャツにスキニーパンツ足にはスポーツサンダルを履いている俺は今にも凍えそうだ。


「はっ…さむ…」


あまりの寒さに肩を抱いて森の中を進んでいく。

全身の震えが止まらず歯の奥がガタガタ言っている。

自分の手に息を吐き温めようとするが全くもって意味をなさなかった。

無心になって森を進む中なぜ自分がこんな理不尽な状況にあるのか考えて見るが何も思いつかない。

まさかとは思うが俺を轢いたトラックの運転手がこんなところに放り出して行ったんだろうか…?

こんな仮説を立てていてもキリがないのでこの先どうするかを考えることにする。


「まずは…暖を取りたいところだけど…」


自分は火起こしできるような能力は持ち合わせていない。

ましてや所持品も何もない状態だ。

もしかしたら凍死するかも…


「だとしたら、どっかの道に出るか…」


道路に出れば誰かに助けを求められるかもしれない、だけど自分が一体どこから来たのかも分からないのに道路がどこにあるかなんてわかるわけがない。

そういえば川を辿れば人がいる場所に出られるとは聞いたことがある。

その方法を試してみようかとも思い川の音に耳をすますがこんな雪の積もっている状況では川なんて凍っていて水の音なんて聞こえるはずがない。


「クソッ…こんな所で死んでたまるか…」


森から抜けることは諦めてとにかく休憩できる場所を探すことにする。

氷に足を滑らせ転び、茂みをかき分けて足に無数の切り傷を作りながらも兎に角探し続ける。


「っ…あった!洞穴か?」


そしてようやく洞穴を見つけた。

広さもちょうど良さそうだし心なしか中から暖かい風が吹いてくる。

しばらくはここで休むとしよう。

洞穴の中に入っていくと入り口の近くに何かが落ちていることに気がついた。


「おっ!マントか…?」


それは赤いマントに見えたがボロボロになっていて糸がほつれていたり黒い炭?のような物がついていた。

羽織るのにはちょうどいいのでそのまま肩からかけると少し寒さを防げるようになった。

洞穴の奥は結構広いようで先が見えなくなっている。

他にも何か使えるものがないか奥に進んで見ることにした。

奥に進むにつれて外からの光が届かなくなり暗くなっていく。

そろそろ引き返そうかと思った時。何かにぶつかった。


「ん?何だこれ…」


手触りは固くほのかに暖かい。

動物の毛のような感覚で…動物?


「っ…これ」


その黒い物体はもそもそと動き始め俺は少しづつ後ずさりした。

やがてその炎が燃えるような真っ赤な瞳と目があった。


グオ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"


その物体は黒い毛皮を身に纏い炎のような瞳をギラつかせ歯茎をむき出しに威嚇している巨体の熊だった。

俺はほぼ反射的に熊に背を向け走り出した。

後ろから追ってくる気配がないので恐る恐る振り向くと炎がチラチラとその熊の口から溢れ出していた。

俺はそのことに驚愕し一瞬固まってしまった。

それが命取りだった。

熊が前足を大きく踏み出し、口を開いた途端。

真っ赤に燃え盛る炎が俺を襲った。


「っぐぁ!?」


咄嗟に体をずらして直撃は免れたが顔の左側に炎が当たり激痛が襲った。


「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ」


堪え難い激痛に襲われ肉が焼ける匂いが鼻をかすめ吐き気がしたが何とか堪えて洞穴の外へと走り出した。

出てすぐに地面に積もった雪を顔に押し付けた。

ジュウという音がして雪が溶けまた激痛が走る。


「ぅぐぁあっ」


しかしこんな所で止まっている暇はない。

熊が来る前に早く逃げないと。

俺は急いで立ち上がると森の中へと走り出した。

後ろからは熊が追いかけて来ているのか重い足音が聞こえて来る。

なんども転びそうになるが持ち堪えまた走り出す。

兎に角ずっと走り続ける。

息が上がって来て肺が痛くなってきた。

喉の奥が乾いて血の味がする。

だがそれよりも顔の痛みに熊から逃げる思いが勝っていた。


「っはっ!…は…っ!ゲホっケホ…」


何分走り続けただろうか、顔の痛みが麻痺し走るスピードもどんどん落ちている。

だがまだ後ろの方から熊の足音が鳴り響いて来る。

なんども転びながらも走り続け級に森が開けたかと思うとそこは崖になっていた。


「…っはぁ…っ!ゲホっゲホッ!!」


横に逃げようとするがもうすぐ後ろに熊が迫っていて逃げることはできない。

熊と対面し後ろに少しづつ下がるが崖の端に到達してしまった。


グオ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"


熊の咆哮に恐怖を感じまた少し後ろに下がろうとする。

しかしそれを追ってまた熊が一歩踏み出した。


「あ」


熊が一歩踏み出した振動によって俺の足元の地面が崩れ体が空中に放り出された。

そのまま俺の体は真っ逆さまに森の中へと消えていった。



書き終わったのでおとなしく就寝。

おやすみなさい。

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