第18話 ダーンと船
造船所の親父さんに、まず始めに進められた中古船は、と言うと
中型船の、ガレー船型にサムブーク 船型とポーラッカ船型と言う3種類
の船の種類を進めてきたのだ。
ガレー船型は、櫂が通常の船より多く、魔力切れなどになっても、無事に
陸地や島に辿り着ける為に、沿岸部で人気なのだそうだ。河川でも使える
との事なので、買っても問題は無さそうだ。ハルネフェルド村で使ってる
船も、ガレー船型であったな。
続いてはサムブーク 船型は、櫂などは一切なくて、魔帆と魔法動力だけで
動く船だそうだ。荷物の積載量も。ガレー船型の倍を積めるそうなのである。
村作りの為には、この位の船が必要になってくるだろうな。
最後にポーラッカ船型だが、サムブーク船型より高価な船で、良く貴族などが
愛用して乗ってると言ってるな、内装も豪華で積載量もサムブーク船型と一緒
だとか言っている。価格もサムブーク船型より数段高くなるとか?
ガレー船型の中古価格が5.000ベルクで、サムブーク船型は6.000ベルクだとか、
最後のポーラッカ船型はと言うと、中古船なのに、新造ガレー船型が買える、
10.000ベルクもすると訊いた時には、驚いてしまった!中古船で10.000ベルク
もする船など、買えるはずが無い!10.000ベルクも船に使っていたら他の品物が
買えないで、村に帰る事になってしまうからだ。
他にも小型船も見せて貰った。
輸送用ダウ船型・輸送用スループ船型・輸送用フェルッカ船型と言う3種類だ。
価格は、輸送用ダウ船型が1.500ベルクに、輸送用スループ船型が2.000ベルク
輸送用フェルッカ船型が2.500ベルクだとか言っている。
輸送用ダウ船型は、この辺りでは一般的な商用としての商船なのだそうだ。速さも
小型だけあって早く、積載量も米俵だと30俵は積めそうだな!
輸送用スループ船型は、ダウ船型より積載量が少し多くて、米俵40俵位は積めそうな感じがする船だな!この辺りだと、少し裕福な商屋などが使っているそうだ。
輸送用フェルッカ船型は、貴族や豪商達が愛用している船だそうで、船の中も中々に豪華だった。流石に俺が求めている船ではないので、この船は選択肢の中には、
入れていない。
ダーンが俺に、どの船を買うのか訊いてきているから、皆で相談する事にする。
その間に造船所の親父には、一旦仕事に戻って貰ってる間に、俺達は船を選ぶ
事にした。
「ガレー船型は、荷物を運ぶ量はそこそこだし、値段も悪くは無いな!」
ダーンはガレー船型を押している。
「好成様!私はね、サムブーク船型って船の形が気に入りました」
と芳乃は、船の容姿で船を決めたそうだ。
≪静と秋は、船の事は解んないので、皆に任せますね≫
双子の様に、二人揃って、俺達に船選びは任せると言っている。
そうなると、此処は芳乃が気に入ったサムブーク船型に、決め手も良いかも
知れないな。静や秋からは文句は言われないだそうし、ダーンも積載量が多い
船が良いと言っていたしな。
「芳乃の意見を聞き入れる形で、今回買う船はサムブーク船型に決めようと思う」
俺は皆の前で、サムブー船型に決めると伝えたのだが、ダーンが小型船も買うなら
ガレー船型の方が、好いのではないかと心配してくれている。小型船を輸送用ダウ船型にして、造船所の親父と値段の交渉をすれば、もしかすると安くなるかもしれないとダーンに話すと、ダーンが「なるほど」と頷いている。
値段の交渉ならば、妖怪爺と毎回、させられていたから大丈夫だろう?
造船所の親父を怒らせないように、価格交渉に挑むとしようかな!
またダーンに、造船所の親父を呼んで来て貰っている。
「何だい?話し合いは終ったのかい?」
親父が呑気に、話して来ているが、親父の目は笑ってはいない......これは
妖怪爺と一緒の目をしている、俺は覚悟を決めて親父に、どの船を買うかを
伝えたのだ。
「サムブーク 船型と輸送用ダウ船型を買うから、値段の方を少しまけてくれないか な親父さん?」
俺が親父に、そう話を切り出すと、親父も負けじと話を切り出してきた。
「だめだめ!2隻も買ってくれるのは、とっても嬉しいがね!こっちも命一杯に
値段を下げて売ってるんだから、値下げとか出来ないよ!」
親父は俺に負けんとして、早口で捲し立ててきたのだ。
そこで負ける俺ではない!これでも堺の豪商と幾多も商売をしてきたのだ。
「それなら訊くけど、中古船が直ぐに売れるのかい?高い買い物だよ?
此処で値引きしてでも、2隻売れれば親父さんの懐も暖かくなるよね?」
これでどうだ?
「中古船は、最近では家の主力商品なんだ!安く売れる訳ないだろう?」
親父は、まだ抵抗していた。
此処でダーンが、言ってしまった....
「親父さん.....現実を見なよ.....造船所に来てる客ってボク達だけだよね?」
あっ.....親父の顔が、茹でタコの様に真っ赤になってる.....
「親父さん、7.500ベルクで買うから、魔法動力と魔帆を新しいのにして
くれるだけで良いんだけど?」
あっ......茹でタコ親父が、普通に戻った......