第63話 暴漢と3人娘
宿に戻ると俺は、芳乃の部屋に赴いていたのだが、芳乃は帰ってきて居なかったのだ。待つのも時間の無駄なような気がしたので、俺は芳乃を迎えに行く事にしたのだった。
黒猫屋に付くと、芳乃達とはすれ違いになったみたいで、芳乃達は既に帰った後だとターニャに言われてしまった。俺は渋々来た道を引き返す事にしたのだが、宿から黒猫屋までの道乗りは一本道なのだ。そうすると、寄り道をしてると言う事になる!芳乃達が寄り添うな場所と言うと、デザート専門店・ホイップか道具雑貨店・匠くらいしか思い浮かばなかった。
ホイップの店が、黒猫屋からは近いので、そこから立ち寄って見る事にしたのだ。
~デザート専門店・ホイップにて~
ホイップの店内を見渡すと、芳乃と静と秋は、3人だけで楽しそうに紅茶を飲んでいた。俺は直ぐに芳乃に声を掛け様と近づいて行ったのだが、俺が芳乃達の席に付く前に、見知らぬ男達が芳乃達に声を掛けていた。
「キミ達は、この町の娘さんかな?どうだい良かったら私達と一緒に、お茶をしな
いかい?此処の御代も全て私が持つよ!」
男達の後ろに俺が居る事に気が付いた芳乃は、男達に迎えが着たので帰ると言うと
男達は、迎えに来た俺を見るなり笑い出したのだった。
「私はね、さる貴族の側近をしてるんだよ!平民の男性と付き合うより、良い思い
が出来るよ!さぁ~私達と一緒に夕食でも食べに行きましょうか!」
俺を馬鹿にされた事に、3人は怒り、男達の申し出を無碍にして断ったのだった。
俺はと言うと、男達の話し声は聞えていたが、別に怒る事でも無かったから、無視して芳乃達を連れて帰ろうとしたのだった。
「なんだ貴様達は、貴族の側近たる私達に、その様な態度を取って只で済むと
思ってるのか?表に出ろ!」
店内で剣を抜き放った男は、俺に向けて表に出ろと言っているが、表に出てから剣を抜けば良いのに、店内で剣を抜き放っていたのだった。長剣を狭い室内で扱うならば、それなりの技量がいるだろうが。この男からは、剣の構え方を見ても、足運びを見ても、何一つ出来て居なかったのだ。脅威とも感じ取れなかった!
俺は店員に直ぐに、警備兵を呼ぶようにと頼むと、男が店内で暴れない様に落ち着かせてから、店の外に連れ出す事に成功したのだった。
店を出ると連れの男も剣を抜き放ているのが、見て取れたのだが、連れが連れならば、お友達も大した事ないようで、瞬殺とまでは行かないが、直ぐに片は付く感じ
だったのだ。
「平民の分際で、貴族関係者を侮辱した罪は重い!無礼討ちにしてくれるわ!」
そう言うと、男の1人が俺に斬りかかって来たのだが、足運びもまともに出来ないのか、どたばたと見苦しいまでの無様な斬り付けであったのだ。俺は刀を抜くまでもない相手だったので、素手で相手をした。剣を振り下ろす速度も、子供が素振りをした方が速く感じるだろう。そんな斬り下ろしだったのだ。
俺は素早く相手の懐に入ると、振り上げている剣の柄を右手で掴むと、左手で相手の腕を掴んで動けなくしていた。男はもがくが動けなかったので、もう1人の男に
助けを求めだしたのだ。そうするともう1人の男も、俺を目掛けて剣を振り下ろそうとしたのだが、今の状態で最初の男の剣の柄を離すわけには行かなかったので、
男の手に握られている剣を使い、もう1人の男の剣を受け止めていた。
「お前は、どっちの味方をしているのだ!さっさと離れて加勢しろ」
もう1人の男は、イラついたのか、剣の柄を握られた男に対して、怒鳴りだしていたのだった。
「私がしたのではない!この男が俺の剣を使い、お前の剣を受け止めただけだ」
俺は少しだけ面白くなり、体を掴んで動けない男を人形の様に操りながら、斬り合いを始めたのだった。西洋の剣を扱うのは初めてだったが、刀より刃が欠ける事がないので、踏み込んで斬り付ける事が出来ていたのだ。刀だったら、既に刃がボロボロになって使う物にならない状態だろう!
腕を捕まれた男は、何度も逃げ出そうとしているが、俺の握力からは逃げれないようで、為すが侭にされていた。時折、暴れて逃げ出そうとしたのだが、俺は男の脛や股間を足や膝で蹴り上げて、男を黙らせていたのだ。
「もう辞めてくれ、私が悪かったから、許してくれないか?」
男は、くの字になった状態で、俺に侘びを入れてきたのだ。だが、連れの男はと言うと、俺にまだ斬りかかってくるのを止めようともしていなかった。それに腹を立てた秋が、男性の手に持っている剣を手刀を使い、剣を地面に落とさせたのだった
そして、男が力任せに秋に襲い掛かると、男の手を掴むと、相手の力を使い大の男を空中で一回転させていた。
俺に掴まれた男は、くの字のまま動きを止めており、もう1人は、秋に投げ飛ばされて、地面で白目になったまま寝ていたのだった。
ホイップの店員さんが、急いで連れてきた警備兵と俺達の前に遣って来たのは、事が終った後だったのだが、周囲の目撃者の証言で、俺は男性2人から斬りかかられた被害者だと警備兵に説明してくれたのだ。男2人は直ぐに警備兵に連行されて行き、俺達はホイップの店員さんに謝罪をして、勘定を済ませて店を出ようとしていた時に、ホイップの店長さんが現れ......
「皆様、災難でしたね、貴族の関係者ってだけで、威張り散らして回る輩が、ここ 最近は多くなりましてね。こちらもホトホト困り果てていたのですよ。そんな折
に、すかっとする光景が見れて、私としても今までの鬱憤が晴れた気持ちでした
お客さん達が、お店に立ち寄ってくれれば、あの輩も近づかないはずですので、
また気軽に入らして下さいね」
ホイップの店長さんは、金色の髪をした綺麗な方だった。背も高く、顔も整っており、道端ですれ違えば、見返したくなる程の美人だった。性格も大人しそうで、気性が激しいとか言う風な事はなさそうな感じだ。だが、芳乃の方が可愛いのは揺ぎ無い事実だ!
「さぁ~3人とも宿に帰るぞ!怪我とかしてたら、宿で治療するから早めに言って くれよ!」
≪好成様・好成さま・好成サマ・私、少し怪我をしています!≫
3人は、それぞれ怪我をしている箇所を俺に見せて来たのだが、何処を怪我してるのかが、さっぱり解らなかった。宿に帰ったら、ちゃんと見て治療をしてあげよう!




