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不遇な少年は己の道を練り歩く。  作者: もちゃもちゃ
プロローグ
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プロローグ

もちゃもちゃと申します。

このサイトでは初めての投稿です。

拙い文章になってしまうと思われますがよろしくお願いします。


「影斗との約束だ。すぐに帰ってくるからな!」


これが、父の最後の言葉。

すぐに帰ってくると行ったくせに結局帰ってくることはなかった。

約束。そんな言葉だけのものは何度だって破れる。

だから俺はもう誰の言葉も信じない。


「母さんは影斗の笑顔が大好きだから。ずっと笑っていてね。」


これは、母の最後の言葉。

俺は母さんの目を細めて笑う笑顔が大好きだった。

でも今は嫌いだ。笑おうとすると母さんのあの笑顔が頭の中に浮かんで息苦しくなる。

だから俺はもう笑わない。


父さんも母さんも死んで、俺は親戚中をたらい回しにされた。

喋りもしない。笑うこともない不気味な子。気味が悪い。

何度もそう言われた。

仕方なく世話してやってるのに、感謝の一つや二つ出てこないのか。

出てくるわけがない。

朝起きれば自分の朝食だけ抜きにされているし、学校では親戚の子供に虐められる。

夕飯になれば100円だけ渡され家を放り出される。

寝るときは埃まみれの空き部屋に閉じ込められ冷たい床の上で寝た。

どこの家でもそれは変わらなかった。

俺は親戚中を回りながら小学校を卒業し中学生になった。

最後に来たのが今までにも全く見たことのない叔母の家だった。

叔母は家族からも親戚からも疎遠にされていて顔をあわせることもなかったと言う。

その叔母は必要な書類だけ片付けて俺にアパートの一室を渡して来た。


「お前に家族はもういないんだから一人で生きろ。自分のことは自分でなんとかしろ。」


そう言われた。

俺はその時叔母に感謝した。

そうだ。自分の身は自分で守らないと。

誰も助けてなんてくれなかった。今までずっと。

そして俺はまずいらないものを全て売り払った。

最低限生活できる程度のものを残すと少しの金ができた。

食事は少しでも安く、かつ栄養もちゃんと摂れるように工夫して作った。

でもどれだけ工夫しても金は減っていくので年齢を偽ってバイトを始めた。

コンビニ、居酒屋、交通誘導に清掃員まで、空いてる時間は全てバイトに費やした。

学校が終わった後すぐバイトに行ってるせいかただ自分がハブられているか分からないが余り馴染めていなかった。

だが目立たないように行動していたせいか自分がいじめのターゲットにされることは無かった。

その時虐められているやつを見て自分もこんな風だったのか、と少し感傷深くなったこともある。

勉強も死ぬ気でやって来た。あって困ることはないだろう。

成績は常に上位を保ちかつあまり目立たないように、少し勉強ができるくらいの生徒として認識される程度に。


〜〜〜〜〜〜〜


そうして俺は中学2年になった。

相変わらずバイトに時間をつぎ込みなんとか生計を立てている。

今日は土日の夜勤が終わり帰り道の河川敷をまだ薄暗い中を歩いているところだ。


「はぁ〜…帰ったらさっさと寝よ…」


河川敷に咲いていた桜は今ではすっかり若葉色の葉に変わって気温もだんだん上がって来ている。

それとは反対に自分の心はひどく冷めきっていて嫌になってくる。

心なしか本当に冷えて来たし息切れが酷くなって来た…


「っ…やば、貧血か?」


そういえば夜勤の間ずっと体がだるかったような気がする。

視界がだんだん歪んで来たし…

早く帰らないとな…

フラフラになりながらも歩こうとするが自覚するともっと体がだるくなってくる。

何とか河川敷を抜けて横断歩道に通りかかる。


「あっ」


不意に力が抜けて転んでしまった。

立とうとするが足に力が入らず立ち上がることができない。

めまいもひどくなって来た。

あぁ、本格的にやばいかも…膝ついてんのでやっとだ…


「…ん?」


不意に横から眩しいくらいの光が迫ってくる。

その光を見たところで自分が横断歩道のど真ん中で転んでいることにやっと気がついた。

そして今まさにトラックに轢かれそうになっている。

全身から汗が吹き出して震えだす。


「あ、ぁ…」


俺、ここで死ぬのか?

こんな所で…?


トラックはもう目の前まで迫って来ている。

そして次の瞬間、世界が暗転した。



不定期ですが頑張っていきます。

最低で週1くらいは出しますのでよろしくお願いします。

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